◇SH4263◇著者に聞く! 清水真一郎弁護士・志村聡弁護士『実例解説 相場操縦事件』 清水真一郎/志村聡/西田章(2023/01/06)

法学教育

著者に聞く! 清水真一郎弁護士・志村聡弁護士『実例解説 相場操縦事件』

弁護士 清 水 真一郎

弁護士 志 村   聡

(聞き手) 西 田   章

 

 「相場操縦」は、弁護士業界でも携わった経験が持つ者が少ない分野である。しかし、昨年3月、証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反(安定操作)の嫌疑で、SMBC日興証券株式会社を東京地検に告発したことで広く世間の注目を集めるテーマとなった。事件は、10月には、株式会社三井住友フィナンシャルグループに対する行政処分に発展すると共に、SMBC日興証券株式会社については、刑事事件の審理も進められている。その最中に、商事法務から、『実例解説 相場操縦事件 公正な市場形成のために』が発刊された。証券取引等監視委員会での執務経験を有する2人の弁護士(清水真一郎氏と志村聡氏)の執筆にかかる本書は、課徴金事件と刑事事件の両方をカバーした上で、両手続を比較しながら統一的に理解することができる画期的な章立てで構成されている。また、著者のひとりである検察官出身の清水弁護士は、SMBC日興証券の事件に関して起訴されている同社社員の刑事被告人の弁護も担当している。同事件に対する弁護人としての主張をお伺いしてみたいとの思いも秘めて、「相場操縦」に特化した日本初の法律実務書を出版された両弁護士へのインタビューを実施させていただいた(取材日:2022年11月16日、場所:商事法務会議室)。

 


(左から)聞き手の西田章弁護士、著者の清水真一郎弁護士、著者の志村聡弁護士

 

SMBC日興証券の金融商品取引法違反(安定操作)事件

私は、これまで「相場操縦」をメインテーマに取り上げた本を見たことがありませんでした。恥ずかしながら、そもそもそのニーズ自体を認識できていなかったところ、SMBC日興証券の相場操縦事件の報道に接して、初めて、このテーマが企業法務に携わる弁護士にとっての重要問題であると知りました。清水先生は、この事件に関して起訴された刑事被告人のひとりである社員の弁護人を務められているのですよね。
清水 はい。被告人と私たち弁護団は、本件公訴事実の株取引が金商法159条3項の安定操作罪には該当しないと考えており、現在、公判整理手続中です。
公訴事実を否認して無罪主張をされているのですか。
清水 そうです。
公訴事実はどのような内容なのでしょうか。
清水 この裁判で、検察が問題視している主な取引は、大引け時にのみ執行される条件の付いた注文です。このような終値関与は、一般論として、変動操作(金商法159条2項1号)に該当する余地はあるかもしれませんが、安定操作(金商法159条3項)に該当するものではないと考えています。
もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
清水 金商法159条2項1号は、主観面としての「誘引目的」と客観面としての「変動操作」の2つの要件を備えた取引を相場操縦(狭義の相場操縦といいます)として禁じています。主観面としての「誘引目的」が存在しなければ、客観面として、相場を変動させる可能性のある売買取引等をするだけでは処罰の対象にはなりません。終値関与を、安定操作(金商法159条3項)で処罰してしまったら、「誘引目的を立証できずに狭義の相場操縦罪で処罰できない時でも、安定操作で処罰できる」という不当な結果を導くことになってしまいます。安定操作罪は、狭義の相場操縦罪の受け皿ではありません。
安定操作には、「誘引目的」が要件とされていないのですか。
清水 はい、安定操作は、「誘引目的」を要件としていません。それが故に、私は、安定操作には、株価を不当に固定させていて他の投資家の投資判断に誤りを生じさせるとして処罰すべき客観的な「ふさわしさ」が備わっていることが求められると考えています。
本書のコラム⑦「株価固定の立証・認定について」(本書127頁)で述べておられる点ですね。素人的な質問で恐縮ですが、変動操作に求められる「誘引目的」の内容についても教えていただけないでしょうか。
清水 「誘引目的」については、有名な最高裁判例がありまして、「人為的な操作を加えて相場を変動させるにもかかわらず、投資者にその相場が自然の需給関係により形成されるものであると誤認させて有価証券市場における有価証券の売買取引を誘い込む目的」(最三小決平成6・7・20判時1507号51頁)とされています。本書のコラム④では、私たちの実務経験をもとに、誘引目的の認定方法についても少し触れさせていただきました。
確かに、今回、問題とされている取引において、終値に関与しただけでは、株価が固定されているとの誤認が投資家に生じることはなさそうですね。
清水 その通りです。私は、「安定操作」に該当するというためには、一定期間、株価を安定させるような行為であることが必要であると考えています。
その点を明示的に判示した先例はあるのでしょうか。
清水 これまでの裁判例は見当たりません。新しい論点だと思います。ですので、この事件は学術的意義もあると思っています。

