東証、「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容に関する分析結果を発表
――2022年3月期決算会社まで、市場区分別のIFRS適用状況が明らかに――
東京証券取引所は7月22日、2022年3月期決算会社までの「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容に関する分析結果を発表した。
上場会社の決算短信に記載された「会計基準の選択に関する基本的な考え方」などに基づき例年調査・取りまとめているもので、今回の分析では2022年6月末時点の上場内国会社3,770社が対象。上場会社のIFRS(International Financial Reporting Standards. 国際財務報告基準)への対応の現状が把握できる。
分析結果によると、2022年6月末時点における(1)IFRS適用済会社は247社(2021年6月末:226社、2020年6月末:213社)、(2)IFRS適用決定会社は12社(2021年6月末:10社、2020年6月末:11社)、(3)IFRS適用予定会社は5社(2021年6月末:7社、2020年6月末:10社)であり、これらを合計した会社数は264社(2021年6月末:243社、2020年6月末:234社)であった(2019年発表の分析結果について、SH2725 東証、「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析について公表――2019年3月期決算会社までの「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容を分析(2019/08/20)既報)。例年どおりの逓増傾向が確認できる。また、IFRS適用済会社について近時は2020年6月末:前年比15社増、2021年6月末:前年比13社増といった増加ペースであったところ、今次調査では前年比21社増の伸びを示している。
なお、上記(1)~(3)の計264社について(ア)時価総額ベースでみると316兆円、分析対象3,770社の700兆円に対して45.1%を占めるという(2021年6月末:243社・327兆円、分析対象3,730社・742兆円に対して44.1%。2020年6月末:234社・255兆円、分析対象3,671社・611兆円に対して41.7%)。また(イ)JPX日経インデックス400に対しては126社・286兆円、時価総額528兆円のうち54.2%を占めるに至った(2021年6月末:128社・305兆円、時価総額573兆円に対して53.2%。2020年6月末:125社・236兆円、時価総額468兆円に対して50.4%)。
今般の発表では本年4月4日に始動した新たな市場区分別の適用状況が判明しており、これによると上記(1)~(3)の計264社の内訳は①プライム市場:220社・315兆円(左記220社の時価総額。以下同様)、②スタンダード市場:18社・0.5兆円、③グロース市場:26社:0.5兆円。これらの状況を各市場の時価総額と比較すると、②スタンダード市場の21兆円(1,457社)に対する割合は2.4%、③グロース市場の6兆円(476社)に対する割合は8.3%にとどまる一方、①プライム市場の673兆円(1,837社)に対しては46.8%を占めていることがわかる。
東証の公表資料では、このようなデータに加えて「業種別のIFRS適用状況」や「IFRS適用に関する検討を実施している会社」における具体的な検討事項などが例年と同様に示されている。適宜参考とされたい。