◇SH3675◇消費者庁、改正特定商取引法の一部の7月6日施行に伴って通達・Q&Aを公表――「送り付け商法」対策、Q&Aでは海外からの送付商品への適用も明示 (2021/07/07)

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消費者庁、改正特定商取引法の一部の7月6日施行に伴って通達・Q&Aを公表

――「送り付け商法」対策、Q&Aでは海外からの送付商品への適用も明示――

 

 消費者庁取引対策課は6月29日、第204回国会(常会)で成立した「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」(令和3年6月16日法律第72号)の一部の7月6日施行等に伴って関係通達・ガイドラインを改正したと発表するとともに、チラシやQ&Aを公表した。

 3月5日に閣議決定・国会提出された改正法案は一部修正のうえ、参議院本会議において6月9日に可決・成立し、同月16日に公布された。改正項目中「売買契約に基づかないで送付された商品」に係る改正規定(特定商取引法59条および59条の2)は、公布日から起算して20日を経過した日となる7月6日に施行。いわゆる「送り付け商法」対策となる本改正により、売買契約に基づかないで送付された商品について、これまで消費者は商品の送付があった日から起算して原則14日が経過するまでは商品の処分ができなかったところ(改正前の59条1項)、施行後はただちに処分できるようになった(改正後の59条1項)。また、売買契約の成立を偽って当該契約に係る商品が送付された場合の規定がなされ(新設された59条の2)、消費者はこのような場合も同様にただちに処分できる。

 6月29日に発表された通達の改正は同名の従前の通達を廃止し、新たに「特定商取引に関する法律等の施行について」(令和3年6月29日付各経済産業局長・内閣府沖縄総合事務局長宛消費者庁次長・経済産業省大臣官房商務・サービス審議官通達)を発出するもので、「第6章(雑則)関係」に「1 法第59条、第59条の2(売買契約に基づかないで送付された商品)関係」の解釈が示された(公表された通達の115頁参照)。うち「(1) 法第59条第1項及び第59条の2の解釈について」には「(イ) 「送付」について」および「(ロ) 「その送付した商品の返還を請求することができない」について」の説明がなされており、(イ)によると「送付」の手段は限定されず、「例えば相手方の留守の間に商品を置いていった場合、相手方の了解なしに強引に商品を置いていった場合等郵便や運送等の手段によらないで販売業者が直接商品を送り届けたとしても」送付に該当することが明確に記されている。

 国会では送り付け商法における商品の所有権の帰趨が審議の対象ともなったところであるが、上記(ロ)では、消費者がただちに商品を処分できることなどについて、①「販売業者は、法第59条第1項及び第59条の2に該当する場合には、直ちに、『その送付した商品の返還を請求することができない』ことになるところ、返還請求権が消滅すれば、その反射的効果として所有権も主張できなくなり、所有権が移転したときと法律効果の差異は生じない」、②「したがって、その商品の送付を受けた者は、直ちにその商品の処分をすることができる」、③「この場合は、売買契約が成立しておらず、代金支払義務が生じることはない」とする3文構成により説明した。

 ガイドラインの改正は、通達別添7「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」を巡り、「現行法の解釈について、内容の明確化及び記載の充実の観点から、所要の修正を行」ったもの。チラシでは「その1:商品は直ちに処分可能」「その2:事業者から金銭を請求されても支払不要」といった「一方的な送り付け行為への対応3箇条」を大きくあしらえ、主に消費者への周知を図っている。

 併せて公表された「売買契約に基づかないで送付された商品に関するQ&A」は計6問。そもそもどのような改正がなされたのか(Q1参照、以下同様)に始まり、「売買契約に基づかないで送付された商品」について、代金の支払義務の有無(Q2)、消費者による処分後の事業者による代金の支払請求と支払義務の有無(Q3)、事業者が売買契約があったかのように装って送付した場合と代金の支払義務の有無(Q4)、消費者が処分したことを理由に事業者が代金の支払請求をし、消費者において支払義務が存在していると誤解して代金を支払ってしまった場合の対応(Q5)、海外から日本国内に居住する消費者に送り付けられた商品に対する適用の有無(Q6)を取り込んだ。

 

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