◇SH1765◇実学・企業法務(第130回)法務目線の業界探訪〔Ⅱ〕医藥品、化粧品 齋藤憲道(2018/04/12)

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実学・企業法務(第130回)

法務目線の業界探訪〔Ⅱ〕医藥品、化粧品

同志社大学法学部

企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

〔Ⅱ〕医薬品、化粧品

〔Ⅱ-1〕医薬品

2. 医薬品の取り扱いに関する規制

 病気等の治療に医薬品を用いるときは、症状と患者の体質を理解し、適切な医薬品を選択して、適切な方法で投与等する必要がある。

 医薬品は、適切に投与しないと薬効が現れず、用法を間違えると人体に有害でもある。このため、医薬品を患者に用いることに関して、医薬品自体のリスクの大きさ、医薬品に関する知識(効能、リスク、使用法等)、患者が適切に使用するための情報の提供(助言)、の3要素を考慮して、販売方法・販売チャンネル等に関する規制が設けられている。

(1) 医薬品の安全リスクの大きさに応じた規制

 医薬品は、人体へのリスクの大きさによって医療用、要指導及び一般用に分類され、それぞれの販売方法が定められている。

  1. ① 医療用医薬品(処方薬)
    医師等が患者を診察して処方する医薬品で、患者が医師等の指示通りに使用する。医薬品市場全体の90%以上を医療用医薬品が占めている。
  2. 〔販売方法〕
    薬剤師が対面販売(情報提供、指導)しなければならず、インターネット・郵便等で販売することは禁じられる。

     
  3. ② 要指導医薬品 「①医療用医薬品」から「③一般用医薬品」へ移行する段階の医薬品。
    「薬事・食品衛生審議会 要指導・一般用医薬品部会」が「要指導医薬品」に指定することの要否を審議する。
    医療用医薬品から転用されて間もない薬[1]等、リスクが不明なため取扱いに一層の注意が必要なものが該当し、医療用医薬品に準じて取り扱う。市場規模は極めて小さい。
  4. 〔販売方法〕
    薬剤師が対面販売(情報提供、指導)しなければならず、インターネット・郵便等で販売することは禁じられる。

     
  5. ③ 一般用医薬品 OTC[2]ドラッグ、市販薬、大衆薬等とも呼ばれる。
    薬局・ドラッグストア等で販売する。インターネット・郵便等を通じて販売できるが、実在する店舗において薬局・医薬品店舗販売業の許可を取る必要がある。
    一般消費者がドラッグストア等で購入する一般医薬品の中には著名な薬品名(商標)が多いが、医薬品市場全体における一般用医薬品の構成比は10%未満である。
    「一般用医薬品」の「a.製造販売の承認権限を有する者」と、その「b.販売が許可される者」は、医薬品のリスクの大きさに応じて、次のように定められている。
  6. a. 製造販売の承認権限を有する者
    「一般用医薬品」の製造販売の承認は、下記の通り、品目によって厚生労働大臣、又は、都道府県知事が行う。

    1. 1  厚生労働大臣が承認する品目
      下記2の基準(都道府県知事に委任)の範囲から外れる品目。
    2. 2  承認権限が都道府県知事に委任されている品目
      かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、胃腸薬、瀉下薬、鎮暈薬、眼科用薬、ビタミン主薬製剤、浣腸薬、駆虫薬、鼻炎用点鼻薬、鼻炎用内服薬、外用痔疾用薬、みずむし・たむし用薬、鎮痒消炎薬[3]の15薬効群に関する「製造販売承認基準」が定められている。この承認基準の範囲内については都道府県知事が承認する。
  7. b. 販売が許可される者(資格の要否)
    「一般用医薬品」は、リスクの大きさによって第1類~第3類の3種類に分けられ、「第1類医薬品」は薬剤師、「第2類医薬品」及び「第3類医薬品」は薬剤師又は登録販売者[4]が販売することを許可される。各類の概要は次の通りである。

    1. 〔第1類医薬品〕
      副作用・相互作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある市販薬のうち、特に注意が必要なものや新規の医薬品等のリスクが高いもの。

      1. (注) 個々の薬局が製造する「薬局製造販売医薬品(薬局製剤)[5]」は、劇薬指定品目を除き、第1類医薬品と同じ方法で販売される。
    2.  販売方法:
      薬剤師が販売(使用状況の確認・情報提供を含む)しなければならない。
      薬剤師は、法定のルール[6]に基づいてインターネット等[7]で販売することができる。
       
    3. 〔第2類医薬品〕
      副作用・相互作用等の点で安全上、注意を要するもの。
      かぜ薬・解熱剤・鎮痛剤等、日常生活で必要性の高い製品が多い。
    4.  販売方法:
      薬剤師又は登録販売者が販売し、購入者に情報提供する努力義務がある。
      薬剤師又は登録販売者が、法定のルールに基づいて、インターネット等で販売することができる。
      なお、小児や妊婦等が禁忌すべき成分を含むもの等で「指定第2類医薬品[8]」に該当する医薬品については、外装箱・容器等に「第②類」又は「第2⃣類(□の中に2と書く)」と表示しなければならず、薬剤師が情報提供するカウンターから7m以内に置く等の規制[9]が設けられている。
       
    5. 〔第3類医薬品〕
      副作用・相互作用等の点で、上記の第1類、第2類以外の一般用医薬品で、ビタミン剤・目薬等の多くが該当する。
    6.  販売方法:
      薬剤師又は登録販売者が、所定のルールに基づいて、インターネット等で販売できる。
      購入者に対する転倒・販売カウンター等での情報提供は義務付けられていない。

 


[1] 3,000例(又は3年間)の調査を行って中間報告し、その後1年以内(合計3年間)で、一般用医薬品としての販売の可否を判断する。リスク区分(第1類、第2類、第3類)は販売後4年で行う。

[2] “Over The Counter”の略。対面販売で薬を売買すること。

[3] 副腎皮質ホルモン又は抗ヒスタミン薬を主体とする薬剤とする。(平成23年11月1日 厚生労働省医薬食品局長)

[4] 登録販売者とは、都道府県知事が行う試験に合格し、登録を受けた者をいう。

[5] 厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課「薬局製剤指針」が、分包散剤、重量偏差試験、賦形剤及び基剤、規格及び試験方法等を詳細に定めている。2017年現在、400品目以上が収載されている。

[6] 使用者の状態を確認し、それに応じた情報を提供する等。

[7] インターネット、電話、カタログ等の対面販売以外の方法が認められる。第2類、第3類も同じ。

[8] 風邪薬、抗アレルギー薬、鎮痛剤等に多い。

[9] 薬局等構造設備規則2条11号ハ

 

 

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