公取委、ビー・エム・ダブリュー株式会社から申請があった確約計画の認定
岩田合同法律事務所
弁護士 石 川 哲 平
1 概要
本件は、ビー・エム・ダブリュー株式会社が、ディーラーに対し、達成できない販売計画台数を十分に協議せずに合意させ、必要以上の新車の新規登録を要請していた行為(以下「本件違反被疑行為」という。)が独占禁止法19条(同法2条9項5号[優越的地位の濫用])の規定に違反する疑いがあるとされ、これについて確約手続が用いられた事案である。
確約手続は平成30年12月30日に導入されたが、優越的地位の濫用事件として確約手続が用いられたものとしては、ゲンキー株式会社の確約手続の件(令和2年8月5日、以下「ゲンキーの件」という。)、アマゾンジャパン合同会社の確約手続の件(令和2年9月10日、以下「アマゾンジャパンの件」という。)に続き、3件目となる。
(https://www.jftc.go.jp/houdou/presrelease/2021/mar/210312files/210312_sankou1_r.pdf))より
2 解説
⑴ 違反被疑行為
前記1のとおり、公取委は、本件違反被疑行為について濫用行為の該当性を判断するに当たり、合意の内容が取引先であるディーラーにとって不利益であることに加え、当該合意がディーラーとの間で十分な協議を経たものではないことを考慮している。これは、公取委が示している一般的な考え方に沿ったものである。[1]
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(いしかわ・てっぺい)
岩田合同法律事務所弁護士。2010年慶應義塾大学法科大学院修了。2013年弁護士登録。2017年4月から2020年3月まで公正取引委員会勤務。独占禁止法・下請法を中心とした企業法務全般を取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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