◇SH2952◇経産省、型取引の適正化推進協議会報告書を策定――取引類型により型取引の適正化に向けた基本的な考え・基本原則を示す(2020/01/07)

未分類

経産省、型取引の適正化推進協議会報告書を策定

――取引類型により型取引の適正化に向けた基本的な考え・基本原則を示す――

 

 経済産業省は12月11日、型取引の適正化推進協議会報告書を策定した。
 政府では、「下請等中小企業の取引条件改善に関するワーキンググループ」において、関係各省庁が行う下請等中小企業施策を取りまとめていたところである(後掲の別稿参照)。

 このうち経産省では、金型、木型等の型取引の適正化を進める観点から、昨年8月に産学官からなる「型取引の適正化推進協議会」(座長=細田孝一・神奈川大学教授、作業部会長=小林和真呂・弁護士)を立ち上げ、業界ヒアリング等により実態把握を行い、適正化に係る課題等について検討を行ってきた。そして今般、型取引の適正化に向けた基本的な考えおよび基本原則を報告書として取りまとめたものである。

 報告書によると、型取引には、①型に関する取引条件の曖昧さ、②受注側企業による資金繰り負担、③適正対価を伴わない受注側企業による型の長期保管、④型の廃棄・返却、保管費用項目の目安、⑤型の製作技術・ノウハウ流出、の5つの課題が主に存在することが明らかになったとしている。

 そしてこれらの課題に対して、現状の型に係る取引慣行を踏まえて下記の3類型に分類し、類型ごとに基本的な考え方・基本原則を示している。

  1. ・ 類型A 型のみまたは部品と型の双方を取引対象(請負等)とする取引
  2. ・ 類型B 取引の対象は部品であるものの、型についても、部品に付随する取引として型製作相当費の支払いや製作・保管等の事実上の指示を行う場合
  3. ・ 類型C 発注側企業が、型そのものを取引対象としないで、かつ、型に関して、型製作相当費の支払いや製作・保管等の指示をまったく行わず、受注側企業の判断で型管理を行う場合

 経産省では、今後も、同協議会を運営して、産業界での型取引の適正化に向けた取組の実施・浸透状況を把握することとしており、ベストプラクティスの紹介、フォローアップ調査等を実施するなど、産業界と連携して、型取引の適正化が着実に実施されるよう取り組んでいくこととしている。

 なお、報告書では、型の廃棄・返却等について、産業分野ごとに「目安」を示しているほか、「附属資料」として、「型の取扱いに関する覚書」の書式も収載している。

 以下、本報告書のポイントと構成を紹介する。

 

《型取引の適正化推進協会報告書のポイント》

  1. ① 型の所有権の帰属、型代金の支払方法、型の廃棄、費用負担など型の取引条件の曖昧さを廃し、協議・取決め事項の書面化を徹底する。
    その際、型の廃棄・返却の推進、保管費用の適正な算出およびエビデンスに基づいた協議が的確に行われるよう目安を示す。
  2. ② 型代金や型製作相当費の支払いについては、受注側企業の型製作に係る費用の支払時期を踏まえ、型の引渡し時までの一括払い、資金繰りに課題のある受注側企業には支払時期の前倒しに取り組む。
  3. ③ 不要の型の廃棄・返却を進め、発注側企業により型の保管を指示する場合は、発注側企業が保管に要する費用を負担する。
  4. ④ 秘密保持契約を含め、知的財産・ノウハウの保護に必要な取決めの書面化および型の製作技術・ノウハウに対する適正な対価の支払いを徹底する。
  5. ⑤ 型取引の適正化推進協議会において、引き続き、産業界での取組の実施・浸透状況を把握し、型取引の適正化に向けた取組を行っていく。

 

《報告書の構成》

1 本協議会設立の背景と目的

 ⑴ 製造業における型の位置付け、型の有する特性

 ⑵ 本協議会設立の背景
  ① 型管理の問題の顕在化
  ② 型管理の問題への取組
  ③ 型取引の実態の把握及び新たな課題の把握

 ⑶ 本協議会設立の目的

 ⑷ 本報告書の位置付け等

2 型取引適正化に係る課題

 ⑴ 総論

3 型取引の基本的な考え方・基本原則について

 ⑴ 型に関する取引の3つの類型

 ⑵ 類型ごとの型取引の基本的な考え方・基本原則について
  ① 型に関する取引条件の曖昧さについて
  ② 受注側企業による資金繰り負担について
  ③ 適正対価を伴わない受注側企業による型の長期保管について
  ④ 型の廃棄・返却、保管費用項目の目安について

4 国、産業界等が行う環境整備

  ① 振興基準、業種別ガイドライン、自主行動計画の改正
  ② 本報告書のきめ細やかな周知徹底
  ③ 型取引適正化に向けたPDCAサイクルの徹底
  ④ 発注側企業の留意するべき事項

附属資料

1 型の取扱いに関する覚書

 (以下略)

 

 

  1. 経産省、型取引の適正化推進協議会報告書を策定しました(12月11日)
    https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191211002/20191211002.html
  2. ○型取引の適正化推進協議会報告書(令和元年12月)(概要)
    https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191211002/20191211002-1.pdf
  3. ○型取引の適正化推進協議会報告書(令和元年12月)
    https://www.meti.go.jp/press/2019/12/20191211002/20191211002-2.pdf
  4.  
  5. 参考
  6. SH2892 下請等中小企業の取引条件改善に関するワーキンググループが第11回会合を開催――型取引の適正化等の進捗状況について(2019/11/19)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=10357257
タイトルとURLをコピーしました