金融庁、「金融行政とSDGs」更新版を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 山 田 康 平
1 はじめに
金融庁は、2018年6月11日に「金融行政とSDGs」を公表し、その更新版を2018年12月21日に公表していたが[1]、2020年1月28日、更なる更新版[2]が公表された。
SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択されたものであり、2030年までに、貧困撲滅や格差の是正、気候変動対策など国際社会に共通する17の目標が達成されることを目指すものである。SDGsは、本来的には企業・投資家・金融機関といった各経済主体が自主的に取り組むべきものであるが、金融庁は、何らかの要因でそうした動きが妨げられて外部不経済が発生している場合には、経済全体としての最適な均衡の実現に向け、当局としてそうした動きを促すことも必要であるという基本方針の下、様々な取組みを行っている。
昨今、ESG投資、すなわち、環境・社会・ガバナンスを考慮した投資が拡大しているが、ESG投資と投資先企業のSDGsへの取組みは、表裏の関係にあると言われている[3]。多くの会社が、SDGsやESGを意識しつつ、様々な取組みを行っているところであろうが、「金融行政とSDGs」を題材に、現在の状況を振り返ることとしたい。
2 資本市場における取組み
2018年6月1日にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、その第三章において、企業が積極的に開示すべき非財務情報にESG要素に関する情報が含まれることが明記されたことは記憶に新しい。
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