 

本書には、巻末の参考資料として告発事件の一覧表を付して下さっていますが、この一覧表の中の「株価固定」を拾い出してみても、「16番」の「ケイエス冷凍食品」では「23取引日」、「25番」の「夢の街創造委員会」では「20取引日」が実行行為期間とされていますね。
ところで、会社に対して、金融庁から行政処分がありましたが、これについてはいかがでしょうか。
清水 金融庁の行政処分という視点、レベル感で言えば、刑事裁判とは異なるのかなと考えています。つまり、行政処分のためには、内部管理体制という視点が重要だと思いますし、株取引についても作為的相場形成(金融商品取引業者等に関する内閣府令117条1項19号)に該当すれば足りる、という考え方もあると思います。
本書の執筆は、この事件の弁護活動と何か関係はあるのでしょうか。
清水 まったく関係ないんです。本書は、2021年の初めに志村先生と企画したものですが、執筆には予想以上に年月を要してしまい、1年半以上かかってしまいました。その間に、たまたま安定操作事件の刑事弁護の依頼が来ました。本を執筆するというのは大変な時間とエネルギーを費やすことを初めて知りました。よほど時間の余っている人しかできない作業だなあと痛感した次第です(笑)。

第2部 相場操縦事件

次に、相場操縦事件に対するお二人のご経験についてお伺いしていきたいと思います。志村先生は、株価操縦事件についてどのように経験を積まれて来たのでしょうか。
志村 私は、平成25年(2013年)に、任期付任用の公務員として証券取引等監視委員会での勤務を始めてから、平成30年(2018年)に退官するまでの5年間、ずっと課徴金処分に関する調査業務を担当する取引調査課に所属して、インサイダー取引事件や相場操縦事件を担当していました。
その間に、相場操縦事件を何件くらいご担当されたのでしょうか。
志村 詳しく調べたわけではありませんが、相場操縦事件で勧告にまで至ったものを担当したのは20件~25件くらいはあったかと思います。5年の在籍期間中、インサイダー取引事件を含め私が課徴金調査に携わった案件のうち勧告に至ったのが170件ほどあったようです。インサイダー取引事件と相場操縦事件の比率は、年によっていろいろではあるのですが、ざっくり計算すると大体そのくらいの件数になるのかなと思います。
清水先生はいかがでしょうか。
清水 私は、司法修習を54期で修了して、平成13年(2001年)から検察官をしていましたが、平成24年(2012年)に証券取引等監視委員会に検察官として出向し、相場操縦事件を含む不公正取引の事件を担当しました。その後、平成27年(2015年)には東京地検に戻ったのですが、特別捜査部に配属されて、検察官としても相場操縦事件を担当しました。令和2年(2020年)に弁護士業を始めたのちも2件ほど担当しています。件数で言えば、課徴金事件は12~13件、刑事事件の調査・捜査、刑事弁護で5件です。
刑事事件はどのような事件を扱われていたのですか。
清水 たとえば、平成27年(2015年)には、かつて「兜町の風雲児」とか呼ばれた著名な仕手筋による風説の流布・偽計・相場操縦事件の捜査を担当しました。また、翌平成28年(2016年)には、さいたま地検特別刑事部で、元弁護士による相場操縦事件を捜査、起訴しました。中堅層以上の弁護士の方であればご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、タイのバンコクに10年近く逃亡していた元弁護士を、現地の警察に協力を仰いでようやく逮捕に辿り着けられた事件です。
お二人のご経歴をお伺いして、志村先生が課徴金事件の専門家であり、清水先生が課徴金事件と刑事事件の双方に明るい専門家であることが理解できました。まずは、課徴金事件の部分についてお伺いさせてください。先生方は、当局で相場操縦を担当される際に、どのような書籍を読んで勉強されたのですか。
清水 参考になる書籍は何もありませんでした。強いて言えば、古い本ですが『注解特別刑法』(青林書院、1983-1996)とかは参照しましたが、あとは過去の刑事裁判の裁判例等を読んだり、証券取引等監視委員会の古株の調査官の方から教えてもらったりして自分で考えた、というのが実態です。
志村 私もそうですね。ちょうど取引調査課に配属されたとき、検察から出向されていた清水先生が指導官として同部屋にいらっしゃいました。なので、清水先生や、その他相場操縦に詳しい先輩からいろいろ教えてもらって、という感じです。

