◇SH2397◇伊藤忠商事、デサント株式に対する公開買付けで開始公告等の「目的」を訂正 (2019/03/13)

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伊藤忠商事、デサント株式に対する公開買付けで開始公告等の「目的」を訂正

――デサントは「反対の意見表明」を訂正して反論――

 

 伊藤忠商事(東京都港区、東証第一部上場)は2月28日、すでに1月31日付で公開買付開始公告を行っていた、同社の完全子会社であるBSインベストメント株式会社(東京都港区)を公開買付者とし、デサント(大阪府大阪市天王寺区、東証第一部上場)の普通株式を対象として実施している公開買付けについて、(1)2月28日付で公開買付届出書の訂正届出書を関東財務局長に提出するとともに、(2)1月31日付「株式会社デサント株式(証券コード:8114)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ」および(3)同日付「公開買付開始公告」の内容を訂正すると発表した(2月8日までの経過について、SH2334 伊藤忠商事、デサント株式に対する公開買付けを開始 (2019/02/13)既報。公開買付期間に変更はなく、3月14日までの30営業日となっている)。

 一方のデサントにおいても3月8日、伊藤忠商事側の訂正を受け「伊藤忠商事らの主張は、当社及び伊藤忠商事の間で行われた協議の実際の経緯や事実関係に反」するとし、2月7日付「BSインベストメント株式会社による当社株券に対する公開買付けに関する意見表明(反対)のお知らせ」(以下「反対意見表明プレスリリース」という)を訂正する発表を行っている。

 伊藤忠商事側の発表によると、①公開買付けの開始後、デサントの申入れを受け、デサントの意向を尊重する形で、本公開買付け終了後の同社の経営体制等に関する話合いに応じたが、②デサントから提案された本公開買付け終了後の経営体制等では、同社の持続的な企業価値の向上を目指した成長戦略、その施策の実践、健全なコーポレート・ガバナンス体制の再構築は困難であると判断、③さらに、デサントの現経営陣は報道機関へのインタビュー等で、同社が提出した2月7日付反対意見表明プレスリリースにおける開示内容を越える、あるいは一部事実と異なる発言を繰り返しながら適切な開示がなされておらず、当社としては、このような行為が投資家の皆様による適切な投資判断に重大な悪影響を及ぼす可能性があると判断していること、④このような状況を踏まえ、本公開買付期間中のデサントとの話合いを打ち切り、公開買付け開始時点の方針どおり、本公開買付けの終了後にデサントの経営陣と改めて対話する方針を決定したことを説明するもので、伊藤忠商事側としては「デサントの持続的な企業価値の向上を目指し、本公開買付け終了後に同社のステークホルダーの皆様の利益に資する成長戦略及び施策を確実に遂行するために、本公開買付けを着実に進めて」いくとしている。

 公開買付開始公告における訂正は「1.公開買付けの目的」の「(3)本公開買付け成立後の経営方針」中の記載について、上述のような経緯の詳細を訂正箇所には下線を引きながら大幅に補充して説明する体裁となっており、(ア)(デサント側との)話合いにおいては、表面的な社外取締役数の議論に留まったため、伊藤忠商事としては公開買付期間中に本公開買付け終了後のデサントの経営体制に関する具体的な方向性についてデサントと認識を一致させ、 その方向性に沿った経営体制の内容をデサントが決定・開示することは難しいと判断せざるを得ない状況であったこと、(イ)本公開買付けの結果等を総合的に考慮のうえ、デサントに対して臨時株主総会の招集を請求することを検討する可能性があることも含ませている。

 デサントによると、①本反対意見の公表後、伊藤忠商事および当社の双方と関係のある第三者から仲介の提案があったことから建設的な対話を期し、本公開買付け後の当社の経営方針・経営体制等に関する協議を行ってきたが、②伊藤忠商事らは協議を打ち切り、2月28日付で訂正プレスリリースを公表、③このなかで、上記協議が行われていた間に当社の現経営陣の交渉態度の誠実性および当社の代表取締役社長の発言内容の信憑性に疑問を持たざるを得ない状況が継続し、かつ、当社から本公開買付け後の当社の経営体制に関する具体的な方向性の提示がなかったなどと主張しているが、このような主張は当社および伊藤忠商事の間で行われた協議の実際の経緯や事実関係に反するとしており、④当社の株主や投資家の皆様において誤った情報に基づく判断がなされることがないよう、当社および伊藤忠商事の間の協議の経緯および内容を説明するとともに、反対意見表明プレスリリースの一部を補足的に訂正すると説明。「当社は、引き続き、本公開買付けに対して反対し、当社の株主の皆様には本公開買付けに応募されないようお願いする旨の意見を有している旨、念の為付言」するとした。

 2月7日付反対意見表明プレスリリースの訂正は「3.当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「C.当社の更なるガバナンス体制の改革も阻害される可能性があること」における記述を伊藤忠商事側の例と同様、相当量の加筆により補足するもの。デサントとして「当社は、伊藤忠商事との協議において、株主共同の利益の確保の観点から真摯な検討を行い、具体的な方向性を示した上で誠実に対応してきたものであり、本公開買付け終了後、改めて伊藤忠商事と対話を開始し、単に取締役会の人数構成にとどまらず、今後の当社の取締役候補を公正・公平に選定するための指名委員会のあり方や当社の経営基盤強化のための次世代リーダー育成の仕組み等を盛り込んだ協定書の策定・合意を目指し、建設的に協議して」いくと表明している。

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