◇SH3567◇最大判 令和2年11月25日 出席停止処分取消等請求事件(大谷直人裁判長)

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 普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰と司法審査

 普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は、司法審査の対象となる。
 (補足意見がある。)

 裁判所法3条1項、地方自治法134条1項、135条1項3号、憲法92条、93条

 平成30年(行ヒ)第417号 最高裁令和2年11月25日大法廷判決 出席停止処分取消等請求事件 棄却 民集74巻8号登載予定

 原 審:平成30年(行コ)第10号、仙台高裁平成30年8月29日判決
 第1審:平成28年(行ウ)第33号、仙台地裁平成30年3月8日判決

 

1 事案の概要

 本件は、岩沼市議会の議員であった原告が、市議会から科された23日間の出席停止の懲罰(以下「本件処分」という。)が違憲、違法であるとして、被告を相手に、その取消しを求めるとともに、議員報酬のうち本件処分による減額分の支払を求める事案である。

 原審は、地方議会の議員に対する出席停止の懲罰について判示した最大判昭和35・10・19民集14巻12号2633頁(以下「昭和35年最大判」という。)を参照しつつ、議員報酬の減額を伴う場合にはその適否は司法審査の対象となるとして、本件処分の取消し及び議員報酬の支払を求める訴えを適法とし、これを不適法であるとした第1審判決を取り消し、本件を第1審に差し戻した。

 原判決に対し、被告が上告及び上告受理申立てをし、最高裁第三小法廷に係属したところ、第三小法廷は、上告については決定で棄却する一方、本件を上告審として受理する旨の決定をし、大法廷に回付した。大法廷は、全員一致で判決要旨のとおり判示し、これと異なる趣旨をいう昭和35年最大判その他の最高裁の判例を変更し、原審の判断は結論において是認することができるとして上告を棄却した。上告を棄却した本判決により、本件は第1審から本案審理がされることとなった。

 

2 判例・学説の状況

(1) 昭和35年最大判の多数意見は、地方議会の議員に対する出席停止の懲罰について、「司法裁判権が、憲法又は他の法律によつてその権限に属するものとされているものの外、一切の法律上の争訟に及ぶことは、裁判所法3条の明定するところであるが、ここに一切の法律上の争訟とはあらゆる法律上の係争という意味ではない。一口に法律上の係争といつても、その範囲は広汎であり、その中には事柄の特質上司法裁判権の対象の外におくを相当とするものがあるのである。けだし、自律的な法規範をもつ社会ないしは団体に在つては、当該規範の実現を内部規律の問題として自治的措置に任せ、必ずしも、裁判にまつを適当としないものがあるからである。本件における出席停止の如き懲罰はまさにそれに該当するものと解するを相当とする。」としつつ、傍論で、除名の懲罰については、議員の身分の喪失に関する重大事項で、単なる内部規律の問題にとどまらず、本件における議員の出席停止のごとく議員の権利行使の一時的制限にすぎないものとは趣を異にしているとして、司法裁判の権限内の事項であるとしていた。

(2) 昭和35年最大判後の下級審裁判例においては、長期の出席停止であれば司法審査の対象となる余地があるように読めるものもあったものの、結論において出席停止の懲罰の適否を司法審査の対象としたものは本件の原判決以外には見当たらず、また、最高裁も、出席停止の懲罰の適否を司法審査の対象とならないとした原判決を破棄したことはなかった。なお、出席停止の懲罰の無効確認訴訟又は取消訴訟において、訴えを不適法とした原審の判断を正当として是認したものとして、最一小判平成5・9・30(原審:東京高判平成5・1・21、第1審:水戸地判平成4・7・14判自107号20頁)、最三小判平成7・5・30(原審:大阪高判平成6・8・31、第1審:神戸地判平成6・1・26判タ855号207頁)が見られる。

