◇SH2581◇環境省、「平成30年度 環境にやさしい企業行動調査」結果を公表(2019/06/05)

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環境省、「平成30年度 環境にやさしい企業行動調査」結果を公表

――「環境情報を企業価値評価に活用するための考え方に関する報告書」も公表――

 

 環境省は5月27日、環境と企業に関する下記の2つの報告書を公表したので、紹介する。

  1. ①「平成30年度 環境にやさしい企業行動調査」
  2. ②「環境情報を企業価値評価に活用するための考え方に関する報告書」

 

1 「平成30年度 環境にやさしい企業行動調査」について

 環境省では、「環境にやさしい企業行動調査」を平成3年度から継続して実施しているところ、今般、平成30年度調査結果(平成29年度における企業の取組)を取りまとめ、公表した。

 今回の調査は、各社の平成29年度における取組について平成31年2月~3月にかけてアンケートを実施したものであり、調査対象は従業者数500名以上の上場企業及び非上場企業4,316社で、うち、1,187社(27.5%)から回答を得た。

 今回の調査結果の概要は、以下のとおりである。

(1) 環境マネジメントシステムの構築・運用について

 ISO14001、エコアクション21等の第三者が認証する環境マネジメントシステムを構築・運用している企業は全体の51.2%で、上場企業では75.9%が構築・運用しており、非上場企業では42.8%であった。

(2) 取引先との関係について

 グリーン購入を実施している企業は全体の59.3%で、上場企業では82.8%が実施しており、非上場企業では51.2%であった。

 グリーン購入を実施している企業における手法をみると、「自社で作成した購入ガイドライン又は購入リスト等を活用している」が35.9%、「自社以外(業界団体等)で作成した購入ガイドライン又は購入リスト等を活用している」が18.2%であり、何らかの「購入ガイドライン又は購入リスト等を活用している」企業は54.1%となった。

(3) 環境に関する情報開示等について

 環境報告書を作成・公表している企業は全体の34.0%で、上場企業では71.6%が作成・公表しているが、非上場企業では21.2%にとどまる。

 環境報告書を作成している企業では、その信頼性の向上のために、「内部審査(内部監査や自己評価)」(38.0%)や「第三者機関による審査」(36.4%)を行っている企業が多く、「審査ではないが、有識者等からのコメントを受けている」企業も22.0%である。その一方で、「審査を受けていない」企業も24.9%となっている。

(4) 地球温暖化防止対策について

 地球温暖化対策の推進に関する法律36条1項に定める計画を作成している企業は全体の50.1%で、上場企業では72.3%が作成しており、非上場企業では42.5%であった。

 作成の上、公表までしている企業は全体の30.9%で、上場企業では59.1%が公表まで行っているが、非上場企業では21.3%にとどまる。

(5) 環境会計について

 環境会計を導入している企業は全体の20.3%で、上場企業では50.8%が導入しているが、非上場企業では9.8%にとどまる。

 環境会計を導入している企業では、「一般に対する環境情報の開示」に利用している企業が73.4%、「環境保全対策の支出額の管理」に利用している企業が49.4%である。

 

2 「環境情報を企業価値評価に活用するための考え方に関する報告書」について

 環境省の「環境情報と企業価値に関する検討会」(座長=北川哲雄・青山学院大学大学院教授)は、「環境情報を企業価値評価に活用するための考え方に関する報告書」を公表した。

 同検討会は、「ESG投資の考え方をより実務的・実践的に“E”(環境)を中心に広める」趣旨から、環境情報に対する投資家等の理解向上を支援することを目的に設置され、2017年9月から2018年3月にかけて、及び、2018年11月から2019年2月にかけて、計12回の会合を開催し、持続可能な中長期的な成長に向けて企業との建設的な対話を志向する機関投資家を念頭に、環境情報と企業価値の関連性を探るための手がかりを整理すべく議論を重ねてきた。 

 本報告書は、「中長期的な時間軸でリターンの獲得を志向し、ESGの各要素を投資判断に織り込む上で、環境情報を理解する能力を組織として備えようと考えている機関投資家(アセット・オーナー、運用機関)を念頭に、環境情報を企業価値評価に役立てるための基本的な考え方を整理し、投資家が環境情報を利用する際のアプローチを事例とともに提供すること」を目指すものとなっている。

 以下、本報告書の構成を紹介する。

 

エグゼクティブサマリー

はじめに

第1章 基本的考え方

 第1節 企業価値と重要性(マテリアリティ)

 第2節 時間軸

 第3節 空間軸

 第4節 マテリアルな環境情報

 第5節 対話の重要性

 第6節 ESG投資体制の構築

第2章 環境情報の見方

 第1節 全体像

 第2節 背景事情の分析と理解

 第3節 重要な環境課題関連のリスク・機会分析

 第4節 環境課題に関する戦略の確認

 第5節 重要な環境課題に関連するリスク・機会のマネジメントの分析

 第6節 目的とパフォーマンス(KPI)の分析

 第7節 リーダーシップとガバナンスの分析

第3章 環境情報を読み解く手引き

 第1節 環境問題のマクロ動向

 第2節 バリューチェーンを構成する要素別の主要な環境課題・リスク・機会

おわりに

 

 

  1. 環境省、「環境にやさしい企業行動調査」結果の公表について(5月27日)
    http://www.env.go.jp/press/106797.html
  2. ○「環境にやさしい企業行動調査」の結果の詳細
    http://www.env.go.jp/policy/j-hiroba/kigyo/
  3.  
  4. 環境省、「環境情報と企業価値に関する検討会」の報告書公表について(5月27日)
    http://www.env.go.jp/press/106749.html
  5. ○ 環境情報と企業価値に関する検討会
    http://www.env.go.jp/policy/esg/conf/index.html
  6. ○「環境情報を企業価値評価に活用するための考え方に関する報告書」
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/06/report.pdf

 

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