◇SH3806◇経産省と総務省、企業・消費者向けに実施した「プライバシーガバナンスに関するアンケート結果(速報版)」を発表――「消費者とのコミュニケーションは道半ば」と評価、2021年度末を目途に実践事例など含む報告書公表へ (2021/10/27)

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経産省と総務省、企業・消費者向けに実施した「プライバシーガバナンスに関するアンケート結果(速報版)」を発表

――「消費者とのコミュニケーションは道半ば」と評価、2021年度末を目途に実践事例など含む報告書公表へ――

 

 経済産業省と総務省は10月18日、速報版となる「プライバシーガバナンスに関するアンケート結果」を発表した。

 インターネットによる調査を本年8月(消費者向け)・9月(企業向け)に行った。有効回答数は消費者向け314名、企業向け291社。企業向けの調査は IoT・ビッグデータ・AI時代に対応して産学官の連携を目指すコンソーシアム「IoT推進コンソーシアム」の会員企業などを中心になされた。経産省・総務省では2020年8月28日、「IoT推進コンソーシアム データ流通促進ワーキンググループ」(座長:森川博之東京大学大学院教授)の下に設置した「企業のプライバシーガバナンスモデル検討会」(座長:佐藤一郎国立情報学研究所教授)により取りまとめられた「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックver1.0」を公表しており、今年7月19日には具体的事例を追加するなどして「ver1.1」へと更新している。今般のアンケート結果公表には「本ガイドブックをより多くの人に知っていただき、プライバシーガバナンスに取り組む企業の皆さまがその取組をより前に進められるよう」にする狙いがある。

 アンケート結果(速報版)から、まず消費者の意識を確認すると(ア)「あなたは、プライバシー保護(例えば、個人情報、個人情報に限定されない個人の行動・状態に関するデータ、プライバシー性の高い情報などの適切な取扱い)に関して、どの程度関心をお持ちですか」との問いに対しては「非常に関心がある」とする回答が54名(17.2%)、「やや関心がある」とする回答が177名(56.4%)から寄せられており、両者を合わせて231名(73.6%)が自らのプライバシー保護に関心を示していることが明らかになった。

 (イ)情報提供に関する具体的な意識としては「割引などの金銭的利益やポイントの有無に関わらず、自分自身に関する情報の提供は信頼できる事業者かどうか見極めた上で慎重に行う」が120名(38.2%)、「情報漏洩などの不安があるので、原則として自分自身に関する情報の提供は最小限に留めている」が101名(32.2%)となり、計221名(70.4%)が慎重な姿勢を示している。

 また、類似商品・サービスの購入に当たって(ウ)「その商品・サービスが、あなたのプライバシーに影響を与える可能性があるような情報を取り扱うとしたら、提供企業の『プライバシーへの取組』を、あなたはどの程度考慮しますか」と、企業のプライバシーに関する取組姿勢と消費行動との関連を消費者に問う設問では「非常に考慮する」が60名(19.1%)、「考慮する」が119名(37.9%)、「やや考慮する」が99名(31.5%)となり、約9割(278名・88.5%)において企業の取組姿勢を考慮していることが分かった。

 一方、企業側に対して「プライバシーへの取組を発信することで、顧客の消費行動にどの程度影響を及ぼすことができると思いますか」と尋ねた設問では「影響を及ぼすことができると思う」が56社(19.2%)、「多少影響を及ぼすことができると思う」が115社(39.5%)と、両者を合わせて171社(58.8%)に留まっているほか、「どちらとも言えない」とする回答が83社(28.5%)に及んでいる。

 このような消費者・企業間の認識の差は他の設問によっても明らかにされた。たとえば(a)企業において「プライバシーに関する問題が発生した際に、フォローアップなどの体制を整えている」といった取組を仮に行っているとする場合、当該取組に対する消費者の評価として「評価できる」が204名(65.0%)に上るのに対し、実際に取り組んでいる企業は84社(28.9%)に留まった。同様に(b)企業が「顧客から取得した個人に関する情報について、情報の提供先と種類の確認・変更、取扱いに係る同意事項の確認などができる機能を提供している」場合、消費者において「評価できる」が195名(62.1%)であったのに対し、実際に取り組んでいる企業は97社(33.3%)。また(c)「消費者団体などと対話し、継続的に自社の取組を見直している」といった取組に対し、消費者として「評価できる」との回答が180名(57.4%)を数える一方、実際に取り組んでいる企業は5社(1.7%)と極めて低位に留まっているものもあり、公表資料では「消費者とのコミュニケーションは、まだ多くの企業が道半ばである」と総括している。

 今般のアンケート結果(速報版)では、現時点で企業側の体制的な対応が比較的進んでいる①プライバシーステートメントや組織全体での行動原則を明文化している、②プライバシー保護に関する責任者を置いている、③プライバシー保護組織などの内部体制を構築し、課題に取り組んでいる――といった取組に関する設問や、現時点では限られた企業において進展中とみられる④外部の有識者などに定期的に意見を聞く場を設置し、第三者の目で自社の取組を見直している、⑤個人情報保護だけでなく、プライバシー保護に関する運用等のルールを策定し、社内に周知している、⑥個人情報保護だけでなく、プライバシーに関しても、e-Learning・研修等の定期的な従業員教育を実施している――といった取組に関する設問への回答状況も公開している。取組ごとの消費者・企業間の認識の差も明らかになっており、適宜参考とされたい。

 本アンケート調査を巡り経産省および総務省では、詳細な分析を今後行い、2021年度末を目途として「個別ヒアリング等により実践事例なども取りまとめた調査結果報告書」を公表する予定である。

 

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