(3) 学説上、昭和35年最大判については、一般に、地方議会の懲罰議決について、除名は司法審査の対象となるとしつつそれ以外は司法審査の対象とならないとしたものと理解されてきた(佐藤幸治『現代法律学講座5 憲法〔第3版〕』(青林書院、1995)304頁、安念潤司「地方議会議員の懲罰と司法審査」宇賀克也ほか編『行政法判例百選Ⅱ 〔第6版〕(別冊ジュリ212号)』(有斐閣、2012)316頁)ところ、基本的にこれを支持する見解(佐藤幸治「「部分社会」と司法審査――地方議会の議員の懲罰をめぐる紛争は司法権の対象となるか」樋口陽一=野中俊彦編『憲法の基本判例〔第2版〕』(有斐閣、1996)203頁、田近肇「地方議会議員の懲罰と司法審査」高橋和之ほか編『憲法判例百選Ⅱ〔第5版〕(別冊ジュリ187号)』(有斐閣、2007)414頁)と、出席停止も司法審査の対象とすべきとする見解(高田敏「地方議会議員の懲罰と司法審査」芦部信喜ほか編『憲法判例百選Ⅱ〔第4版〕(別冊ジュリ155号)』(有斐閣、2000)402頁、濱秀和「出席停止の懲罰決議と司法審査」成田頼明=磯部力編『地方自治判例百選(別冊ジュリ71号)』(有斐閣、1981)102頁、常岡孝好「地方議会議員の懲罰と司法権」磯部力ほか編『地方自治判例百選〔第3版〕(別冊ジュリ168号)』(有斐閣、2003)120頁。なお、渋谷秀樹『憲法〔第3版〕』(有斐閣、2017)653頁は、地方議会の議員が住民代表の地位を有することから、戒告、陳謝も含めた全ての懲戒を司法審査の対象とすべきとする。)があった。

 そして、長期の出席停止や短期であっても恣意性が顕著なものについては司法審査の対象とすべきであるという見解もあった(前掲・佐藤「「部分社会」と司法審査」)ものの、出席停止の懲罰の中には司法審査の対象となるものがあるという結論を昭和35年最大判を変更することなく導けるかという観点からその射程を論ずる議論は余りされていない状況にあった。近時の議論においては、昭和35年最大判は、出席停止一般に及ぶ判断ではなく、同事件の事情の下でかつ3日間の出席停止に限った判断であるとする見解(中嶋直木「地方議会議員の懲罰と司法審査」宇賀克也ほか編『行政法判例百選Ⅱ〔第7版〕(別冊ジュリ236号)』(有斐閣、2017)300頁)や、除名以外の内部問題でも、制限される権利利益が重要な場合には、司法審査の対象になるという説明も可能であるとする見解(井上武史「部分社会の法理」横大道聡編『憲法判例の射程』(弘文堂、2017)217頁)も現れている。

 

3 第1審及び原審の判断と最高裁の判断等

 第1審は、昭和35年最大判についての一般的理解に従い、本件訴えのうち本件処分の取消しを求める部分のほか、議員報酬の支払を求める部分も却下した。

 これに対し、原審は、昭和35年最大判を参照し、議員に対する出席停止の懲罰の適否は原則として司法審査の対象とならないとしつつ、議員報酬の減額を伴う場合には司法審査の対象となるとして、本件訴えを適法であるとした。これは、昭和35年最大判は、議員報酬の減額を伴う場合の出席停止の懲罰の適否が司法審査の対象となるか否かについて判断しておらず、その射程外であるという理解を前提とするものと考えられる。

 最高裁大法廷は、普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は、司法審査の対象となると判断した。これは、原審のように出席停止の懲罰の中には、一部司法審査の対象となるものもあるとしたものではなく、出席停止の懲罰の適否は常に司法審査の対象となるとしたものであって、この判断と抵触する昭和35年最大判等を変更したものである。

 

