SH3881 金融庁、「記述情報の開示の好事例集2021」を公表 齋藤宏一(2022/01/18)

組織法務ディスクロージャーサステナビリティ

金融庁、「記述情報の開示の好事例集2021」を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 齋 藤 宏 一

 

1 はじめに

 金融庁では、投資家と企業との建設的な対話に資する充実した企業情報の開示を促すため、2018年度以降、随時「記述情報の開示の好事例集」を公表している(最終公表日:2021年3月)。今般、2021年12月21日付で、新たに「サステナビリティ情報」に関する開示の好事例を取りまとめた「記述情報の開示の好事例集2021」(以下「本事例集」という。)が公表された。

 「サステナビリティ情報」に関する開示は、サステナビリティ項目(ESG事項(環境・社会・ガバナンス)や戦略、リスクマネジメント等)のうち、企業価値に関連する情報の開示と一般に定義されており[1]、近年、社会的な関心が高まっている項目の一つである。

 本事例集では、「サステナビリティ情報」のうち、とりわけ「気候変動関連」と「経営・人的資本・多様性等」の開示例が紹介されており、同様の開示を行う企業にとって大いに参考となるように思われる。

 

2 「気候変動関連」の開示例

 「気候変動関連」は、全部で13社の開示例が掲げられているが、これらの開示例についての投資家・アナリストからのコメントは次のとおりである。

  1. ① TCFD提言(下表参照)の4つの枠組みに沿った開示は有用
  2. ② 気候変動リスクをどのようにモニタリングしているかを開示することは重要
  3. ③ リスクと機会の両面からの開示は、投資判断に欠かせない
  4. ④ 気候変動が自社にとってどのようなリスクがあり、戦略上重要なのかといった事実認識を開示すべき
  5. ⑤ リスクの増減がどのように財務に影響を与えるかを開示することが重要であり、定量的な財務影響の情報は投資判断にとっても非常に有用
  6. ⑥ 温室効果ガスの排出量等の過去の実績数値の開示は、企業価値の分析を行う上で有用な情報

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(さいとう・こういち)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。1999年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録(第一東京)。2008年ハーバード・ロースクール(LLM)修了、2008-2009年ハーバード・ロースクール客員研究員。2009年ニューヨーク州弁護士登録。SDGs、ダイバーシティ、ビジネスと人権、人的資本への投資等、サステナビリティという観点からの企業の事業運営に関連して精力的に活動を行っている。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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