SH0643 知財高裁、スイスの高級腕時計「フランク・ミュラー」を連想させる登録商標「フランク三浦」を有効と判断 粉川知也(2016/04/26)

取引法務特許・商標・意匠・著作権

知財高裁、スイスの高級腕時計「フランク・ミュラー」を連想させる
登録商標「フランク三浦」を有効と判断

岩田合同法律事務所

弁護士 粉 川 知 也

 

1 事案の概要

 スイスの高級時計「フランク・ミュラー」のパロディ商品である「フランク三浦」を製造、販売する大阪市内の会社が、「フランク三浦」(以下「本件商標」という。)の商標登録を無効とした特許庁の審決を不服として提起した審決取消訴訟において、知財高裁は、平成28年4月12日、「(2つの商標が)同一又は類似の商品に使用されたとしても、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるとはいえない。」などとして、商標登録を無効とした特許庁の審決を取り消す判断を示した(以下「本判決」という。)。

 本件は、平成24年8月に商標登録された本件商標について、平成27年4月、フランク・ミュラーが登録の無効を求めて審判を請求し、同年9月、特許庁が登録を無効にする旨の審決を行ったため、前記会社が審決の取消を求めた事案であり、商標法4条1項各号の該当性(①商標の類似性(10、11、19号)、②他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ(15号))が争点とされたものである[1]

 本判決は、パロディ商品の商標登録につき、争点①、②についていずれも否定して登録を有効とする判断を下した事例判決であるが、その判断にあたって、どのような要素を検討、重視したかという点で参考になると考えられるため、以下紹介する。

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