4 説明

(1)部分社会の法理との関係

 ア 昭和35年最大判は、地方議会議員の懲罰についての判例としてのみならず、より広く、いわゆる部分社会の法理との関係で議論がされてきた。最三小判昭和52・3・15民集31巻2号234頁(富山大学事件最判)は、前記2(1)の昭和35年最大判の判示と同様の説示をした上、「例えば、一般市民社会の中にあってこれとは別個に自律的な法規範を有する特殊な部分社会における法律上の係争ごときは、それが一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまる限り、その自主的、自律的な解釈に委ねるのを適当とし、裁判所の司法審査の対象にはならないものと解するのが、相当である。」と判示している。

 学説上、富山大学事件最判は、団体の内部紛争については、それぞれの団体の自治を尊重して、司法審査を控えるべき場合があるという部分社会の法理を確立したものであり、昭和35年最大判は、その先駆けであると評価されている。

 昭和35年最大判は、最一小判平成30・4・26集民258号61頁(愛知県議会事件最判)で参照され、上記の富山大学事件最判と同旨の説示がされているほか、最一小判平成31・2・14民集73巻2号123頁(名張市議会事件最判)でも参照され、昭和35年最大判及び富山大学事件最判を前提とした説示がされている。もっとも、小法廷において、最高裁大法廷判決に徴して原判決に違憲はない旨の判断をする際に昭和35年最大判を挙げたものを除くと、最高裁の判断部分で昭和35年最大判を参照したものは、上記3件以外には見当たらない。

 イ 学説上、部分社会の法理は、司法権の範囲ないし限界の問題とされており、地方議会、大学、政党等の団体の内部紛争については、それぞれの団体の自治を尊重して、司法審査を控えるべき場合があるとして論じられている。

 もっとも、「一般市民社会の中にあってこれとは別個に自律的な法規範を有する特殊な部分社会」の内部紛争は全て司法審査の対象にならないとする一般的・包括的な部分社会論は妥当ではないとされており、それぞれの団体の目的・性質・機能はもとより、その自律性・自主性を支える憲法上の根拠の相違に即し、かつ、紛争や争われている権利の性質等を考慮に入れて個別具体的に検討しなければならないとされている。これらの団体の憲法上の根拠としては、大学は憲法23条、政党は憲法21条、宗教団体は憲法20条が挙げられるところ、地方議会については、憲法93条が挙げられている(芦部信喜『憲法〔第7版〕』(岩波書店、2019)356頁、前掲・佐藤『現代法律学講座5 憲法〔第3版〕」302頁)。

 そして、部分社会の法理は、法律上の争訟との関係でも議論されており、部分社会の内部紛争は、法律上の争訟の範囲に含まれないから司法審査の対象外と理解する見解(司法権の範囲・内在的限界又は制約)と、法律上の争訟性を満たし得るが司法権を及ぼすべきでないから司法審査の対象外となると理解する見解(外在的限界又は制約)がある(これらの見解の整理につき、柴田憲司「言葉の違いの意味――「法律上の争訟」と「法律上の係争」は何が違うのか?」大林啓吾=柴田憲司編『憲法判例のエニグマ』(成文堂、2018)115頁)。

 ウ 本判決は、地方議会の議員に対する出席停止の懲罰が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまるかといった表現を判文上用いておらず、昭和35年最大判、富山大学事件最判の言い回しを踏襲していない。そして、本判決は、出席停止の懲罰の取消しを求める訴えは、法令の規定に基づく処分の取消しを求めるものであって、その性質上、法令の適用によって終局的に解決し得るものであると説示している。その上で、本判決は、地方議会には自律的な権能が認められることを踏まえつつ、住民の代表としてその意思を普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動するという議員の責務を指摘した上で、出席停止の懲罰の性質や議員活動に対する制約の程度に照らすと、その適否は司法審査の対象となるとした。

 上記の本判決の説示や論理の運びは、一般的・包括的な部分社会論によらずに、それぞれの団体の目的・性質・機能、その自律性・自主性を支える憲法上の根拠の相違、紛争や争われている権利の性質等を考慮に入れて個別具体的に検討するという姿勢の現れであると解されよう。部分社会の法理の名の下に説明されることのある団体は多種多様であり、その中には司法審査の対象とならない内部紛争があるという現象を説明する意味での説明概念として「部分社会の法理」という用語を用いることができるとしても、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまるか否かは基準として機能しているとはいい難く、これが法理として働く規範的概念とはいえない面があったように思われる。

