特許出願非公開制度に関し、 国際特許分類の改正に伴い
経済安全保障推進法施行令が改正
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・弁理士 後 藤 未 来
弁理士 山 﨑 貴 明
1 はじめに
2022年5月11日に、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」(以下「経済安全保障推進法」という。)が成立し、2024年5月1日より、経済安全保障推進法に基づき、特許出願非公開制度が開始された。特許出願を非公開にするか否かの審査は、特許庁による第一次審査と内閣府による第二次審査(保全審査)との二段階に分けて行われる。特許庁の第一次審査では、特許出願の中から、国際特許分類(IPC)またはその小分類に基づいて特定技術分野に属する発明が記載されている出願が選別され、選別された出願の書類が内閣総理大臣に送付され、保全審査において、特許出願の明細書などに記載された発明が保全されるか否かが決定される。
今般、特許庁の第一次審査で用いられる国際特許分類などが改正され、2025年1月1日より新しい分類記号が発効することとなった。これに伴い、2024年11月20日に、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律施行令(以下「経済安全保障推進法施行令」という。)の一部が改正(以下「本改正」という。)され、令和7年1月1日に施行された[1]。なお、本改正は、特定技術分野を特定するために用いられる国際特許分類およびその小分類の記号を変更することによる経済安全保障推進法施行令の改正であり、特定技術分野の範囲を実質的に変更するものではない。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(やまざき・たかあき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁理士。2008年弁理士登録。2022年英国特許弁理士・商標弁理士一部認可。電気・機械分野に関する国内外の特許出願案件の経験が豊富であり、特許権侵害訴訟や、特許無効審判などの権利化後の特許権の利活用に関する案件も担当する。また、スタートアップ、中小企業における知財戦略に関する業務も多数担当。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
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