◇SH3210◇関西電力、金品等の受取り問題で旧取締役5名に損害賠償請求訴訟を提起――株主からの提訴請求等を踏まえるも、監査役については提訴せず(2020/06/24)

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関西電力、金品等の受取り問題で旧取締役5名に損害賠償請求訴訟を提起

――株主からの提訴請求等を踏まえるも、監査役については提訴せず――

 

 

 関西電力の役員等が、原発立地自治体の元助役から金品等を受け取っていた問題で、同社の監査役は6月15日、旧取締役5名に対し、本件問題に関する善管注意義務違反があるとして責任追及の訴えを提起することを決定し、6月16日に大阪地裁に提訴した。

 

 本件問題については、同社の第三者委員会(委員長=但木敬一弁護士)の調査報告書が3月14日に取りまとめられたことや、同社の個人株主から取締役および監査役に対する責任追及訴訟の提起請求を受けたことから、関西電力は「独立性を確保した利害関係のない立場にある社外の弁護士に調査を委嘱し、その客観的かつ厳正な調査結果を受け、当社現旧取締役および現旧監査役に対する責任追及の訴えの提起の要否」について検討していた。

 

 そして、取締役責任調査委員会(委員長=才口千晴弁護士)が6月8日に取りまとめた調査報告書に基づき、提訴請求の対象となっている現旧取締役のうち同社前会長ら旧取締役5名について、本件問題に関する善管注意義務違反があるとして、19億3,600万円の損害賠償を請求する訴訟を同社監査役が提起した。

 

 また、本件における同社の現旧監査役の責任については、同社取締役会が「独立性を確保した利害関係のない立場にある弁護士法人北浜法律事務所の弁護士に対して調査を依頼し、本件問題を本件監査役らが取締役会へ報告しなかった経緯等」について調査した。

 調査の結果、「本件監査役らに善管注意義務違反があった」とされた一方、「当社による訴え提起の必要性判断を検証した顧問弁護士から、善管注意義務違反の存在自体について、様々な意見があり得るとの見解も徴している」とされた。

 その上で、「善管注意義務違反がある場合でも、損害の有無およびその範囲は必ずしも明らかではなく、また本件監査役らが賠償すべき損害額が巨額に及ぶとは考えられない一方、本件監査役らに対し、責任追及の訴えを提起したとしても、回収が期待される利益が訴訟に要する費用を上回るとは考え難いこと、併せて、長期にわたりそのような訴訟に経営資源を割かれるというデメリット等、当社の今後の事業運営に対する様々な影響等も考慮」して、同社取締役会は、「本件監査役らに対して責任追及の訴えを提起しないことが当社のために最善と判断」したものである。

 

 

 

関西電力、当社旧取締役に対する損害賠償請求訴訟の提起について(6月16日)
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2020/0616_1j.html

○当社現旧取締役および現旧監査役に対する提訴請求への当社の対応について(6月15日)
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2020/0615_2j.html

○取締役責任調査委員会からの調査報告書の受領について(6月8日)
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2020/0608_1j.html

○株主からの提訴請求について(4月20日)
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2020/0420_2j.html

○株主からの提訴請求について(2019年11月28日)
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2019/1128_3j.html

○金品受取り問題に関する第三者委員会からの調査報告書の受領について(3月14日)
https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2020/0314_2j.html

 

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