◇SH3787◇東京機械製作所、いわゆる買収防衛策の承認議案を巡りISSが賛成推奨した旨を株主向けに発表――株主意思確認総会の10月22日開催を控え、アジア開発キャピタル側も継続的に理解と支援を求める動き (2021/10/13)

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東京機械製作所、いわゆる買収防衛策の承認議案を巡り
ISSが賛成推奨した旨を株主向けに発表

――株主意思確認総会の10月22日開催を控え、アジア開発キャピタル側も継続的に理解と支援を求める動き――

 

 東京機械製作所(本店・東京都港区。東京証券取引所市場第一部上場)は10月4日、同社株式の大量取得に対して「当社株式の大規模買付行為等への対応方針」(以下「対応方針」という)に基づき、いわゆる買収防衛策として行う対抗措置の発動について株主総会の承認を得ようとする議案を巡り「世界最大手の議決権行使助言会社である Institutional Shareholder Services, Inc.(以下「ISS 社」といいます。)が、2021年10月3日付けの同社レポート(以下「賛成推奨レポート」といいます。)において、「賛成推奨」を行ったとの情報を入手いたしましたので、当社株主の皆様のご参考のために、お知らせいたします」と発表した。10月11日には「当社機関投資家株主との対話状況に関するお知らせ」と題し、当該株主総会に向け「コーポレートガバナンス・コード」「投資家と企業の対話ガイドライン」の趣旨などを踏まえて行っているとする中長期保有の機関投資家株主との対話の概要を「当社株主の皆様へ参考となる情報提供を行う」との観点から発表している。

 東京機械製作所が10月22日に開催を予定する臨時株主総会では、同社株式についてアジアインベストメントファンド(本店・東京都中央区。以下「AIF」という)およびその共同保有者であるアジア開発キャピタル(本店・AIFと同一、AIFの完全親会社。東京証券取引所市場第二部上場)が市場内取引により取得を継続しているとして8月6日の取締役会で「会社の支配に関する基本方針」とともに決議した「対応方針」に基づき、独立委員会に対する諮問とその勧告を受け、取締役会において取締役全員の一致により対抗措置として発動すべく8月30日に決議した「新株予約権の無償割当て」を唯一の議題とし、株主意思の確認が行われる。東京機械製作所は9月29日、本株主意思確認総会を10月22日に開催すること、付議議案を「新株予約権の無償割当ての件」とすることを取締役会で決議、発表していた。

 AIFらの株式取得に関して東京機械製作所による当初段階の発表が確認できるのは7月29日付「主要株主および主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」である。AIFがアジア開発キャピタルを共同保有者として筆頭株主となっているとするもので(編注・3月31日現在の筆頭株主は所有株式数500,000株の損害保険ジャパンであった)、7月29日付で提出された大量保有報告書(変更報告書)に基づき、7月20日現在の所有株式数が1,032,400株(総株主の議決権数に対して11.83%)であることをアナウンスした。続いて8月6日、(1)AIFらが、東京機械製作所において認識するかぎり、6月9日より市場内において買い増し、7月21日現在、株券等保有割合32.72%に相当する同社株式を保有するに至っていること、(2)AIFらの7月20日提出の大量保有報告書では保有目的を「純投資」としていたが、7月21日提出の大量保有報告書の変更報告書では「支配権の取得。ただし、現時点で、発行者に取締役候補者を派遣することは予定していない」と変更していること、(3)経営支配権を取得した後の経営方針等に関する情報を提供し、かつそれを検討するための考慮期間を確保するよう書面で8月3日に要請したが、8月6日に至るまで連絡はないことなどを説明したうえで、東京機械製作所として「本買集めの目的ないしその結果が、当社の企業価値ないし株主共同の利益に反するおそれは否定できないものと認識しております」とし、「対応方針」の導入などを発表した。

 一方のAIFらにおいては、アジア開発キャピタルが8月4日付で「当社は、本日、株式会社東京機械製作所から、下記の文書を受領いたしました」とし、8月3日付の東京機械製作所代表取締役名による「貴社らによる当社株式の取得について」と題する文書を公表。続く8月10日付発表では、同様にアジア開発キャピタルが「当社は、本日、株式会社東京機械製作所に対して、下記の文書を送付いたしました」とAIFとの連名で送付した「回答書」を公開し、(1)東京機械製作所による8月3日付要請書面のAIFらへの到達・了知から東京機械製作所の8月6日付「対応方針」の公表までの間はわずか1営業日しかなく、回答するために最低限必要な時間すら与えられたとはいえないことなどから、東京機械製作所側の記述につき「事実を歪曲するものであり、一般株主・投資家を誤導して、当社らについて悪い印象付けをすることを企図した不当なものであるといわざるを得」ないこと、(2)株式価値が市場から著しく低廉に評価されていることから、引き続き東京機械製作所の現経営陣に経営を委ねたうえで現経営陣と建設的な対話を重ね、株主総会における議決権を適切に行使することを通じて企業価値・株式価値を向上することができるものと考え、支配権の取得を目的として株式の取得を行うに至ったこと、(3)「当社らが貴社株式を取得したことが、貴社の企業価値・株式共同の利益を損なうものではないと考えて」いることを表明しつつ、(4)「対応方針」は株主総会決議を経たものではなく、したがって「本対応方針に定めた手続を遵守していないことを理由に、貴社取締役会決議限りで対抗措置の発動を決定して差別的取得条件等が付いた新株予約権の無償割当てを行うことは、近時の裁判例に照らせば、独立委員会の勧告を経ているか否かを問わず、事後的にせよ株主総会における株主意思の確認を経ていない以上、会社法247条2号にいう不公正な方法による発行に該当して許されるものではないと考えております(東京高決令和3年4月23日、東京地決令和3年4月7日、東京地決令和3年4月2日)」と述べた。

