ヨロズ、株主の要請に基づき受領レターに関する同社見解を公表
――CGコード違反との主張にも同社CGガイドラインの規定等を踏まえて反論――
自動車サスペンション大手のヨロズ(本社:神奈川県横浜市、東証第一部上場)は5月9日、株主である株式会社レノ(本社:東京都渋谷区)から複数回にわたって買収防衛策の廃止、政策保有株式の売却および自社株買いを含む株主価値向上策の実施を求める旨などを述べる書簡(以下「本書簡」という)を受領しているとして公表するとともに、提案株主からは本書簡に対する会社側回答の公表を要請されているとして同社見解を発表した。
同社として今般表明したのは、株主が述べる(1)買収防衛策の廃止、(2)政策保有株式の売却、(3)自社株買いを含む株主価値向上策、(4)コーポレートガバナンス・コード違反との主張、(5)当社代表取締役社長の経営者としての資質を疑問視する旨の批判――といった諸点についての見解と(6)これまでの経緯について。
(1)に関しては、本年6月開催予定の定時株主総会の議案とすることなどについて株主提案を行うとの書面を4月9日付で別途受領したとしている。また(6)による同社見解によれば、(a)提案株主が2014年から2015年ころにかけて共同保有者とともに同社株式の約12%を取得していたこと、(b)当該保有時、提案株主のアドバイザーとされる村上世彰氏が同社代表取締役会長らとの面談などにおいて、大規模な自社株買いを実施しないなどの場合には同社株式に対する公開買付けを実施する旨を繰り返し述べていたものの、その後、報道がなされるなか、株価が上がったタイミングで同社株式のすべてを売却していること、(c)2018年以降、同社株式の取得が再度開始され、2019年4月4日・5日付で連名による大量保有報告書が提出されていること、(d)本書簡および面談等の機会において「徹底的な企業価値及び株主価値の向上施策の実施を要求し、その一環として、上記のとおり買収防衛策の廃止その他の施策の実行を再三にわたり主張して」いることを明らかにしたうえで、「上記のような従前の経緯及び他社事例に照らし、提案株主が、真摯に当社の中長期的な企業価値の向上を検討しているかについては非常に疑わしいものと言わざるを得ない」と結論付けている。
上記(4)の株主側の主張は、本書簡において同社代表取締役会長および代表取締役社長との面談を申し入れたにもかかわらず、同社総務部の担当者が面談に応じたことに関してコーポレートガバナンス・コード基本原則5(株主との対話)の観点から問題であるなどとするもの。同原則における補充原則5ー1①では、対話(面談)の対応者について「株主の希望と面談の主な関心事項も踏まえた上で、合理的な範囲で、経営陣幹部または取締役(社外取締役を含む)が面談に臨むことを基本とすべきである」とする。
同社ではこの点、(ア)基本原則5(株主との対話)は株主が指定する取締役との面談を実施すべきことを定めるものではなく、上場会社が適切と考える担当者において株主との面談を実施し、その内容を取締役に対して共有し、検討することも同原則における「対話」に当たるものと理解していること、(イ)あらかじめ定めた同社コーポレートガバナンス・ガイドラインに従って、また諸般の状況をも考慮したうえで、同社総務部長において提案株主との面談を実施し、面談の内容についてはすみやかに取締役会に共有し、検討していることを説明。「問題があるものとは考えておりません」と述べた。
なお、同社のコーポレートガバナンス・ガイドライン8条(経営陣との対話の機会の確保)3項は「株主の皆様が面談を希望する場合、業務に支障のない範囲で、面談の主な関心事項、保有株式数等を踏まえて、当社の担当執行役員もしくは関連部署長が面談に臨むものとする」ことを規定している。