◇SH2870◇外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案が国会に提出される――国際仲裁代理の範囲拡大・国際調停代理の規制整備、共同法人制度の導入等(2019/11/06)

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外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を
改正する法律案が国会に提出される

――国際仲裁代理の範囲拡大・国際調停代理の規制整備、共同法人制度の導入等――

 

 「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案」が10月18日に閣議決定され、同日、国会(衆議院)に提出された。改正法案の提出理由によると、「法律事務の国際化、専門化及び複雑多様化により的確に対応し、渉外的法律関係の一層の安定を図る等のため、外国法事務弁護士等による国際仲裁事件及び国際調停事件の手続についての代理の規定を整備するとともに、外国法事務弁護士となるための職務経験要件を緩和し、あわせて弁護士及び外国法事務弁護士が社員となり法律事務を行うことを目的とする法人の設立を可能とする等の措置を講ずる必要がある」とされている。

 外国法事務弁護士制度に関しては、政府において、「規制改革実施計画」(平成26年6月24日閣議決定)で、職務経験要件の基準等の検討が求められたほか、「国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議」の中間取りまとめ(「国際仲裁の活性化に向けて考えられる施策」)(平成30年4月25日)で、外国法事務弁護士等の仲裁に関与しうる範囲のさらなる明確化やその見直しの検討が求められているところである。

 法務省でも、①「外国法事務弁護士制度に係る検討会」(座長=松下淳一・東京大学大学院教授)、および②「外国法事務弁護士による国際仲裁代理等に関する検討会」(同)において、以下のような方向で規定の整備を行うよう求める報告書をまとめている。

  1. ①「外国法事務弁護士制度に係る検討会」報告書(平成28年7月5日)

    1. ・ 職務経験要件の緩和に向けた前向きな検討を行うこと
    2. ・ 弁護士と外国法事務弁護士が社員となる法人を設立可能とすべきこと
  2. ②「外国法事務弁護士による国際仲裁代理等に関する検討会」報告書(平成30年9月25日)

    1. ・ 外国法事務弁護士等が代理することができる「国際仲裁事件」の範囲の拡大
    2. ・ 外国法事務弁護士等による国際調停代理の規定の整備等

 これらを受けて今回国会に提出された改正法案のポイントは、以下のとおりである。

  1. ⑴ 国際仲裁代理の範囲拡大・国際調停代理の規定整備(法律案要綱の第一関係)

    1. ・ 当事者全部が国内に本店等がある場合でも、当事者や準拠法等について外国との一定の関連性がある場合には「国際仲裁事件」と扱うこととし、その代理を可能とする
    2. ・「国際調停事件」(=事業者間の契約・取引紛争を対象とする)の規定を新設し、その代理を可能とする
  2. ⑵ 職務経験要件の緩和(法律案要綱の第二関係)

    1. ・ 職務経験期間「3年以上」につき、日本での労務提供期間の算入上限を、現行の「1年」から「2年」に拡大する
  3. ⑶ 共同法人制度の導入(法律案要綱の第三関係)

    1. ・ 弁護士および外国法事務弁護士を社員とする共同法人の設立を可能とする(名称=弁護士・外国法事務弁護士共同法人)

 また、改正法の施行日は、「公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日」から施行するものとされているが、上記⑴および⑵の改正部分については、「公布の日から起算して3月を経過した日」から施行するものとされている。

 さらに、上記⑶の改正部分では、法律の題名も「外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律」に改めることとされている。

 以下では、改正法案の要綱の項目を紹介する。

 

「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案要綱」の項目

  1.  第一  外国法事務弁護士等による国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続についての代理の規定の整備

    1. 一 「国際仲裁事件」の定義規定の見直し
    2. 二 「国際調停事件」の定義規定の新設
    3. 三  外国法事務弁護士等による国際仲裁事件の手続等及び国際調停事件の手続についての代理
  2.  第二  外国法事務弁護士となるための職務経験要件の緩和
  3.  第三  弁護士及び外国法事務弁護士が社員となり法律事務を行うことを目的とする法人制度の創設等

    1. 一  弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度の創設
    2. 二  他の種類の法人への変更及び他の種類の法人との合併
    3. 三  弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度の創設に伴う外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の改正
  4.  第四  附則

    1. 一  施行期日等
    2. 二  関係法律の整備

 

  1. 法務省、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案
    http://www.moj.go.jp/housei/gaiben/gaiben2019
  2. ○法律案要綱
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/11/001308066.pdf
  3. ○法律案
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/11/001308065.pdf
  4. ○理由
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/11/001308067.pdf
  5. ○新旧対照条文
    https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/11/001308064.pdf
  6. ○概要資料
    http://www.moj.go.jp/content/001308497.pdf
  7. ○概要資料(英訳版)
    http://www.japaneselawtranslation.go.jp/rel_info/rel_info_outline?re=01
     
  8. 国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議
    https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokusai_chusai/index.html
  9. 外国法事務弁護士制度に係る検討会
    http://www.moj.go.jp/housei/gaiben/housei07_00013.html
  10. 外国法事務弁護士による国際仲裁代理等に関する検討会
    http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04000005.html
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