◇SH3058◇セブン&アイHD、株主対応強化とESG推進・コンプライアンス体制強化を併せて発表 ――ステークホルダーとの対話を強調、CSR関係部会の新設では国連指導原則に対応―― (2020/03/17)

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セブン&アイHD、株主対応強化とESG推進・コンプライアンス体制強化を併せて発表

――ステークホルダーとの対話を強調、CSR関係部会の新設では国連指導原則に対応――

 

 セブン&アイ・ホールディングス(東京都千代田区、東証市場第一部上場)は3月5日、同日開催の取締役会で決議したとし、IR部にSR(Shareholder Relations)機能を拡充して「IR・SR部」とすることを発表した。併せて同日、CSR統括委員会に「コンプライアンス部会」「サプライチェーン部会」 を新設したとして、これを発表している。

 IR・SR部の設置は「株主の皆様との建設的な対話の拡充に向けて、IR(Investor Relations:投資家対応)とSR(Shareholder Relations:株主対応)の強化を図る」と位置付けるもので、具体的には、株主・投資家と中長期的な経営戦略や資本政策、コーポレート・ガバナンス、環境・社会課題への対応等に関する建設的な対話をより充実させる視点からの施策となる。

 発表と同日・3月5日に業務開始したIR・SR部では、株主名簿に登録された株主および同社株式を実質的に保有する株主を対象として積極的に対話を進めていく。参考資料として掲げられた「株主・投資家との建設的な対話に関する基本方針」と合わせて仔細をみると、IR・SR部は(1)株主・投資家との対話のための活動を企画・実行するための専門部署であり、(2)社長が統括したうえで、株主・投資家との対話から得た意見・要望・懸念等については経営陣・取締役会に適時報告し、経営活動や事業運営に活かしていく、(3)関連部署と定期的なミーティングを実施して情報を共有するなど連携を図るとともに、各事業会社とも適宜情報交換を実施するとされた。同社としては、株主・投資家から寄せられた要望や対話の主題等を踏まえ、合理的な範囲で社長や取締役等が面談に臨むこととしており、株主等からの意見を活用し、中長期的な企業価値向上と持続的な成長を実現していく方針である。

 CSR統括委員会に「コンプライアンス部会」等を新設する発表は、もって「グループ全社におけるより一層のESG推進およびコンプライアンス体制の強化を図る」狙い。同社では「ステークホルダーの皆様との対話を通じて、社会の期待や要請を的確に把握し、環境(E)や社会(S)などの諸課題における、社会的な負の影響を低減しつつ、事業を通じた社会課題の解決に貢献する取り組みを真摯に実行」していくとして、その取組みを支えるガバナンスの仕組みとし、企業行動指針を始めとした各種方針を定めること、グループ横断組織であり社長を委員長とする「CSR統括委員会」の設置を挙げている。今般の発表は同委員会の傘下部会を再整備するもので、再整備後の同委員会は、①コンプライアンス部会、②企業行動部会、③サプライチェーン部会、④環境部会、⑤社会価値創造部会の計5部会により構成されるものとなる。

 新設する①コンプライアンス部会では、(ア)グループ会社の社員が法令・社会的規範を遵守すること、(イ)顧客・取引先との間の公正取引を含むコンプライアンスを実践することが「当社グループの社是『信頼と誠実』の実現のために欠くことができない重要な基盤」であると位置付けたうえで、「グループ各社レベルでのコンプライアンスの徹底」「持株会社である当社がグループ各社のコンプライアンス体制強化のサポートおよび監督の実効性を確保する」ことを、その設置目的としている。

 上記③のサプライチェーン部会は、「国連の『ビジネスと人権に関する指導原則』や『持続可能な開発目標(SDGs)』へ迅速に対応し、人権や環境に配慮した健全なサプライチェーンを構築すること」が企業の重要な社会的責任であると同時にステークホルダーからも強く求められているとする問題意識のもと、「グループ各社ごとの品質向上と安全性の確保」および「商品・サービスにおけるサプライチェーン全体での社会的責任を果たす」見地から新たに設置するもの。品質向上等に向けては、同社グループの「品質方針」に基づき、グループ各社の品質基準や管理体制の整備・強化を図る。また、サプライチェーン全体での社会的責任を果たす具体的な取組みとして、取引先に「お取引先サステナブル行動指針」の理解と実行を要請しており、その遵守状況をCSR監査等を通じて定期的に検証・共有し、教育・啓発・是正を進めるとしている。

 

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