 

清水 先輩方も、別に本を読んで勉強してきたわけではなく、事件をやりながら学んできた、という方々ばかりでした。
志村 株式取引一般については、東証が発刊している「東証公式サポーター 株式取引編」を参照することで株取引の方法や値付けのされ方、その他株取引の全般的な実務の概要を学ぶことはできましたが、「相場操縦事件をどう立証すべきか?」といった点について書いてある本はなかったですね。なので、本当にOJTを地で行くようなスタイルで学んできました。
研究者の本はないのでしょか。
清水 金商法の条文や趣旨を解説する論文は多数あります。外国法との比較に関する論文等も相当数世に出ていると思います。
ただ、研究者の方は具体的な事例を分析するための実務的な情報をお持ちでないと思います。本書の出版後に、懇意にしていただいている金商法学者の先生から、「相場操縦事件の捜査の仕方や、判決が実務にどういう影響を与えたかという点に触れられているので、参考になった」というコメントを頂くことができました。
弁護士でも、課徴金事件の手続を理解している人は少ないのではないでしょうか。審判事件では、弁護士が付くことが普通なのでしょうか。
志村 インサイダー取引事件の審判期日では弁護士が付いてくる場面をよく見ましたが、相場操縦事件の審判期日に弁護士が付いてくる場面はあまり見かけた記憶がありません。個人投資家の被審人なんかですと、本人が自ら一人で審判期日に出頭しているのが殆どだったと思います。
弁護士を付けずに手続を進めても大丈夫なのでしょうか。
志村 そもそも審判手続開始決定が出ても認諾してしまえば審判期日は開かれませんので弁護士を付けて手続きを進めるに至りません。また、争う答弁をして審判期日が開催される場合でも、弁護士を付けず、本人のみが出頭して審判手続を進めることは可能です。実情から見ても、相場操縦を行うような被審人であれば、普通の弁護士よりも何倍も株取引については詳しいと思いますので、被審人自身、あえて費用をかけて弁護士を付けなくても特に問題ないと思っていたのかもしれません。
「課徴金」と聞くと、大規模事件にのみ課されるという先入観を持っていたのですが、本書の巻末にある参考資料1「課徴金事件一覧表」を拝見すると、課徴金の金額は様々なのですね。
志村 はい。巻末の一覧表にも記載していますとおり、大きい案件では、億円単位の課徴金が課されることもありますが、少ないものでは「6万円」というのもあります。本書の第4章(過去の課徴金事件)の事例1で解説したのも、課徴金21万円と比較的金額の低い事件です。このことから言えるのは、当局は、課徴金の多寡に関わらず、違法な相場操縦案件については調査立件し、市場に対して警鐘を鳴らす方針を明確にしているということだと思います。
次に、刑事事件に移らせていただきたいのですが、どのような事件が、課徴金ではなく、刑事事件として立件されるのでしょうか。
清水 本書(「第5章 刑事事件の捜査」82頁)でも述べたとおり、「仕手筋と呼ばれる職業的な相場操縦者」「暴力団等の反社会的勢力」「投資者グループが多数の口座を用いて大量の資金を投入する事案」など、重大かつ複雑な事件であることが多いと思います。裁判所の公開法廷で審理するに足りる意義・迫力を求められるので。
なるほど。一般論として、「課徴金事件では出来ないから、刑事事件に持っていく」ということもあるのでしょうか。
清水 本書にも書いたところですが、課徴金手続は専ら金商法の枠内で進められることから刑法の規定である共犯の規定(刑法60条)を適用できないという法制度になっているため、複数の行為者を共犯者として一括りにすることができません(本書15頁)。そのため、そのような一件数名の事案を刑事事件として対応することもあると思います(本書110頁)。
逆に「刑事事件では出来ないから、課徴金事件に持っていく」ということもあるのでしょうか。
清水 そこも本書で触れているところですが、たとえば、クロスボーダー取引については、一般論ですけど、海外にある証拠を収集するのが困難ですので、立証のハードルが高い刑事事件は馴染まずに、課徴金事件として処理することもありえます(本書16頁)。また、法人に対しては直接に課徴金納付命令を下すことができるので、これは、刑事事件において、個人の刑事事件を前提として両罰規定で法人に罰金刑を科すのとは異なるところです(本書79頁「コラム⑤法人に対する課徴金納付命令の状況」)。
なるほど、恥ずかしながら知らないことばかりなので勉強になります。清水先生から見て、一般の弁護士は、相場操縦の刑事事件を扱うに足る十分な力量を持っていると思われますか。
清水 もちろん、どんな事件でも基本は変わらないはずですから、基本的なことを勉強すれば誰でも取り扱うことができると思います。ただ、あまり件数がなくて、普通の弁護士は触れる機会がないという類型の事件ですので、基本的な知識や経験を積む機会が少ないのでしょうね。
相場操縦事件を経験したことがない弁護士が、この種の相談を受けることになったら、真っ先に、本書を読んで、基礎的な知識を身に付けていただきたいです。

