農林水産省、「食品企業向け人権尊重の取組のための手引き(案)」についての意見募集
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 早 瀨 孝 広
弁護士 秋 野 博 香
1 はじめに
農林水産省は、2023年10月27日、「食品企業向け人権尊重の取組のための手引き(案)」[1](以下「手引案」という。)を公表した。
日本における産業別の人権尊重の取組のためのガイドラインとしては、2022年7月に「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」[2]が公表されているが、食品産業は、繊維産業と同様に、労働力を集約させる原料調達や製造過程がサプライチェーン上に存在するため、人権侵害(負の影響)リスクが高いとされている。
手引案は、2022年9月に公表された「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」[3](以下「政府ガイドライン」という。)の内容から一歩踏み込んで、食品産業における人権尊重の具体的な取組の方法や具体的な取組事例を体系的に示すものであり、注目に値する。
なお、手引案は、2023年11月25日までパブリックコメント(「食品企業向け人権尊重の取組のための手引き(案)」についての意見・情報の募集について)に付されている[4]。
以下では手引案のポイントを概説する。
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(はやせ・たかひろ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2009年早稲田大学大学院法務研究科修了。2010年弁護士登録(第二東京)。2017年ハーバード・ロースクール(LLM)修了、2017-2018年米国Pillsbury Winthrop Shaw Pittman法律事務所(ロサンゼルス)勤務。2018年ニューヨーク州弁護士登録。国内及びグローバルのインセンティブ報酬の導入・運用等を含むコーポレート案件を中心に取り扱う。
(あきの・ひろか)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2018年慶應義塾大学法学部卒業。2019年東京大学法科大学院中退。2020年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
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