◇SH2959◇「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」報告が公表――資金移動業で「高額」事業者対象に認可制、仲介法制では1登録で全分野可能な仲介業を創設へ (2020/01/14)

未分類

「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」報告が公表

――資金移動業で「高額」事業者対象に認可制、仲介法制では1登録で全分野可能な仲介業を創設へ――

 

 金融庁は12月20日、金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」(座長・神作裕之東京大学大学院教授。以下「WG」という)における検討・審議を踏まえて報告が取りまとめられたとし、これを公表した。

 WGでは初会合を10月4日に開催(SH2827 「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」が初会合を開催――まずは決済法制に係る「資金移動業」について具体的・実務的な審議 (2019/10/16)既報)、12月18日の最終・第7回会合まで月間2~3回の開催頻度で検討を進め、取りまとめに至ったものである。

 (ア)決済法制と(イ)金融サービス仲介法制を巡る課題は広範であり、(ア)では情報通信技術の発展による決済サービスの多様化やキャッシュレス化を背景に「決済に関する規制枠組みの見直しの具体的な方向性」を検討。(1)資金移動業、(2)前払式支払手段、(3)その他資金移動業及び前払式支払手段に関する事項(無権限取引への対応など)、(4)収納代行、(5)ポストペイサービスを取り上げ、これらに関する各論点を審議。上記(イ)は「複数業種かつ多数の金融機関が提供する多種多様な商品・サービスをワンストップで提供する仲介業者に適した業種の創設」について具体的な制度の検討を行うもので、(6)新たな仲介業を創設することを前提に、(7)業務範囲、(8)参入規制、(9)行為規制に関する各論点を審議するとともに、(10)新たな協会設置による自主規制の整備、新たな仲介業者を当事者とする紛争解決手続の整備についても検討が行われ、報告は約30ページ建てのものとなった。

 公表された報告によると、決済法制に係る上記(1)資金移動業については送金額に応じた規制を導入し、①100万円超の「高額」送金を取り扱う事業者、②現行規制を前提に事業を行う事業者、③数万円程度の「少額」送金を取り扱う事業者の3類型を設定。送金額について法令上の上限額を設けないことを想定する①については履行が確保されない場合の社会的・経済的な影響に鑑み、参入規制として、既存の資金移動業者と同様に登録制の対象としたうえで認可制の対象とし、さらに、とりわけシステム管理、セキュリティ対策、マネー・ローンダリング、テロ資金供与対策等に関して「現行規制における資金移動業者と比較して充実した体制整備を求めることが必要」としている。

 金融サービス仲介法制に係る上記(6)は、より具体的に①「業種ごとの複数の登録等を受けずとも、新たな仲介業への参入により、複数業種をまたいだ商品・サービスの仲介を行うことを可能」とし、②「新たな仲介業者には所属制を採用せず、取扱可能な商品・サービスの限定、利用者資金の受入れの制限、財務面の規制の適用等により利用者保護を図る」ことを基本的な考え方として検討が進められたもので、たとえば(ⅰ)1つの登録により銀行・証券・保険すべての分野での仲介を可能にするとともに、(ⅱ)金融機関とは業務上のパートナーとして連携・協働する関係となることが想定される。

 上記(ⅱ)は反面、所属制が採用されないことに伴って商品・サービスを提供する金融機関(銀行、証券会社、保険会社等)による指導・監督や賠償責任の負担がなされるとは限らないことを意味しており、これを踏まえ「新たな仲介業者には、商品設計が複雑でないものや、日常生活に定着しているものなど、仲介にあたって高度な商品説明を要しないと考えられる商品・サービスに限って取扱いを認めることが適当」とされた。

 WGでは本報告を結ぶにあたり、いわゆるフィンテック企業等によるイノベーションを取り込みながら利用者保護の確保、利用者利便の向上を両立していくためには金融制度の在り方を不断に見直していくことが重要と指摘するとともに、制度面以外の対応として、当局及び関係団体・事業者における利用者への金融教育やITリテラシー向上に向けた取組が進められることが期待されると表明している。

タイトルとURLをコピーしました