SH4271 マレーシア:個人情報保護法の改正動向 長谷川良和(2023/01/13)

取引法務個人情報保護法

マレーシア:個人情報保護法の改正動向

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 長谷川 良 和

 

1 はじめに

 2022年は、6月にタイ個人情報保護法が本格施行し、また9月にインドネシア個人情報保護法案が国会で可決される等、ASEANの個人情報保護法分野にも動きが見られる。マレーシアでも、情報保護管理者(Data Protection Officer)の選任義務を含むより厳格な措置の導入を企図する個人情報保護法改正案が本年10月に国会に上程される見込である。そこで、以下では、現行のマレーシア個人情報保護法の法制と適用範囲についてごく簡潔に紹介した上で、マレーシア個人情報保護法の改正動向について紹介する。

 

2 現行法とその適用範囲

 現在、マレーシアにおける個人情報保護は、(a)個人情報保護法(2010年)、(b)個人情報保護規則(2013年)、(c)個人情報保護命令(データ使用者分類)(2013年)等によって規制されている。マレーシアの個人情報保護法は、一般に商業取引に関する個人情報を取り扱う者及び当該取扱いを支配又は授権する者にのみ適用される。また、マレーシア国外で取り扱われる個人情報には、当該個人情報がマレーシアにおいて更に取り扱われる意図でない限り、適用されないといった形でその適用範囲が画されている。

この記事はプレミアム会員向けの有料記事です
ログインしてご覧ください


(はせがわ・よしかず)

東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了、Columbia University School of Law(LL.M.)卒業。三菱商事株式会社勤務、Allen & Gledhill LLP(シンガポール)出向を経て、2013年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。

シンガポールを拠点に、シンガポール、マレーシア、ミャンマーを含む東南アジアその他アジア地域において、進出、日常的な法務問題、M&A、ジョイント・ベンチャー、危機対応、エネルギー・インフラ案件等、日系企業が直面する法律問題を幅広くサポートしている。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

長島・大野・常松法律事務所は、500名を超える弁護士が所属する日本有数の総合法律事務所です。企業法務におけるあらゆる分野のリーガルサービスをワンストップで提供し、国内案件及び国際案件の双方に豊富な経験と実績を有しています。

 

当事務所は、東京、ニューヨーク、シンガポール、バンコク、ホーチミン、ハノイ及び上海にオフィスを構えています。また、東京オフィス内には、日本企業によるアジア地域への進出や業務展開を支援する「アジアプラクティスグループ(APG)」及び「中国プラクティスグループ(CPG)」が組織されています。当事務所は、国内外の拠点で執務する弁護士が緊密な連携を図り、更に現地の有力な法律事務所との提携及び協力関係も活かして、特定の国・地域に限定されない総合的なリーガルサービスを提供しています。

 

詳しくは、こちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました