◇SH2690◇MTG、中国所在子会社の会計不正で第三者委員会報告書を公表――委員会提言を踏まえ、会社側も再発防止策を策定・公表 (2019/07/25)

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MTG、中国所在子会社の会計不正で第三者委員会報告書を公表

――委員会提言を踏まえ、会社側も再発防止策を策定・公表――

 

 美容・健康分野のブランド開発・展開を進めるMTG(本社・愛知県名古屋市、東証マザーズ上場)は7月12日、同社の連結子会社であるMTG上海における不適切な会計処理を巡って設置した第三者委員会から受領した「調査報告書」を公表した。

 前日11日に同社として受領したことを発表、機密情報保護等の措置を施した「公表版」をすみやかに公表する予定であると表明していた。同社では併行して12日、過年度の決算短信等について訂正するとともに過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を関東財務局に提出。これに伴って同日、過年度の内部統制報告書についても訂正報告書を提出した。提出遅延となっていた2019年9月期第2四半期報告書についても期日延長後の提出期限となる12日、提出している。

 MTGでは今年5月13日、「当連結子会社における不適切な会計処理の疑義の判明に関するお知らせ」と題して本事案に関する第一報をリリース。中国・上海市所在の連結子会社であるMTG上海において「2019年9月期第2四半期会計期間の特定の取引先2社における売上取引に関し不適切な会計処理の疑義が判明致しました」とするもので、監査人である有限責任監査法人トーマツの審査の過程で当該売上取引の実現性の認識方法について議論となり、現地子会社に赴き追加のレビュー手続の実施を要請されたこと、当該現地での監査人の追加レビュー手続の実施の過程で会計処理の前提としての事実と異なる事象が判明したことを表明したうえで、第三者委員会の設置および調査・原因究明等に関する検討方針を明らかにしていた。

 MTGはその翌日となる5月14日には第三者委員会の設置について発表。同社として「今回、発覚したMTG上海における売上取引行為に係る不正の疑惑及び虚偽説明の事実を重く受け止め、社外の専門家を用いて徹底した調査を行う必要がある」とする考えを示しながら、弁護士を委員長として、公認会計士および大学准教授(元公認会計士)を委員として構成される計3名の第三者委員会を設置することにより全容解明を図るとした。

 なお、この時点では(1)MTG上海における不正売上行為の疑義および監査人への虚偽説明ならびに不適切な会計処理の疑義に関する事実関係(類似事象の存否を含む)の調査、(2)同社の組織的関与の有無、(3)本件(上記(1))による連結財務諸表への影響額、(4)本件(上記(1))の調査結果の報告および発生要因の究明ならびに再発防止策の提言が調査目的とされたが、その後の同社発表および今般公表の「調査報告書」によると、第三者委員会の各委員候補者と会社との信頼関係維持を困難とする事態が生じたことなどもあり、第三者委員会として(ア)ヒアリング、アンケート調査および会計調査・分析等により親会社としてのMTGを含む全グループ会社22社を調査対象としてカバーする類似事象の調査スコープを設定したこと、また、上海事案の類似事象を調査する過程において新たに不適切な会計処理の疑義が検出されたことから(イ)2018年9月から12月までの4か月間にわたり中国向けの越境EC事業向けとして行われたMTGのC社に対する販売取引(以下「C社取引」という)における不正売上行為の疑義およびトーマツへの虚偽説明ならびに不適切な会計処理の疑義に関する事実関係の調査、この事案の類似事象の存否など関連調査等一式が追加されたことが明らかになっている。

 また、第三者委員会による本件調査の補助者として、各委員が所属する組織の関係者以外に大手監査法人および大手法律事務所から相当数の公認会計士・弁護士等が選任され、参画した。

 調査報告書により示された調査結果によると、(a)2018年9月期決算における目標利益を実現したいと考えていたMTGと、MTGの中国越境ECサイト運営会社向けの取引に関与したいと考えていたC社との利害が一致する取引として始まったC社取引では、一連の取引に会計上の「財貨の移転の完了」を認めることはできず、MTGが商品をC社に出荷・納品しただけでは収益(売上)が実現したと評価することは合理的でなく、MTGの収益(売上)はC社が中国のECサイト運営会社へ販売した時点で実現し、売上計上されることから、2018年9月から12月にかけてMTGにおいて計上された売上高は取り消され、C社の商品販売事実を基準にしてMTGの売上高が計上されること、(b)2019年9月期の第2四半期の業績予想を達成するため、また2019年1月の単月業績予測が赤字の見込みとなったことから、これをMTG上海の売上によって補填・回避する目的でなされたA社取引では、A社がA社からB社への転売が実行されることを前提として参画したと考えるのが合理的なところ、三者間契約が未締結の下ではA社が当初から支払期限の到来時にMTG上海へ代金を支払う意図はなかったと評価でき、IFRS15号における「契約の識別」ができず、2019年1月のA社向け売上計上は認められないことなどを認定。類似事象についても丁寧に認定したうえで、2018年9月〜12月のC社取引、2019年1月のA社取引、2019年3月のB社取引について、各四半期における売上高の修正額を示している。

 調査報告書では本件疑義取引等の原因として、まず①各関係者の関与について言及したうえで、②社長の経営姿勢、③上場直後の公表数値の未達成は許されないとする全社的風潮、④全グループ内で唯一希望の星であった中国への過剰な期待と多額の売上設定・達成へのプレッシャー、⑤上司の意向に逆らえない、または上司の意向を忖度してしまう企業風土、⑥適切な会計処理を行うための仕組みの脆弱性、⑦本社管理部門の権能の軽視、⑧コンプライアンス機能の不十分性、⑨内部通報制度の周知不徹底、⑩内部監査部門の機能・関与の状況――といった計10点を指摘。再発防止策としても10点を提言した。

 MTGは7月18日、第三者委員会の提言を踏まえた再発防止策を発表。次の8点を掲げつつ、会社としては今後、コンプライアンス統括責任者等において、これら再発防止策の具体的なアクションプランおよびスケジュールを策定し、組織横断的な実行指示、定期的な進捗管理、再発防止策の定着状況の評価等を実施していくとしている。①経営陣の反省(本件に組織的に加担した役職員の適正な処罰、経営責任の明確化、過度な売上必達に拘らない適切な経営目標値の策定・市場実態を反映した修正)、②企業風土の改革、③本社管理部門の機能に対する認識の改善と独立性確保・機能強化、④適切な会計処理を行うための仕組みの強化、⑤コンプライアンス体制の見直し・強化、⑥内部通報制度の運用改善と周知徹底、⑦内部監査室の体制強化、⑧取締役会・監査等委員会の監督機能の強化。

 

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