東芝機械、同社株式への公開買付けを巡り株主意思確認総会の付議議案等を発表
――旧村上ファンド系投資会社のTOBに対抗、有事導入の買収防衛策に承認を求める――
東芝機械(本社・静岡県沼津市、東証市場第一部上場)は2月21日、同社普通株式を対象として株式会社シティインデックスイレブンス(所在地・東京都渋谷区、投資業、経営コンサルティング、不動産仲介・売買・賃貸業等。以下「シティ社」という)が本年1月21日付で開始公告を行った公開買付けを巡り、本公開買付けに対する措置として導入した買収防衛策の発動等について株主の意思を確認する臨時株主総会(株主意思確認総会)の開催および付議議案等を同日開催の取締役会で決議し、発表した。
公開買付開始公告によると、東芝機械普通株式についてシティ社自体は保有していないものの、株式会社オフィスサポート(所在地・東京都渋谷区)と、オフィスサポートの完全子会社である株式会社エスグラントコーポレーション(所在地・東京都渋谷区)の合計で3,076,200株、所有割合にして12.75%を保有。シティ社の株主構成をみると、オフィスサポートが議決権の66.5%を所有する親会社であって、その余の33.5%をオフィスサポートの完全子会社である株式会社南青山不動産(所在地・東京都渋谷区)が所有しており、公開買付者グループはいわゆる旧村上ファンド系とされる(一例として、SH2457 廣済堂のMBOは南青山不動産が対抗公開買付けを開始する事態に (2019/04/05)参照)。
公開買付者グループは、東芝機械の関連会社であったニューフレアテクノロジー株式会社の株式を東芝機械が売却する際に「株主価値向上のために最良の売却方法を選択されなかったことから、上場企業の責務であると考える株主価値の最大化が、対象者(編注・東芝機械)において残念ながら十分に果たされていないと考え」たなどとして本公開買付けに及んでおり、「株主として対象者の株主価値向上にコミットした上で、発言権を強化しコーポレート・ガバナンスを改善することを企図」した。
買付価格は普通株式1株につき、3,456円。買付予定数の下限は3,500,000株(所有割合:14.5%。公開買付者グループの合計で6,576,200株、所有割合:27.25%)で、下限に満たない場合には応募株券等の全部の買付けを行わない。上限を7,500,000株(所有割合:31.07%。グループ合計で10,576,200株、所有割合:43.82%)とし、「議決権の過半数を取得しない範囲でできるだけ多くの株数を保有」したい意向である。当初の公開買付期間:1月21日〜3月4日(30営業日)については2月18日付で、1月21日〜4月16日(60営業日)と変更された。なお、東芝機械と公開買付者グループとのやりとりは、東芝機械において「当社と、株式会社オフィスサポート(関連会社含む)とのやりとり経緯」とする特設サイトで公開しているほか、「株式会社オフィスサポート公式Webサイト」においても「東芝機械株式会社との経緯」を一覧化して掲げており、2018年11月からの経過が確認できるようになっている。
本公開買付けを巡っては東芝機械が1月17日、「株式会社オフィスサポートからの当社株式を対象とする公開買付けの予告を受けた当社の対応方針に関するお知らせ」と題するプレスリリースにより、「オフィスサポートないしその子会社による本公開買付けや、本公開買付けの予告がなされている状況下において企図されるに至ることがあり得る他の大規模買付行為等への対応方針(以下「本対応方針」といいます。)を導入することを決議いたしました」と表明。併せて「本対応方針は、既に具体化している本公開買付けを含む大規模買付行為への対応を主たる目的として導入されるものであり、2019年6月21日付けで廃止された旧プランを始めとする、平時に導入されるいわゆる買収防衛策とは異なるもの」であることを明示しつつ、取締役会による恣意的な判断を防止するなどの観点から、同社の独立取締役3名からなる独立委員会を設置した。そのうえで2月12日、「株式会社シティインデックスイレブンスによる当社株式に対する公開買付けに関する意見表明(反対)及び株主意思確認総会の開催のお知らせ」をリリースしていたものである。
今般の2月21日付発表によると、臨時株主総会は2月12日付の発表どおり本年3月27日を開催日とし、静岡県沼津市内のホテルで開かれる。付議議案は第1号議案「株式会社オフィスサポートないしその子会社からの当社株式を対象とする公開買付け等への対応方針の導入に係る承認の件」および第2号議案「新株予約権の無償割当ての件」の2議案。いずれの議案も「決議要件を普通決議といたします」としており、その理由として「支配株主の異動をもたらす募集株式の発行等の場面において、株主総会決議が必要となる場合にも、その決議要件は普通決議であることから(会社法第206条の2第5項)、同様に、株式の買集めによる支配権取得においても、株主総会の普通決議によって株主意思を問うのが合理的であること」を始めとする計3点を挙げたうえで「当社は、複数の会社法学者から……決議要件を普通決議とすることについて法的に問題がない旨の見解を得ております」とした。
また、本臨時総会の招集にあたっては、2月21日付で独立委員会から「その開催日時、場所及び目的事項その他の株主総会の招集に関する事項並びに株主意思確認総会における付議事項について、適当である旨の勧告を受けております」と、併せて表明している。