第3部 証券取引等監視委員会で出会った尊敬する先輩

お二人が、証券取引等監視委員会にいらっしゃったときに、「この人の仕事は凄い!」とか「こういう法律家になりたい」と思わせてくれるような先輩はいましたか。

 

志村 私が証券取引等監視委員会で勤務を開始した時に、証券取引等監視会の委員長を務められていた佐渡賢一さん(2007年〜2016年まで委員長を歴任)は、心から尊敬する法曹の大先輩です。監視委のトップとしての圧倒的な存在感と迫力、我々のような実働部隊への温かい眼差し、どこをとっても本当に素晴らしい方でした。どれほど多くのことを学ばせて頂いたか分かりません。日本の証券市場にとってはまさに「守護神」のような御方だったのではないかと思います。
清水先生から見て佐渡元委員長はどういう方だったでしょうか。
清水 スジ読みが早いので、決裁の時間が短くて、かつ、一回決めたらブレない。たぶん、よほど沢山の事件を経験されたことと、持ち前のセンスの良さで、事件のキモとか勘所みたいなものを瞬時に捉える能力が尋常じゃないレベルに達しているんだろうと感じていました。たとえば、私が20分かけて説明したら、佐渡委員長が「いいよ」と言うまでに3分。3分もかからないかもしれない。「ああ、うん、こういう事件はこれでいいんだよ。ごくろうさん。」みたいな感じかな。
決裁が緩い、というわけではないのですか。
清水 そんなことないですよ。ダメな時も早いので。「これはこうなの? ダメだ、ダメ。こういうのは事件にならない」とか、「この部分はこうなるはずだから。そうならないならダメだ。」とか。
それで納得できるのですか。
清水 「そう言われてみたら、そうだな」と納得させられることばかりでした。
志村 佐渡委員長(当時)に加えて、私が赴任したときには、弁護士の吉田正之先生が委員を務めていらっしゃいました。在任中、商事法務さんからのご依頼で旬刊商事法務の方に論文を掲載する有難い機会があったのですが、その際にも吉田委員からはとても後押しをして頂いた記憶があります。佐渡委員長と吉田委員、監視委員会のトップに第一級の法律家が二人もいて下さったので、私たち各部署で仕事をする法曹も、大舟に乗ったような気持ちで自由闊達に働く環境を頂くことができたと思います。
法曹ではなく、事務方の官僚でも優れた方がいらっしゃったのでしょうか。
志村 私が赴任していた時期、大森泰人さんや佐々木清隆さん、お二人の事務局長に主にお仕えしましたが、本当にいろいろなことを勉強させて頂きました。
大森泰人さんは、どのような方なのでしょうか。
志村 とても博識な方だったという印象です。たとえば、相場操縦の事件で決裁にお伺いした際、金商法159条の誘引目的の解釈について、同条が制定された経緯等、それこそ米国法の沿革にまで遡って我々に丁寧にご教示下さったことを覚えています。
清水 大森さんは、本質的な問題を見極めて処理をしないと怒るタイプの方でしたね。形式的に条文に引っ掛けて処分するというような考え方は嫌っていました。
志村 清水先生のおっしゃる通りですね。事件の本筋を捉えた常識的な処理をすることをいつも求めておられました。大森局長は、いわゆる「うっかりインサイダー」のご発言でも有名ですが、これも、インサイダーの事件処理が本質から外れた非常識なものとなることを戒める意図がおありだったのではないかと拝察するところです。
佐々木清隆さんはどのような方なのでしょうか。
志村 とても瞬発力、行動力のあるバイタリティ溢れる局長でいらしたと思います。問題の所在を瞬時に把握し、御自身の足で必要な情報をキャッチし、最速で対処に当たる。その一連の流れが非常に明快で感銘を受けました。また、事案の根本原因の究明を強く意識しておられ、表層的な事案処理を戒めておられました。とても勉強になりました。今でも時々、仕事をする中で「佐々木局長ならどうおっしゃるかな。」と考えることがありますね。
任期付で働く法曹にとっても、役所でお仕えしたトップの人間性は、その後の法律家としての行動指針に影響を与えるものなのかもしれませんね。佐々木さんは大森さんの後任になると思いますが、清水先生は、大森さんの前任の局長の時代から働いておられたのですよね。
清水 はい、私が着任した時は、岳野万里夫さんが事務局長をされていました。岳野さんの局長時代には、証券検査課はAIJ投資顧問事件、開示検査課はオリンパス事件、取引調査課は増資インサイダー事件と、特に重大事件が重なって起きたので、岳野さんは、我々実働部隊のバックアップや金融庁との折衝、国会対策等の業務で多忙を極められたと拝察します。本当にお世話になりました。
岳野さんは、どのような方だったのでしょうか。
清水 岳野さんは、非常に紳士的な人で、我々検察からの出向者に対しても、とてもよく接してくれました。私が検察庁に戻ってからも、退官してからも交流を続けさせていただけており、ありがたいです。
清水先生も、志村先生も、証券取引等監視委員会では尊敬できる幹部の下で充実した仕事ができていたのですね。当時、両先生が証券取引等監視委員会で蓄積されたノウハウが、本書によって、幅広く業界に共有されることは素晴らしいことだと思います。本日はどうもありがとうございました。

