SH2969 経営法友会、日本語訳「ACC 法務部門運営のための成熟度モデル」を公表――テクノロジー管理の先進モデルでは「運営責任者がテクノロジーの革新性を評価し、実施戦略を策定」 (2020/01/21)

法務組織運営、法務業界

経営法友会、日本語訳「ACC 法務部門運営のための成熟度モデル」を公表

――テクノロジー管理の先進モデルでは「運営責任者がテクノロジーの革新性を評価し、実施戦略を策定」――

 

 会員企業の法務担当者で組織される経営法友会(代表幹事・小幡忍日本電気執行役員兼チーフリーガル&コンプライアンスオフィサー、事務局・公益社団法人商事法務研究会)は1月10日、ACC(Association of Corporate Councel)が作成する「MATURITY MODEL FOR THE OPERATIONS OF A LEGAL DEPARTMENT」を翻訳し、「ACC 法務部門運営のための成熟度モデル(日本語訳)」として同会ホームページに掲載したと発表した。

 ACCは「インハウスの弁護士を会員とする世界最大の集い」とされ、翻訳は経営法友会有志による(同様に同会有志による取りまとめとして、SH2899 経営法友会、「不祥事予防に向けた取組事例集」を公表 ――日本取引所自主規制法人「プリンシプル」に対応、具体的かつ多様な取組みが明らかに (2019/11/22)参照)。広く日本企業の法務部門の運営にあたって参考となるよう公表されている。

 「ACC 法務部門運営のための成熟度モデル(日本語訳)」によると、本モデルは、各企業の法務部門長が部門の規模、人員配置、予算に基づいて優先順位や目標が変わることを念頭に置いたうえで、次の14の各分野における成熟度を比較評価するためのツールとして活用することが想定されている。(1)変革管理、(2)コンプライアンス、(3)契約管理、(4)eディスカバリー、(5)社外リソース管理、(6)財務的マネジメント、(7)情報統制(記録管理)、(8)社内リソース管理、(9)知的財産権管理、(10)ナレッジ管理、(11)数値基準と分析、(12)プロジェクト&プロセス管理、(13)戦略的計画&法務組織運営におけるリーダーシップ、(14)テクノロジー管理。

 14の各分野ごとに成熟度として「初期」「中間」「先進」の各段階が示されており、たとえば、上記(2)のコンプライアンスについてみると、「コンプライアンス機能が全社の事業部門単位に分散されている」「コンプライアンスが明確に定義されていない」「年次研修がなされていない、または、法令/規則/(当局との)和解合意に基づく最低限必要な研修だけが実施されている」のが初期。中間にあっては「コンプライアンス機能が一元管理されている」「方針と手順が明文化されている」「ギャップ分析を実施し、戦略的計画を実施している」「コンプライアンス手順の自動化と体系化が実施されている」となり、先進段階におけるモデルは「全社的なコンプライアンス計画が文書化、公開、伝達されている」「年次のコンプライアンス・テスト計画が実施されている」「将来のリスクを捕捉し軽減するためのツールが展開されている。(例:ガバナンスやリスク、コンプライアンス用アプリケーション)」「安全性とコンプライアンスに関するリスクが発生した際に、それを認識し、リアルタイムで是正するためのルールとプロセスが開発されている」となる。

 近時喫緊の課題となっている上記(14)のテクノロジー管理をみれば、先進モデルとしては「技術者または法務部門運営責任者がテクノロジーの革新性を評価し、実施戦略を策定している。 ユーザーへの展開の継続的改善が推進されている」「システムが、eディスカバリー、ナレッジ管理、コラボレーション、全契約ライフサイクル管理、ワークフローの自動化およびリスクを予測/軽減するように設計されたアプリケーションを含んでいる。(例:新しい規制の監視、消費者からの苦情の傾向、監査で特定された改善点)」といったかたちで明確に具体化して示されており、今後の法務部門運営にあたって適宜参考としたいところである。

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