◇SH3712◇東証、市場第一部上場会社における社外取締役選任状況・委員会設置状況を更新――2019年・2020年集計に続き顕著な増加、指名・報酬各委員会設置比率も7割水準に (2021/08/10)

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東証、市場第一部上場会社における社外取締役選任状況・委員会設置状況を更新

――2019年・2020年集計に続き顕著な増加、指名・報酬各委員会設置比率も7割水準に――

 

 東京証券取引所は8月2日、「東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況」を発表した。

 東証において上場会社が提出したコーポレート・ガバナンスに関する報告書(以下「CG報告書」という)に基づき集計・発表している独立社外取締役の選任状況、指名委員会・報酬委員会の設置状況に関する取りまとめの最新版となる。本年は7月14日までに提出されたCG報告書により市場第一部上場会社2,191社を対象とした(2020年は2,172社。2019年集計の紹介として、SH2727「東証、市場第一部上場会社における独立社外取締役の選任状況等を更新――報酬委員会の設置比率が初めて5割を超える」(2019/08/21)既報)。

 東証は本年集計につき「市場第一部において、3分の1以上の独立社外取締役を選任する会社の割合は7割を超え」ており、また「指名委員会・報酬委員会を設置する会社の割合は、おおむね7割」となっていると総括。現行の各市場を2022年4月4日、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3市場に再編する「市場構造の見直し」に関する手続が進行中であるところ、本年集計は当該見直し前の時点の実態を把握できるものとも捉えられ、東証では併せて「※2021年6月公表の改訂コーポレートガバナンス・コードでは、原則4-8において、プライム市場上場会社は、独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(必要と考える場合には過半数)選任すべき旨が示されています。また、補充原則4-10①において、プライム市場上場会社は、指名委員会・報酬委員会の構成員の過半数を独立社外取締役とすることを基本とする旨が示されています。(いずれも2022年4月4日適用)」との説明を付記した。なお、本集計における「独立社外取締役」とは、独立役員(独立性の高い社外取締役または社外監査役)として届け出られている社外取締役を意味する。

 本年集計より市場別に「会社法上の機関設計の選択状況」を確認すると(括弧内は前年分となる2020年集計による。以下同様)、(ア)市場第一部:2,191社(2,172社)では(a)指名委員会等設置会社:69社・3.1%(63社・2.9%)、(b)監査等委員会設置会社:750社・34.2%(662社・30.5%)、(c)監査役会設置会社:1,372社・62.6%(1,447社・66.6%)といった選択状況となっており、他の市場についてはそれぞれ次のとおり。(イ)市場第二部:473社(480社)中、(a)指名委員会等設置会社:4社・0.8%(4社・0.8%)、(b)監査等委員会設置会社:173社・36.6%(171社・35.6%)、(c)監査役会設置会社:296社・62.6%(305社・63.5%)。(ウ)マザーズ:372社(326社)中、(a)指名委員会等設置会社:4社・1.1%(5社・1.5%)、(b)監査等委員会設置会社:104社・28.0%(85社・26.1%)、(c)監査役会設置会社:264社・71.0%(236社・72.4%)。(エ)JASDAQ:699社(699社)中、(a)指名委員会等設置会社:4社・0.6%(4社・0.6%)、(b)監査等委員会設置会社:210社・30.0%(188社・26.9%)、(c)監査役会設置会社:485社・69.4%(507社・72.5%)。機関設計として「監査等委員会設置会社」を選択する会社が、市場第一部およびマザーズにおいて近年の傾向どおり引き続き顕著に増加していること、本年集計によってはJASDAQにおいても顕著な増加を示したことが把握できる。

 これらのうち市場第一部上場2,191社(2,172社)について(1)2名以上の独立社外取締役の選任状況、(2)全取締役の3分の1以上となる独立社外取締役の選任状況、(3)全取締役の過半数となる独立社外取締役の選任状況をみると、(1)に関しては2,126社・97.0%(2,070社・95.3%)において2名以上を選任、(2)は1,595社・72.8%(1,276社・58.7%)。(2)の集計からは、市場第一部において独立社外取締役が全取締役の3分の1以上を占める上場会社の比率が前年集計比14.1ポイント増加した結果、東証が総括したように7割を初めて超え、72.8%に至っていることが確認できる。また、上記(3)の集計によれば168社・7.7%(130社・6.0%)にとどまっており、過半数を占める上場会社については、なお漸増段階にあるといえる。

 続いて(4)指名委員会の設置状況、(5) 報酬委員会の設置状況をみると、任意で設置する会社を含み(4)につき1,452社・66.3%(1,259社・58.0%)、(5)につき1,541社・70.3%(1,326社・61.0%)と増加傾向が継続。任意設置の(4)指名委員会の平均人数は4.7人(4.7人)であるところ、過半数が社外取締役である上場会社の比率は76.0%(68.1%)となった。また同様に(5)報酬委員会の平均人数は4.7人(4.6人)、過半数が社外取締役である上場会社の比率は75.9%(67.7%)となっており、いずれも委員会の員数はほぼ変わらない状況下、社外取締役を過半数とする会社が7割を超える現状となっている。

 

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