SH3829 経産省、生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議の取りまとめを公表 沢崎敦一/徳備隆太(2021/11/16)

取引法務個人情報保護法

経産省、生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に
関する合同会議の取りまとめを公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 沢 崎 敦 一
弁護士 徳 備 隆 太

 

1 指針見直しの背景

 令和2年6月の個人情報の保護に関する法律(以下「個情法」という。)の改正および令和3年5月の個人情報関連法の改正に伴って、「生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議」を開催し、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(以下「指針」という。)のうち個人情報に関連する規定について見直しを行っている。

 

2 主な改正事項と検討事項

 指針に関連する個情法の主な改正事項および指針への反映事項は以下のとおりである。

 

個情法の主な改正事項 指針への反映事項 検討事項
①個人情報の定義等の統一(令和3年改正)
  1.  • 個人情報の定義等を国・民間・地方で統一 等
  1.  • 個人に関する情報の用語(個人情報、匿名化等)の定義の見直し

 • (1)の 1)

②学術研究に係る適用除外規定について、義務ごとの例外規定として精緻化(令和3年改正)
  1.  • 民間部門の学術研究機関にも、安全管理措置等に関する義務については、他の民間事業者と同様の規律を課す
  2.  • 学術研究機関等が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合に関し、①利用目的による制限、②要配慮個人情報の取得制限、③個人データの第三者提供の制限などの規律について、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合を除き、一定の例外規定を置く 等
  1.  • 指針の適用範囲、指針における個人情報の管理主体
  2.  • 令和3年改正法における学術例外規定の精緻化を受けたIC等の手続の見直し
     
  3.   ① 新たに試料・情報を取得して研究を実施する場合
  4.   ② 自機関で保有する既存試料・情報を用いて研究を実施する場合
  5.   ③ 他の研究機関に既存試料・情報を提供する場合
  6.   ④ 既存試料・情報の提供を受けて研究を実施する場合

 • (1)の2)、3)
 • (2)全体
 • (3)の3)、4)

③「仮名加工情報」の創設、個人関連情報の第三者提供規制(令和2年改正)
  1.  • 氏名等を削除した「仮名加工情報」を創設し、内部分析に限定する等を条件に、開示・利用停止請求への対応等の義務を緩和
  2.  • 提供元では個人データに該当しないものの、提供先において個人データとなることが想定される情報の第三者提供について、本人同意が得られていること等の確認を義務付け 等
  1.  • 指針の対象となる情報の整理
  2.  • 個人関連情報の位置づけ

 • (1)の 1)
 • (3)の 1)

④事業者の守るべき責務の在り方、個人の権利の在り方(令和2年改正)
  1.  • 漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれがある場合に、委員会への報告及び本人への通知の義務化
  2.  • 違法又は不当な行為を助長する等の不適正な方法により個人情報を利用してはならない旨の明確化
  3.  • 保有個人データの開示方法について、電磁的記録の提供を含め、本人が指示できるようにする 等
  1.  • 個人情報の漏えい等の個人の権利義務を害するおそれのある場合の報告及び本人への通知、個人情報の不適正な利用の禁止、本人による個人情報の開示請求・利用停止請求の各規定の見直し

 • (3)の 5)、6)、7)

*経産省作成

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(さわさき・のぶひと)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。1999年3月東京大学法学部卒業、2001年弁護士登録(54期)。データプライバシー法務、労働法務を中心に、企業法務全般を広く取り扱う。データプライバシー法務に関しては、業界の指針の作成・改正に携わったほか、金融機関、共通ポイントプログラム運営事業者、Eコマース事業者を中心に国内外のクライアントに対し多数の案件についてアドバイスをしている。

(とくび・りゅうた)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2017年東京大学薬学部卒業。2018年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主にヘルスケアや薬事に関連した事件、相談を取り扱っている。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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