SH3926 東京証券取引所、「SPAC上場制度の投資者保護上の論点整理」を公表――SPACの一般的なスキームと、同論点整理の概要 深沢篤嗣(2022/03/04)

組織法務資本市場・IPO

東京証券取引所、「SPAC上場制度の投資者保護上の論点整理」を公表――SPACの一般的なスキームと、同論点整理の概要――

岩田合同法律事務所

弁護士 深 沢 篤 嗣

 

1 はじめに

 2022年2月16日、「SPAC制度の在り方等に関する研究会」(以下「本研究会」という。)は、5回にわたる研究会での議論の中間的な整理として、「SPAC上場制度の投資者保護上の論点整理」(以下「本論点整理」という。)を公表した。

 SPAC(Special Purpose Acquisition Company)とは、他の会社又は他の会社の営む事業の買収のみを目的として設立された株式会社のことであり、SPACが上場した後に、非上場会社を買収しこれと合併することで、当該非上場会社が創業直後などの段階で上場可能となるスキームである。諸外国では同様の制度が設けられている国も多く、特に米国では広く活用されており、2021年9月30日までに1083社のSPACが上場し、うち、413社が買収を完了している。

 本研究会は、SPACを我が国でも導入することの意義及び必要性を整理するとともに、諸外国における制度及び実務を踏まえつつ、我が国において制度構築を行う場合の課題の検討・提言を行うために設置されたものであり、東京証券取引所がその事務局を務めている。

 本稿においては、本論点整理で示された主要な論点につき、対応する一般的なSPACの制度とあわせて解説する。

 

2 SPACのスキーム

 一般的なSPACのスキームは、下図のとおりである。

 

(出典:本研究会「事務局説明資料(第1回研究会)」4頁)

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(ふかざわ・あつし)

岩田合同法律事務所パートナー。2008年慶應義塾大学大学院法務研究科修了。2009年弁護士登録。2013年4月から2014年3月まで、金融庁証券取引等監視委員会取引調査課に出向、インサイダー取引、相場操縦行為等の調査に携わる。金融法務、企業法務等を専門とする。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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