◇SH3606◇ベトナム:新法・新政令における労働許可証の免除(2) 井上皓子(2021/05/07)

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ベトナム:新法・新政令における労働許可証の免除(2)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 井 上 皓 子

 

 「ベトナムで就労する外国人労働者及びベトナムにおける外国組織で就労する労働者に関する政令第152/2020/NÐ-CP号」(2021年2月15日施行、以下「新政令」といいます。)における外国人労働者の労働許可証に関する変更点について解説します。今回は、労働許可証が免除される場合のうち、特に実務への影響が大きい点について解説します。

 

2. 実務への影響

 1に記載したもののうち、特に6及び7にかかる変更については、旧法・旧政令下で労働許可証免除が積極的に活用されてきたものであり、実務に与える影響が大きいと考えられます。

 6について、改正前は、派遣元での雇用期間が12か月以上あることが要件とされていましたが、今般の改正により、この12か月の勤務期間は、連続した期間であることが要件とされることになりました。そのため、派遣直前の12か月の間に、グループ内であっても、別企業に転籍等の形で勤務されていたような場合は、注意が必要です。

 7については、これまで、1年に何度も来越されてきた方に特に注意が必要です。旧法・旧政令下では、1回30日未満、年90日以内であれば何度も来越出張が可能でしたが、新政令においては、労働許可証を取得しない限り、年間3回までの出張しかできないことになります。通常出張者がよく利用されるDN1ビザでの入国であっても、年間4回以上の出入国をされる場合には、本条に基づいて労働許可証の取得が要求される可能性がありますので、今後の動向に留意が必要です。

 また、いずれの場合でも、法・政令の改正により労働許可証免除の対象から外れてしまうことになった場合、免除期間を明確に示す当局からの書面があれば、その期間内は労働許可証の取得は免除されることになります。6の場合は、免除対象者確認書がこれにあたり、その有効期間内は労働許可証の取得が不要ですが、1や7の場合、旧政令下では確認手続きも不要とされていたことから、こうした書類はお持ちではない可能性が高いと思いますので、法文上は速やかに労働許可証取得の手続きが必要になることになります。政令施行からまだ間もなく、当局も統一した見解を持っていないようですが、該当する場合は、速やかに管轄当局にご相談いただくことをお勧めします。

 


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(いのうえ・あきこ)

2008年東京大学法学部卒業。2010年東京大学法科大学院修了。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2018年より、長島・大野・常松法律事務所ハノイ・オフィス勤務。
日本企業によるベトナムへの事業進出、人事労務等、現地における企業活動に関する法務サポートを行っている。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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