日産自動車、ゴーン前会長らの取締役解任等で臨時株主総会開催を決議
――虚偽記載に係る役員報酬92億円については一括で計上――
日産自動車は2月5日の臨時取締役会で、臨時株主総会を4月8日に開催することを決議した。カルロス・ゴーン前代表取締役会長の報酬額を実態よりも少なく見せるため、同氏とグレッグ・ケリー前代表取締役が、長年にわたり、有価証券報告書に虚偽の記載をしていたなどとして逮捕・起訴されたことを受け、会長職や代表権についてはすでに解いていたが(後掲の別稿参照)、今回の臨時株主総会で取締役としても解任するとともに、仏ルノーのジャンドミニク・スナール新会長を取締役に選任することとしている。
なお、同社によると、全取締役の選解任等については、3月末に出される予定の同社ガバナンス改善特別委員会(委員長=西岡清一郎弁護士)での提言を踏まえ、6月に開催予定の定時株主総会で改めて決議する予定であるとしている。
また、同社は、2月12日に「過年度有価証券報告書の訂正予定に関するお知らせ」を公表し、「現在、当社取締役カルロス・ゴーンの役員報酬として、本来有価証券報告書に開示すべきであった額を、精査しており……訂正内容が確定次第、速やかに、過年度の有価証券報告書の訂正報告書を財務当局に提出」することとしている。
さらに、同日に公表した平成31年3月期第3四半期決算短信で、「当該虚偽記載にかかるゴーンの役員報酬について、過年度の財務情報において、計上されていない金額を一括計上」したと公表した。以下、該当部分を紹介する。
決算短信の注記事項(その他特記事項)
当社取締役カルロス・ゴーンの役員報酬に係る当社の有価証券報告書における虚偽記載に関し、当社による調査及び検察当局による起訴内容に基づき、当第3四半期連結累計期間において9,232百万円の費用計上を行い、反映しています。これは、当社において入手可能となった情報に基づいて最善の見積りを行い、過年度の財務情報において計上されていない金額を一括計上したものです。なお、調査は現在進行中であり、今後、最終金額は当該見積り計上額と異なる可能性があります。また、当該金額は当社から支出されておらず、当社が実際に支出する金額は、将来、最終化されます。
(年度毎の金額) | (百万円) |
平成22年3月期 | 246 |
平成23年3月期 | 806 |
平成24年3月期 | 926 |
平成25年3月期 | 1,056 |
平成26年3月期 | 960 |
平成27年3月期 | 1,134 |
平成28年3月期 | 1,164 |
平成29年3月期 | 1,248 |
平成30年3月期 | 1,692 |
合計 | 9,232 |
四半期連結財務諸表等に関する注記事項(四半期連結損益計算書関係)
当社取締役の役員報酬に係る当社の有価証券報告書における「役員の報酬等」の虚偽記載に関し、当社による調査及び検察当局による起訴内容に基づき、当第3四半期連結累計期間において過年度に計上されていない9,232百万円の役員報酬の追加費用計上を「給料及び手当」に反映しています。これは、当社において入手可能となった情報に基づく最善の見積り額であるため、最終金額は当該見積り計上額と異なる可能性があります。
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日産自動車、臨時株主総会開催を決議(2月5日)
https://newsroom.nissan-global.com/releases/release-41181d20da4d17b77ed88d70080bf856-190205-02-j?lang=ja-JP -
日産自動車、過年度有価証券報告書の訂正予定に関するお知らせ(2月12日)
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120190212474931.pdf -
参考
SH2254 東京地検特捜部、日産自動車前会長らを虚偽有価証券報告書提出の容疑で起訴・再逮捕(2018/12/18)
https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=7814774