SH2662 公取委、独占禁止法に関する相談事例集(平成30年度) 三浦貴史(2019/07/11)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

公取委、独占禁止法に関する相談事例集(平成30年度)

岩田合同法律事務所

弁護士 三 浦 貴 史

 

1 はじめに

 公正取引委員会(以下「公取委」という。)は、令和元年6月26日付で、平成30年度における事業者等の活動に関する主要な相談事例の概要を取りまとめた「独占禁止法に関する相談事例集(平成30年度)」を公表した。

 以下では、公取委が当該事例集に特徴的なものとして掲載した事例のうち、競合する事業者による共同行為について、独占禁止法(以下「独禁法」という。)上問題となるものではないとされた事例につき、解説する。

 

2 本事例の概要

 本事例は、貨物自動車運送事業を営む運送事業者11社(以下単に「11社」という。)が、ドライバーの労働環境の改善及び効率的な輸送を実現するために、高速道路を利用する幹線輸送の一部区間(以下「共同輸送区間」という。)において、次の⑴から⑶の方法により、大型の貨物自動車による共同輸送を実施すること(以下「本件取組」という。)について検討がなされたものである。

  1. ⑴ 11社は、顧客と個別に運賃交渉等を行い、輸送契約を締結する。
  2. ⑵ 11社間において輸送協定を締結の上、顧客と輸送契約を締結した事業者が、共同輸送区間において大型の貨物自動車によって実際に輸送を行った事業者に対し、輸送協定に定める委託料金を支払う。
  3. ⑶ 11社の間では、共同輸送を行う上で必要最低限の情報のみ共有し、顧客との輸送契約のうち、荷主の名称・運賃の水準・貨物の具体的な内容・最終的な発着地などに関する情報は共有しない。

この記事はプレミアム向け有料記事です
ログインしてご覧ください


(みうら・たかし)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法学部卒業。2016年東京大学法科大学院卒業。2017年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)

 

タイトルとURLをコピーしました