経産省、「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」を作成・公表
――AI導入ガイドブックも拡充、製造業向け「需要予測」「予知保全」「図面自動見積り」を公開――
経済産業省は4月8日、中堅・中小企業等におけるDX（デジタルトランスフォーメーション）推進のための「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」および「中小企業向けAI導入ガイドブック」を取りまとめたとして公表した。
中小企業向けAI導入ガイドブック（以下「AI導入ガイドブック」という）についてはすでに昨年（2021年）3月31日、「中小企業におけるAI活用のニーズが高く、優先的に導入が必要だと考えられた」領域とし、先行して①AI導入ガイドブック 需要予測（小売り、卸業）、②AI導入ガイドブック 外観検査（部品、良品のみ）、③AI導入ガイドブック 外観検査（部品、不良品あり）を公開。今般の公表に当たっては、新たに（A）AI構想段階における「1 AI導入ガイドブック 構想検討パンフレット」とともに（B）AI導入段階における「2 AI導入ガイドブック 需要予測（製造）」「3 AI導入ガイドブック 予知保全」「4 AI導入ガイドブック 図面自動見積り」を公開しており、既出の上記①～③がこれらに続く「5 AI導入ガイドブック 需要予測（小売り、卸業）」「6 AI導入ガイドブック 外観検査（部品、良品のみ）」「7 AI導入ガイドブック 外観検査（部品、不良品あり）」と位置付けられた。一連のラインナップとして再構成されたことになる（AI導入ガイドブック作成の背景・趣旨などについて、SH3576 経産省、中小企業向けに「AI導入ガイドブック」「外部AI人材との協働事例集」を取りまとめ――ガイドブックは需要予測・外観検査の2領域から、協働事例集では6事例の具体的成果を紹介 （2021/04/14）既報）。関係者におかれては適宜参考とされたい。
経産省はかねて「デジタルガバナンス・コード」を取りまとめ、経営者に求められる対応を示し、企業のDXに関する自主的取組みを促してきた（デジタルガバナンス・コード公表時の解説として、SH3396 経産省、Society5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会による「デジタルガバナンス・コード」を公表 山口大介（2020/11/24）参照）。しかしながら、これまでに紹介される好事例の取組みは大企業が多く、中堅・中小企業にあっては参考としにくい場合が考えられることから「DXの推進に取り組む中堅・中小企業等の経営者や、これらの企業の支援に取り組む支援機関の参考となるよう、中堅・中小企業等がDXの推進に取り組む際に求められること等について事例を交えて解説する」資料として編まれたのが「中堅・中小企業等向け『デジタルガバナンス・コード』実践の手引き」（以下「実践の手引き」という）である。
実践の手引きは「はじめに」「1．DXとは何か、その可能性と進め方」「2．デジタルガバナンス・コードの実践に向けて」「中堅・中小企業等におけるDX取組事例集」からなり、表紙・目次を含めた全体で59頁。第1章となる「1．DXとは何か、その可能性と進め方」をDXに関する概説に充て、そもそもDXとは何か、推進の意義、中堅・中小企業における可能性、成功のポイントを示す。中堅・中小企業における実際の取組みについても3組の例を取り込み、相俟って理解を深められるようにした。
第2章「2．デジタルガバナンス・コードの実践に向けて」についても「2.1 デジタルガバナンス・コードとは？」から展開。「特に経営者の主要な役割として、幅広い関係者との対話を重視し、上場・非上場や、大企業・中小企業といった企業規模、法人・個人事業主を問わず、広く一般の事業者を対象とするものとして策定されてい」ること、「同コードに沿った取組を進めることで、DXを推進する体制の整備に取り組めるようなものとなってい」ることを説明したうえで、コードそのものの位置付け・構成（柱立て）・基本的事項を簡潔に再現した。
本章において続く「2.2. デジタルガバナンス・コード実践のポイント及び企業における取組例」では、コードの構成（柱立て）に沿って、まずはコードの（1）基本的事項：①柱となる考え方、②認定基準、（2）望ましい方向性を引用して紹介。（3）取組例については、中堅・中小企業等での取組みに関する調査などに基づく「実践のポイント（例）」を箇条書きで示すとともに、前出の3組における実際の「事例」を併せて織り込むこととしている。
本「実践の手引き」では後半30頁分を「中堅・中小企業等におけるDX取組事例集」とし、前出の3組とはまた異なる10事例を手厚く紹介するものとした。経産省では、今般の公表と同時に「DXセレクション（中堅・中小企業等のDX優良事例選定）」の公開も行っており、各企業における具体的な取組みに際しては是非参考とされたい。