 なお、以上に紹介したやりとり以後も質問に対する回答・反論、追加質問などの対話が継続してなされているところであるが、AIFらの動向についてはアジア開発キャピタルが9月17日に開設した「特設ホームページ」に取りまとめて掲げられており、東京機械製作所についても同社が「アジアインベストメントファンドら関連情報」として一覧できるページを設けて提供しているため、適宜参考とされたい。本件に特徴的と捉えられる動きとしては、次のものがある。(ア)製造する新聞輪転機等を利用している全国の新聞社40社から、AIFらの「買集め行為に関し、当社の日常の業務運営等に支障が生じることに懸念を抱いている旨の書簡を受領」したとする9月10日付東京機械製作所発表。(イ)対抗措置の発動としての新株予約権無償割当ての差止仮処分命令を求める申立てを東京地方裁判所に行ったとする9月17日付・22日付アジア開発キャピタル発表(9月22日付発表では申立書を公表)、関連して9月18日付・21日付・22日付東京機械製作所発表。(ウ)所有する株式(議決権割合40.2%)に係る議決権行使を許容する仮処分命令を求める申立てを東京地方裁判所に行ったとする9月22日付アジア開発キャピタル発表、関連して9月24日付・27日付東京機械製作所発表。(エ)保有株式について短期で売却しないなどとする6項目の遵守を誓約書として東京機械製作所宛にFAX送信したとする10月1日付アジア開発キャピタル発表、関連して10月4日付東京機械製作所発表。

 議決権行使助言会社ISSの賛成推奨に係る東京機械製作所の10月4日付発表によれば、ISSは賛成推奨レポートにおいて(i)AIFらが支配権の取得後に実現しようとしているビジネスプランについて何ら開示していないこと、(ii)アジア開発キャピタルグループは過去5年間、損失が計上されるとともに営業キャッシュフローもマイナスであること、(iii)アジア開発キャピタルが会計監査人から継続企業の前提について疑義を提起されていること、(iv)アジア開発キャピタルの子会社の不適切な会計処理に関して東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定されるとともに違約金を徴求されるなど、アジア開発キャピタルの内部統制システムに重大な不備が存在していることなどを指摘したうえで「①本対応方針が、本買集めの目的を明確にせず、かつ財務面や法令遵守に係るトラックレコードに疑義のあるアジアインベストメントファンドらからの防衛を特に意図したものであること、②継続企業の前提に疑義のあるアジアインベストメントファンドらが当社を支配した場合において、当社の一般株主の利益に資することとなるシナリオが想像し難いこと」を賛成推奨理由として挙げているとされる。

 また、10月22日開催予定の臨時株主総会に向けては、東京機械製作所によると、(1)独立委員会の勧告を踏まえ、決議事項について、AIFら(3,453,300株〔アジア開発キャピタルは基準日である9月14日現在の株主名簿に記載されていないため、3,453,300株は当該株主名簿に記載のあるAIFの株式数〕)、東京機械製作所の取締役4名(計14,200株)、それぞれに関係する者として独立委員会が認める者(利害関係者)を除く出席株主の議決権の過半数の賛同を決議要件とすることとしているところ、本利害関係者として、①SCBHK AC SUN HUNG KAI INVESTMENT SERVICES LIMITED-CLIENT AC(スタンダードチヤータードバンクホンコン サン ハン カイ インベストメント サービシーズ リミテッド クライアントアカウント、アジア開発キャピタルの筆頭株主。31,900株)、②東機役員持株会(現取締役の所有分のみ。659株)が認定されていること(9月29日付発表)、 (2)「既に、当社自ら、会社法第306条第1項に基づき、東京地方裁判所に対して、株主総会検査役の選任の申立てを行っており、同年9月24日付けで、同裁判所より株主総会検査役の選任の決定を受けて」いること(10月1日付発表)が明らかにされている。

 アジア開発キャピタルは10月7日、株主宛に前日6日、委任状勧誘書類を送付したと発表。説明資料の表紙には「不当な買収防衛策導入に反対の意思表示をお願いします!」と掲げた。東京機械製作所にあっても同社ホームページのトップページ上方に大きめの書体を用い「アジア開発キャピタルが当社の株主様に対して委任状勧誘書類を送付した旨をホームページで公表していますが、アジア開発キャピタル・アジアインベストメントファンドへの委任状のご返送はお控え頂き、当社が10月6日に株主様に発送しました招集通知及び同封資料をお読みいただき、当社宛てにピンク色の封筒に同封の返信用封筒で委任状及び議決権行使書を一緒にご返送ください」(編注・10月11日閲覧)と要請している。

 

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