◇SH2943◇シーイーシー、不適切な取引・会計処理を巡り再発防止策の実施を取締役会決議 ――社外者を中心に再発防止策検討チームを発足、独自に6項目を織り込む (2019/12/20)

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シーイーシー、不適切な取引・会計処理を巡り再発防止策の実施を取締役会決議

――社外者を中心に再発防止策検討チームを発足、独自に6項目を織り込む――

 

 シーイーシー(本社事務所・東京都渋谷区、東証第一部上場)は12月10日、9月17日に当初の発表を行った同社における不適切取引等を巡り、11月8日付で受領した特別調査委員会報告書を踏まえて検討してきた再発防止策の実施を取締役会で決議したと発表した。

 同社では9月17日、会計監査人であるPwCあらた有限責任監査法人から売掛金の一部の実在性に疑義があるとの指摘を受けたとし、特別調査委員会の設置を発表。しかしながら、提出期限が延長された2020年1月期第2四半期報告書について延長後の提出期限を迎えた10月17日、別の新たな不正が行われていた疑義が発生したなどとして追加調査を実施する旨とともに、四半期報告書の提出期限を11月15日とする再延長の申請を発表するに至っていた(SH2861 シーイーシー、「新たな疑義」判明で特別調査委員会を増員して追加調査 ――四半期報告書の提出期限は再延長の申請承認で11月15日に (2019/10/31)既報)。

 11月8日付の発表では、表紙を含めて全110頁建てとなる「調査報告書(開示版)」を公表。また「財務的な影響」として、2017年1月期通期〜2020年1月期第2四半期の各会計期間につき決算の訂正が必要となることが判明しているとしつつ、2019年1月期通期より前の期における訂正影響は僅少であることから過年度の訂正については2019年1月期通期、2020年1月期第1四半期および第2四半期のみについて行うことを表明。当該訂正により、2019年1月期通期の当期純利益は訂正前:約34.0億円であったところ、訂正後:約28.6億円と減少した。

 調査報告書によると、「当初疑義に関する調査結果」は「A社案件に係る認定事実並びに法的及び会計的評価」および「類似案件の調査」と、「新たな疑義に関する調査結果」は「B社案件に係る認定事実並びに法的及び会計的評価」および「B社案件に関する類似案件調査」と構成しており、調査対象期間としてA社案件は2016年1月期以降、B社案件は2014年7月以降について、関係資料の精査、関係者ヒアリング、取引先36社を対象とする取引内容の確認状送付、役職員等アンケート、グループ子会社等10社を対象とする取引の自己点検、デジタル・フォレンジックス調査、調査対象者の一部に対する資料の自主提出の要請により行われた。

 A社案件を巡り問題となった取引に関し、調査報告書では「対象商品がフロントエンドやエンドユーザーへ直送され、仲買に入った各社においては、対象商品実物の検品を行わないという特徴」を有する「商流取引」について、これを開始した経緯、継続する理由、メリットなどを仔細に認定しながら「循環取引や架空取引であるかどうかの峻別が困難であり、結果的にそのような取引に組み込まれてしまうリスクがあるが、……当該取引類型であること自体をもって、直ちに違法あるいは不適切な取引であるとまでは評価できない」などと検討結果を記載。そのうえで、A社との間の取引(本件納入取引)、H社からの入金、I社からの入金、D社との間の仕入取引といった個別の取引ごとに法的評価および会計的評価を示すかたちを採っており、たとえばA社との本件納入取引については、売買契約が不存在であることから法的に「有効に成立していない」と評価、かつ会計的にも「顧客との契約から生じる収益は不存在と認められ」「2019年1月期における売上取引については取消しが必要である」と指摘している。

 12月10日発表の再発防止策では、特別調査委員会が発生原因の分析を通じて提言していた4項目を軸とし、同社として10項目を取りまとめた。実効性のある再発防止策の策定のため、社外取締役および外部弁護士を中心とした再発防止策検討チームを発足させ、同チームの検討結果に基づいて決定したもので、特別調査委員会による提言外のものとして加えられた6項目は、次のとおりである。①主要会議体における承認事項・報告事項の見直し、②予算策定プロセスの見直し、③評価制度の見直しおよび透明性確保、④組織体制ならびに業務執行役員の組織分担見直し、⑤承認・決裁権限の見直し、⑥社内コミュニケーションの改善。

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