 また、地方議会の議員が出席停止の懲罰の取消しを求める訴えの性質についての本判決の前記説示は、最三小判昭和56・4・7民集35巻3号443頁(板まんだら事件最判)等で示された法律上の争訟の定義を念頭に置いていると考えられ、結論において出席停止の懲罰の適否が司法審査の対象となるとしていることにも照らすと、その取消しを求める訴えは法律上の争訟に当たることを前提とするものと解される。そして、本判決が、出席停止の懲罰の適否につき、地方議会の自律的な権能との関係で、司法審査を控えるべき場合に当たるか否かを検討し、控えるべき場合には当たらないとしていると解されることからすると、出席停止の懲罰については、いわゆる司法権の外在的制約の有無が問題となる場合として検討しているものと考えられる。

(2)地方議会の議員に対する出席停止の懲罰

 一般的・包括的な部分社会論によらずに、地方議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否が司法審査の対象となるか否かを検討するに当たっては、地方議会の目的・性質・機能や、その自律性・自主性を支える憲法上の根拠、紛争や争われている権利の性質等を考慮に入れて検討することとなる。

 ア 憲法は、「地方自治」と題する第8章に92~95条を置くところ、92条は、地方公共団体の組織・運営が「地方自治の本旨」に基づくものであることを要求しており、これには住民自治の原則と団体自治の原則が含まれると解されている。そして、93条は地方公共団体の住民が直接選挙する議員から成る議事機関としての地方議会について規定している。

 このような地方議会の憲法上の位置付けに加え、その議事機関としての性質をも考慮すると、地方議会については自律的な権能が尊重されるべきであるところ、議員に対する懲罰は、議会の紀律と品位を保持するために、議会の秩序を乱した議員に対して科する制裁であり、これを科する権能は議会の自律的な権能の一内容を構成する。

 他方、地方議会の議員は、上記のとおり住民の投票により選挙され、議会が行う各事項について、原則として出席議員の過半数で決することができるのであって、憲法上の住民自治の原則を具現化するため、住民の代表としてその意思を当該普通地方公共団体の意思決定に反映させるべく活動する責務を負うものといえよう。

 イ 出席停止の懲罰は、議会がその権能において科するものであり、公選の議員に対し、その期間中、会議等への出席を停止するという効果を有する。これは、議事に参与して議決に加わるなどの議員としての中核的な活動をすることができなくするものであり、この懲罰を科された議員は、住民の負託を受けた議員としての責務を十分に果たすことができなくなる。

 本判決は、このような出席停止の懲罰の性質や議員活動に対する制約の程度に照らし、その適否が司法審査の対象となると判断したものである。

(3)本判決の射程等

 ア 本判決は、これと異なる趣旨をいう昭和35年最大判その他の当裁判所の判例はいずれも変更すべきであるとしている。ここで変更の対象とされたのは、昭和35年最大判のほか、前記2(2)で挙げた出席停止の懲罰の適否が司法審査の対象とならないとした原判決の判断を正当として是認した、最一小判平成5・9・30、最三小判平成7・5・30等であると考えられる。

 一般的・包括的なものとして部分社会の法理を捉えるものではないという本判決の姿勢からすると、大学の単位認定が問題とされた富山大学事件最判は、本件とは事案を異にするというべきであり、判例変更の対象ではないと考えられよう。また、愛知県議会事件最判、名張市議会事件最判は、いずれも昭和35年最大判を参照するものではあるものの、本件で問題とされた議員に対する出席停止の懲罰ではなく、前者においては議会議長の議員に対する発言の取消命令が、後者においては議会の議会運営委員会による議員に対する法定のものではない厳重注意処分が問題となったものであり、これらも事案を異にすると考えられる。

