◇SH3909◇GPIF、2021年度の「優れた統合報告書」と併せて「運用機関が特に重視する項目」を発表――前年度同水準の選定も4機関以上高評価は5社減、3機関以上高評価の「改善度の高い統合報告書」は該当なし (2022/02/16)

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GPIF、2021年度の「優れた統合報告書」と併せて
「運用機関が特に重視する項目」を発表

―前年度同水準の選定も4機関以上高評価は5社減、3機関以上高評価の「改善度の高い統合報告書」は該当なし―

 

 年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund. 以下「GPIF」という)は2022年2月7日、2021年度の「GPIFの国内株式運用機関が選ぶ『優れた統合報告書』と『改善度の高い統合報告書』」を発表した。今年度から「統合報告のなかで運用機関が特に重視する項目や記載を充実してほしい項目」を調査、項目別に一覧化して公表しており、適宜参考とされたい。

 GPIFが例年、国内株式の運用委託機関に選定を依頼して取りまとめているもので、運用委託機関に対しては「優れた統合報告書」「改善度の高い統合報告書」について各々最大10社の選定を要請。4機関以上の運用機関から高い評価を得た「優れた統合報告書」「改善度の高い統合報告書」については発行企業名を評価機関の数とともに公表している。同一の標題によるリリースは2017年度(2018年1月19日発表)に開始され、今年度で5度目を数えるに至った(ただし、2017年度の発表においてのみ “4機関以上の運用機関から高い評価を得た” ではなく “特に多くの運用機関から高い評価を得た” 優れた統合報告書、改善度の高い統合報告書の発行企業名が公表された)。

 2021年度の今回は「優れた統合報告書」について延べ77社(2020年度〔2021年2月24日発表〕:77社、2019年度〔2020年2月7日発表〕:71社。以下同様)が、「改善度の高い統合報告書」について延べ100社(2020年度:94社、2019年度:91社)が選ばれた(なお、2019年度の概況を紹介するものとしてSH3009 GPIF、2019年度の「優れた統合報告書」等を発表――4機関以上選定は2社減、「改善度の高い統合報告書」に2年度連続でミネベアミツミ (2020/02/18)既報、2018年度〔2019年1月25日発表〕についてSH2395 GPIF、国内株式運用機関が選ぶ「優れたコーポレート・ガバナンス報告書」、「優れた統合報告書」等を公表(2019/03/12)既報)。

 今年度選ばれた延べ77社の「優れた統合報告書」中、4機関以上の運用機関から高い評価を得たのは次の6社である。

高い評価 企業名(証券コード順)

5機関

 日立製作所

 リコー

 三菱UFJフィナンシャル・グループ

 東京海上ホールディングス

4機関

 オムロン

 伊藤忠商事

 同様に2020年度においては11社が、2019年度は9社が選定されており、2021年度・2020年度の2か年度連続で選定されているのは日立製作所、リコー、東京海上ホールディングス、オムロン、伊藤忠商事の5社。2021年度・2020年度・2019年度の3か年度にわたって選定されているのは日立製作所、伊藤忠商事の2社となる。伊藤忠商事は2017年度から5回連続で選ばれている唯一の企業となっている。

 今年度初めて4機関以上から高い評価を得た三菱UFJフィナンシャル・グループに寄せられた運用機関からのコメントをみると、「とくにCEOメッセージは投資家に寄り添う姿勢で課題もあぶりだしながら進む方向を示している点が好印象」「トップが自らの言葉で課題認識を語り、後続のコンテンツで……具体的な取組みを丁寧に解説する構成が秀逸」「CEOの力強いメッセージが統合報告書に一貫して表れて」いるといった、トップメッセージのあり方を軸に評価する声が高かった。

 一方の「改善度の高い統合報告書」について、4機関以上から高い評価を得た統合報告書として2019年度には2社が、2020年度には4社が選定されていたところ、2021年度においては「該当企業なし」となっている。3機関から高い評価を得たものもなく(2020年度:2社、2019年度:4社)、2機関から高い評価を得たものが15社となり(2020年度:17社、2019年度:20社)、1機関から高い評価を得たものは85社にのぼった(2020年度:71社、2019年度:65社)。

 

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