実学・企業法務(第164回)
法務目線の業界探訪〔Ⅳ〕建設・不動産
同志社大学法学部
企業法務教育スーパーバイザー
齋 藤 憲 道
〔Ⅳ〕建設(ゼネコン、戸建て、下請)、不動産取引
3. 業法、資格
(2) 宅地建物取引業法
- ① 宅地建物取引業の適正運営と宅地・建物の取引の公正確保のため、宅地建物取引業者[1]「免許」制度が設けられている。
- ・ 2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する場合は、国土交通大臣の免許
- ・ 1の都道府県の区域内にのみ事務所を設置する場合は、事務所所在地の都道府県知事の免許
- ② 宅地建物取引業者は、宅地・建物の売買・交換・貸借の相手方等に対して、契約成立前に、宅地建物取引士をして少なくとも対象物件に関する「重要事項(宅地建物取引業法35条に記載)」について、これらの事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない(35条)。
- 〔重要事項説明書の記載事項(例)〕
-
1 対象となる宅地又は建物に直接関係する事項
登記記録記載事項、都市計画法・建築基準法等の法令に基づく制限、私道負担、飲用水・電気・ガスの供給・排出、造成宅地防災区域の内外、土砂災害警戒区域の内外等 -
2 取引条件に関する事項
代金(総額、分割支払、支払時期等)、契約の解除条項、損害賠償の予定・違約金、手付金、支払金・預り金の保全、金銭貸借の斡旋、金銭貸借が不成立の場合の措置、瑕疵担保責任、割賦販売に係る事項等 -
3 その他の事項(供託所等に関する事項[2]等)
宅地建物取引業者が供託した営業保証金に関する説明等 -
4 マンション等の区分所有建物の場合に追加される事項
敷地に関する権利の種類・内容、共用部分に関する規約、専用部分の用途・利用制限に関する規約、計画修繕積立金等、通常の管理費用、管理の委託先、建物の維持修繕の実施状況の記録等
(3) マンション管理業の規制(マンション管理適正化法[3])
マンション管理業者は、マンション管理業者登録簿(国土交通省)に「登録」されなければならない。
事務所毎に、国土交通省令で定める数の専任の管理業務主任者(成年)を置かなければならない[4]。
[1] 旧財閥系、鉄道系、ゼネコン系、金融・商社系、独立系、メーカー系や個人事業者等、さまざまである。
[2] 宅地建物取引業法27条、35条の2
[3] 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の通称
[4] マンション管理適正化法56条