◇SH2569◇公認会計士・監査審査会、第6期の「監査事務所等モニタリング基本方針」を策定 (2019/05/30)

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公認会計士・監査審査会、第6期の「監査事務所等モニタリング基本方針」を策定

――大手監査法人に「原則として毎年」検査実施、準大手に「原則として3年に一度」を明記――

 

 公認会計士・監査審査会は5月17日、第6期(2019(平成31)年4月〜2022年(令和4)年3月)における「監査事務所等モニタリング基本方針-監査の実効性の更なる向上を目指して-」を策定したとし、これを公表した。

 本基本方針は第5期(2016年4月~2019年3月)における「監査事務所等モニタリング基本方針(審査・検査基本方針)-より実効性のある監査の実施のために-」(2016年5月13日。以下「前基本方針」という)の後継となる基本方針で、事務年度(7月〜翌年6月)ごとの「監査事務所等モニタリング基本計画」は、本基本方針を踏まえて策定されることになる。

 全体を内国監査事務所に関する「1. オフサイト・モニタリングに係る基本方針」「2. 検査基本方針」「3. モニタリング情報の提供方針」および外国監査法人等に関する「4. 外国監査法人等に対するモニタリング基本方針」とに大別して4章構成としている点は、前基本方針とほぼ変わらない。前文では(ア)「監査事務所等の現状」として、2017年3月の「監査法人の組織的な運営に関する原則(監査法人のガバナンス・コード)」公表以降の監査事務所の状況、そして被監査会社の状況などを概観したのち、(イ)「モニタリングの視点」を、また(ウ)「モニタリングの目的及びその達成のための基本的な考え方」を掲げる。(ウ)では新たに「監査法人のガバナンス・コードを採用している監査事務所」に関し、「同コードを踏まえて構築したガバナンス等の経営管理態勢が当該監査事務所の業務の適正な運営の確保に資するものとなっているか」について継続的にモニタリングを行うとしている。

 上記1のオフサイト・モニタリングを巡っては、前基本方針同様の(1)「協会の品質管理レビューの検証等」、(2)「報告徴収」に続き、本基本方針より(3)「監査事務所との定期的な対話等」を挙げた。(2)の記述は①大手監査法人・準大手監査法人向け、②中小規模監査事務所向けとで分けられており、とりわけ②に対する報告徴収の視点が明確になったといえる。

 (3)では、①大手監査法人・準大手監査法人のトップを含む経営層との定期的・継続的な対話について、監査事務所自らによる品質管理の向上を促す観点から、今後も深度ある対話が行われるよう努めること、②対話の際には、市場関係者が有益な情報を得られるよう、監査事務所自らが開示する品質管理に係る情報の一層の充実、積極的な情報発信を促すこと、③監査事務所との対話だけでなく、関係先との積極的な意見交換や連携にも努めることを述べている。

 上記2の検査基本方針は(1)「検査の実施」、(2)「検査の着眼及び留意点」からなる。(1)によると、前基本方針において共に「定期的に検査を実施する」とされていた①大手監査法人および②準大手監査法人への検査は、①大手監査法人:原則として毎年検査を実施(通常検査とフォローアップ検査の交互実施)、②準大手監査法人:定期的に(原則として3年に一度)検査を実施するものと明記された。

 また、ア〜エの4項目からなる(2)では、①複数項目における「業務管理態勢」「品質管理態勢」「監査実施態勢」への言及、②イにおいて「監査事務所のトップの方針」「トップを含む経営層の品質管理に係る認識や対応」を新たに取り上げたこと、③監査手続の実施に当たって「監査実施者が職業的懐疑心を発揮し」て行っているかを追記したことの各点が特徴的である。

 上記3のモニタリング情報の提供方針としては「更に情報の充実や見直しなどを行う」姿勢が謳われた。上記4の外国監査法人等については(1)「報告徴収及び検査」および(2)「外国監査監督当局等との連携」と2項目を建てるようにし、(2)に係る記載を具体化している点が注目される。

 

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