SH4310 意外に深い公益通報者保護法~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 第8回 公益通報の種類・範囲(2) 金山貴昭(2023/02/09)

組織法務公益通報・腐敗防止・コンプライアンス

意外に深い公益通報者保護法
~条文だけではわからない、見落としがちな運用上の留意点~ 

第8回 公益通報の種類・範囲(2)

森・濱田松本法律事務所

弁護士 金 山 貴 昭

 

Q 通報対象となる違反者の範囲

 公益通報の対象となる事実は、対象法令の刑事罰等に違反する事実ですが、当該違反者や違反の内容についてはどのような範囲でしょうか。

 

A 【ポイント】

通報対象となる違法行為等の主体は、事業者に加え、当該事業者の役員、従業員、代理人等が含まれます。また、通報対象となる違法行為は、これらの者が事業者の事業に従事する場合において行われる行為であり、事業とは無関係に行われるこれらの者の違法行為は通報対象とはなりません。

 

【解説】

1 通報対象となる違法行為の主体

 公益通報者保護法では、通報対象となる違法行為の主体として、下記を定めています(法2条1項)。

 ⑴ 事業者(法人その他の団体及び事業を行う個人)

 ⑵ 事業者の事業に従事する場合における、役員、従業員、代理人、その他の者

 ⑴ 事業者

 「事業」 は、一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行とされており、営利目的である必要はありません。そのため、「事業者」である「法人」には、株式会社その他の営利法人の他に、一般社団法人および財団法人、協同組合や特殊法人、特定非営利活動法人、国・地方公共団体などの公法人も含まれます。また、「その他の団体」 には、組合は、法人格を有しない社団または財団が該当します。さらに、「事業を行う個人」 も、事業者に含まれますが、個人事業者が、自らの私生活のために活動をする場合の個人は事業者には含まれません。

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(かなやま・たかあき)

弁護士・テキサス州弁護士。2008年東京大学法学部卒業、2010年東京大学法科大学院卒業、2019年テキサス大学オースティン校ロースクール(L.L.M.)修了。2011年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2019年テキサス州弁護士会登録。2021年消費者庁制度課(公益通報制度担当)、同参事官(公益通報・協働担当)出向。
消費者庁出向時には、改正公益通報者保護法の指針策定、同法の逐条解説の執筆等に担当官として従事。危機管理案件の経験が豊富で、自動車関連、動物薬関連、食品関連、公共交通機関、一般社団法人等の幅広い業種の危機管理案件を担当。

 

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