以 上

 


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(しみず・しんいちろう)

1976年東京生まれ。1996年一橋大学入学、1999年司法試験合格、2000年同大学卒業・司法研修所入所(第54期)。2001年10月検察官任官、2009年名古屋地方検察庁特別捜査部、2012年から2015年まで金融庁証券取引等監視委員会事務局へ出向。市場分析審査課、取引調査課、開示検査課、特別調査課でそれぞれ指導官等として執務に当たる。2015年東京地方検察庁特別捜査部。2018年検察官退官後、東京証券取引所の兄弟会社である日本取引所自主規制法人上場管理部・上場審査部での勤務を経て、2020年9月より渥美坂井法律事務所にて弁護士として稼働。2022年12月同法律事務所パートナー就任。

 

(しむら・さとし)

1972年埼玉生まれ。1991年慶應義塾高等学校卒業・同大学法学部法律学科入学、2006年司法試験合格、2008年弁護士登録(旧第61期)。2008年清水直法律事務所入所。2013年任期付公務員として金融庁証券取引等監視委員会事務局に入庁し、以降退官まで取引調査課証券調査官・取引調査法務調整官として相場操縦・インサイダー取引等の調査業務等に従事する他、旬刊商事法務にインサイダー取引関連の論文を複数上梓(いずれも共著)。併せて同事務局証券検査課証券検査官として金融商品取引業者に対する検査業務等に従事。2018年退官後平出・髙橋法律事務所(現PLAZA総合法律事務所)入所。2019年企業内弁護士として全保連株式会社法務部長、2021年同社執行役員法務部長。

 

(にしだ・あきら)

✉ akira@nishida.me

1972年東京生まれ。1991年東京都立西高等学校卒業・早稲田大学法学部入学、1994年司法試験合格、1995年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程(研究者養成コース)入学、1997年同修士課程修了・司法研修所入所(第51期)。
1999年長島・大野法律事務所(現在の長島・大野・常松法律事務所)入所、2002年経済産業省(経済産業政策局産業組織課 課長補佐)へ出向、2004年日本銀行(金融市場局・決済機構局 法務主幹)へ出向。
2006年長島・大野・常松法律事務所を退所し、西田法律事務所を設立、2007年有料職業紹介事業の許可を受け、西田法務研究所を設立。現在西田法律事務所・西田法務研究所代表。
著書:『新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講』(商事法務、2020)、『弁護士の就職と転職』(商事法務、2007)

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