法務省、民事判決情報データベース化検討会の第1回会議を開催
――設置の趣旨と今後の取組み――
岩田合同法律事務所
弁護士 鈴 木 智 弘
1 民事判決情報データベース化検討会設置の趣旨
法務省は、2022年10月14日、民事判決情報データベース化検討会(以下「DB化検討会」という。)の第1回会議を開催した。DB化検討会は、民事判決情報という紛争当事者のみならず国民や社会全体で共有すべき公共財ともいうべき重要な資産を集約し、データベース化することに向けて、各界の有識者を集めて法制度化を見据えた課題の検討を進めることを目的として設置された。
公益財団法人日弁連法務研究財団による2021年3月25日付「民事判決情報のオープンデータ化に向けた取りまとめ」(以下「財団取りまとめ」という。)では、民事判決情報をデータベース化した上で広く国民や社会の用に供することの意義について、①司法の国民に対する透明性を向上させ、②国民に対して行動規範・紛争解決指針を示すとともに、③紛争解決手続に関するAIの開発等の研究を推進するための基盤ともなり得るということが指摘されている。また、民事判決情報がビッグデータとして活用されることで、革新的なシステムの開発の契機となること等も期待されている。
実務の現状について、財団取りまとめでは、民事判決情報は、裁判所のホームページ、判例雑誌や判例データベース等の様々な機関や媒体によってその一部が公開されているものの、公開されている民事判決情報は、現在、全国各地の裁判所において言い渡されている年間約20万件もの民事判決のうち、先例性のあるものや重要性の高いもの等に限られており、その利活用の場面も、法曹関係者等による先例調査や研究者による研究等に限られているとの指摘がなされており、民事判決情報が広く国民や社会での利活用がなされているとは言い難い状況にある。
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(すずき・ともひろ)
岩田合同法律事務所アソシエイト。2013年慶應義塾大学法学部卒業。2015年弁護士登録。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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