 イ また、地方議会の議員に対する懲罰には、軽いものから順に、公開の議場における戒告、公開の議場における陳謝、一定期間の出席停止及び除名の4種類がある。このうち、除名は、従前から最高裁判例においてその適否が司法審査の対象となるとされてきたものであって、出席停止は全てその適否が司法審査の対象となるという本判決によって、その取扱いが変わるものではない。

 戒告及び陳謝については、出席停止の懲罰が問題となった本判決においては、何ら触れられておらず、今後の議論に委ねられたものと考えられる。出席停止の懲罰の効果、すなわち、議事に参与し議決に加わるなどの議員としての中核的な活動をすることができなくなるという点を重視し、そうであるからこそ司法審査が及ぶとされることとなったと理解するのであれば、戒告及び陳謝については直ちには当てはまらないこととなろう。他方、地方議会が議員に対して科する懲罰は、公選の議員に対して制裁として科されるものであり、法定の懲罰のうちに司法審査の対象となるものとならないものがあるとする十分な根拠がないのではないかという観点からは、戒告及び陳謝についても司法審査を及ぼすべきであるという立場も考えられよう。いずれにせよ、地方議会の自律的な権能の根拠等について理論的に分析し、また、議員に対する懲罰の実態などにも目配りした検討がされることが望まれるところである。

 なお、仮に戒告及び陳謝について、その適否が司法審査の対象となるとされた場合でも、これについての抗告訴訟が適法となるか否かについては、訴えの利益や処分性の有無等についても検討する必要がある。出席停止の懲罰も、一般にはその期間が経過すれば狭義の訴えの利益が失われるに至ると考えられるところ、本件においては議員報酬の減額を伴っていたため、原告は行政事件訴訟法9条1項にいう法律上の利益を有する者に当たり、訴えの利益が失われていないことを前提として判断されたものと考えられる。

(4)本案の審理

 本判決により、本件は第1審から本案審理がされることとなる。そして、本判決は、出席停止の懲罰は、議会の自律的な権能に基づいてされたものとして、議会に一定の裁量が認められるべきであるとしているから、これが違法となるか否かは、議会の判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものかなどを審査することにより決せられることとなろう。

 これまでも地方議会の議員に対する除名の懲罰については本案審理がされてきたところ、出席停止の懲罰の方が軽いことからすると、除名の場合に比してより議会の裁量を広く認めることとなるのではなかろうか。もっとも、本判決が、出席停止の懲罰により議員としての中核的な活動をすることができなくなることを指摘していることに照らすと、実際上違法となる余地がかなり限られるほどに議会の裁量を尊重すべきであるとまではいえないと考えられる。

 本件においては、差戻し後の第1審において、本判決中に摘示された原告の本件発言に対し、定例会の1会期全部である23日間の出席停止としたことが、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものといえるか等が判断されることになると考えられ、その判断も注目される。

(5)個別意見

 本判決には、①地方議会の議員に対する出席停止の懲罰が法律上の争訟に当たり、それにもかかわらず外在的制約があるとして司法審査の対象外とされるのは、例外を正当化する憲法上の根拠がある場合に限定される必要がある、②憲法上、地方議会は国会ほどの自律性を認められていない、③地方議会の自律性の根拠は地方自治の本旨以外にはないところ、議員に対する出席停止の懲罰はその核心部分の一つである住民自治を阻害するものであり、地方自治の本旨を根拠に司法審査の対象外とすることはできない、④出席停止の懲罰の実体判断については議会の裁量が認められ、これを司法審査の対象としても、過度に地方議会の自律性を阻害することにはならない旨の宇賀裁判官の補足意見が付されている。

 

5

 本判決は、地方議会の議員に対する出席停止の懲罰は司法審査の対象とならないとした昭和35年最大判を60年ぶりに変更し、これが司法審査の対象となるとしたものであり、理論的にも実務的にも重要な意義を有するものと考えられる。

 

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