SH2975 契約の終了 第12回 組合・組合契約と終了(上) 中山知己(2020/01/22)

そのほか

契約の終了
第12回 組合・組合契約と終了(上)

 明治大学教授

中 山 知 己

 

Ⅰ 組合・組合契約

 組合と表現される団体には、多様な存在が見いだされ、民法の定める組合(以下、「民法上の組合」と記する)以外にも少なくない。たとえば、有限責任事業組合契約に関する法律に基づく有限責任事業組合(Limited Liablity Partnership, LLP)、労働組合法に基づく労働組合、建物区分所有法に基づく管理組合、消費生活協同組合法や農業協同組合法などに基づく消費生活協同組合や農業協同組合などの各種協同組合がある。

 しかし有限責任事業組合は「民法上の組合」と同様に法人格がない一方、各種の協同組合には法人格があり、労働組合、管理組合は法人格を取得することができる。また商法には共同事業性がないものの組合の名をもつ「匿名組合」(商法535条以下)があり、共同鉱業権者ならびに共同鉱業出願者は組合契約をしたものとみなされる(鉱業法43条5項、23条5項)。さらに団体の視点からは組合に近い団体として「権利能力なき社団」が挙げられることがあり、法人格をもつ合名会社(会社法575条以下)は実態は組合に近いとされる。さらには「数人の者が共同の事業を営むに当って、事業活動に必要なすべての法律行為は、数人中の一人の名で行い、従ってまた、必要な経済的手段たる財産もすべてその者の単独の所有とする」内的組合もある[1]

 これらに対し、「民法上の組合」は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって成立し(民法667条)、民法の原則とする二当事者間契約とは異なり、複数人から成るひとつの団体、組織を形成する。にもかかわらず、組合員から独立した法人格を持たない。このような特殊性を持つ「民法上の組合」は、現実社会ではどのようなものがあるのだろうか。

 たとえば裁判例として著名なヨットクラブ(最三判平成11・2・23民集53巻2号193頁)のほか、建設工事を請け負う共同企業体(最大判昭和45・11・11民集24巻12号1854頁)、会社設立前の発起人組合、法律事務所、わが国映画製作の資金調達方法として主流となった映画製作委員会(放送局、広告代理店、映画会社、制作プロダクションなどが出資する)、新聞ネット事業[2]などが挙げられている[3]

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