令和4年度税制改正大綱が閣議決定
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 下 尾 裕
政府は令和3年12月24日、令和4年度税制改正大綱を閣議決定した。当該税制大綱においては、「成長と分配の好循環の実現」および「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」等をキーワードに、多数の改正項目が盛り込まれている。
本稿では、法人課税を中心に、税制改正大綱で言及されている改正項目について解説する。
1 積極的な賃上げ等を促すための措置
現行税法において賃上げ等を促すための措置としては、「所得拡大促進税制」が存在するが、令和4年税制改正においては、これを「賃上げ促進税制」の名称に改めたうえで、以下のとおり各税制の拡充がなされる予定になっている。
[適用対象]
適用対象:青色申告書を提出する企業等
適用期間:令和4年4月1日~令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度
(個人事業主は、令和5年分および令和6年分)
[要件等]
大企業(資本金1億円超の企業等)向け | |
必須要件 | 追加要件(+5%税額控除) |
1-1 25%税額控除 継続雇用者の給与等支給額が前年比で4%以上増加 または |
教育訓練費が前年度比で20%以上増加 |
1-2 15%税額控除 継続雇用者の給与等支給額が前年度比で3%以上増加 |
|
2 (資本金10億円以上かつ常時使用する従業員1000人以上の企業)従業員への還元や取引先への配慮を行うことをインターネットを利用する方法により公表したことを経済産業大臣に届け出ていること | |
中小企業者等(資本金1億円以下の企業等)向け | |
必須要件 | 追加要件(+10%税額控除) |
1-1 30%税額控除 雇用者全体の給与等支給額が前年比で2.5%以上増加 または |
教育訓練費が前年度比で10%以上増加 |
1-2 15%税額控除 雇用者全体の給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加 |
※税額控除の上限は、法人税額または所得税額の20%
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(しもお・ゆたか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所)スペシャル・カウンセル。2004年京都大学法学部卒業。2006年弁護士登録(大阪弁護士会)。2012年7月~2014年7月東京国税局(調査第一部調査審理課 国際調査審理官)勤務。税務、ウェルスマネジメントおよび紛争解決を中心に、一般企業法務を広く取り扱う。
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