◇SH2037◇厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果(平成29年度)を公表(2018/08/22)

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厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果(平成29年度)を公表

――70%で労働基準関係法令違反、45%で違法な時間外労働――

 

 厚生労働省は8月7日、平成29年度に長時間労働が疑われる25,676事業場に対して実施した、労働基準監督署による監督指導の実施結果を取りまとめ、公表した。この監督指導は、月80時間を超える時間外・休日労働が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死等に関する労災請求があった事業場を対象として行われるものである。

 厚労省によると、対象となった25,676事業場のうち、11,592事業場(45.1%)で違法な時間外労働を確認したため、是正・改善に向けた指導を行った。なお、このうち実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、8,592事業場(違法な時間外労働があったものの74.1%)であった。

 以下、今回の監督指導結果の概要を紹介する。

 

監督指導結果の概要

1 法違反の状況(是正勧告書を交付したもの)

 25,676事業場に対して監督指導を実施し、このうち、18,061事業場(全体の70.3%)で労働基準関係法令違反が認められた。

 主な違反内容は次のとおりである。

  1. ① 違法な時間外労働があったもの 11,592事業場(全体の45.1%)

    1. ・ うち、時間外・休日労働の実績がもっとも長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの 8,592事業場(違法な時間外労働があった11,592事業場の74.1%)
    2. ・ うち、月100時間を超えるもの 5,960事業場(同51.4%)
    3. ・ うち、月150時間を超えるもの 1,355事業場(同11.7%)
    4. ・ うち、月200時間を超えるもの 264事業場(同2.3%)
  2. ② 賃金不払残業があったもの 1,868事業場(全体の7.3%)

    1. ・ うち、時間外・休日労働の実績がもっとも長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの 1,102事業場(賃金不払残業があった,事業場の59.0%)
  3. ③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの 2,773事業場(全体の10.8%)

 

2 主な健康障害防止に係る指導の状況(指導票を交付したもの)

(1) 過重労働による健康障害防止のための指導状況

 監督指導を実施した事業場のうち、20,986事業場(全体の81.7%)に対して、過重労働による健康障害防止措置が不十分であるとして改善を指導した。

 主な指導事項の内訳は、次のとおりである(重複あり)。

  1. ・ 時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの 13,658事業場(過重労働による健康被害防止措置の指導を受けた20,986事業場のうち65.1%)
  2. ・ 時間外・休日労働を月45時間以内に削減するよう指導したもの 7,187事業場(同34.2%)
  3. ・ 長時間労働による健康障害防止対策に関する調査審議の実施 3,824事業場(同18.2%)
  4. ・ 面接指導等の実施 2,340事業場(同11.2%)

(2) 労働時間の適正な把握に係る指導状況

 監督指導を実施した事業場のうち、4,499事業場(全体の17.5%)に対して、労働時間の把握が不適正であるため、厚労省で定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に適合するよう指導した。

 主な指導事項の内訳は、次のとおりである。

  1. ・ 始業・就業時刻の確認・記録 2,319事業場(労働時間の適正な把握に係る指導を受けた4,499事業場の51.5%)
  2. ・(自己申告制による場合)実態調査の実施 2,209事業場(同49.1%)
  3. ・(自己申告制による場合)自己申告制の説明 380事業場(同8.4%)
  4. ・(自己申告制による場合)適正な申告の阻害要因の排除 257事業場(同5.7%)

 

3 監督指導により把握した実態

(1) 時間外・休日労働時間が最長の者の実績

 監督指導を実施した結果、違法な時間外労働があった11,592事業場において、時間外・休日労働が最長の者を確認したところ、8,592事業場で1か月80時間を、うち5,960事業場で1か月100時間を、うち1,355事業場で1か月150時間を、うち264事業場で1か月200時間を超えていた。

(2) 労働時間の管理方法

 監督指導を実施した事業場において、労働時間の管理方法を確認したところ、2,328事業場で「使用者が自ら現認」することにより確認し、8,492事業場で「タイムカードを基礎」に確認し、4,867事業場で「ICカード、IDカードを基礎」に確認し、9,494事業場で「自己申告制」により確認し、始業・終業時刻等を記録していた。

 

  1. 厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します(8月7日)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00800.html
  2. ○ 長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します(本体資料PDF版)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000342612.pdf
  3.  
  4. 参考(前回の監督指導結果について)
    SH1333 厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果(平成28年度)を公表 (2017/08/07)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=4171694
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  6. 参考(前々回の監督指導結果について)
    SH0627 厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表 羽間弘善(2016/04/13)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=1303055

 

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