☆マレーシア:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報) 長谷川良和(2020/03/19)

2020年3月18日号
マレーシア:新型コロナウイルスの影響まとめ(速報)

                                                                                長島・大野・常松法律事務所

弁護士 長谷川 良和

はじめに

 欧米における急速な渡航制限・行動制限の拡大に伴い、新型コロナウイルスの国内外における事業活動への影響が一層深刻化してきています。感染拡大に伴う国内の各種法律問題に加え、海外に子会社・関係会社を抱える企業からの問い合わせも増えているため、当事務所の海外オフィスと連携して速報ベースで各国の方針や影響拡大状況の概要につきお知らせ致します。なお、本ニュースレターは感染拡大が続く間、不定期に配信していきたいと思いますが、同感染症の拡大状況については日々状況が変化している中、本ニュースレターの内容がその後変更・更新されている可能性については十分ご留意の上参照ください。本ニュースレターの内容は、特段記載のない限り、2020年3月17日夜時点で判明している情報に基づいています。

 

全体概況  死亡者:2人、感染者数(累計):673人(3月17日現在)

 マレーシアは、3月17日時点でASEANの中で最も感染者数が多い国となっている。マレーシアでは、3月に入ってから感染者数が急速に増加していることを受け、これ以上の感染拡大を是が非でも阻止する観点から、3月16日には、伝染病予防管理法及び警察法に基づいて3月18日から3月31日までの14日間にわたるマレーシア全土での移動制限命令を発し、またマレーシア国民の海外渡航禁止及び外国人のマレーシア入国禁止措置に踏み切った。マレーシア全土での移動制限命令により、スーパーや市場等の必需品販売店等を除き、マレーシアの全ての事業所や崇拝所が閉鎖される予定である。かかる措置を受けて、3月17日には事業者から事業所閉鎖期間中の自宅からのメールや電話等を通じた事業継続といった事業継続計画に関する通知が取引先に対して発せられるなど事業所の一時閉鎖を見据えた現実的な対応が見られ、また関係当局によって移動制限や出入国禁止に関する具体的場面への当てはめについて個別の指令や通知が発出されるなど随所で対応が進められている。かかる移動制限命令が発せられたのは、マレーシアでは初めてのことである。

 

主な政府発表

  1. ・ 人的資源省が新型コロナウイルスを含む感染症予防対策に係るガイドラインを公表(2月6日)
  2. ・ 国王が国民に向けて保健省による感染者調査等への全面協力を要請(3月7日)
  3. ・ 在宅監視命令を受けた者は、法令遵守及び監視命令に基づく規則を要遵守という旨を保健省が発表(3月8日)
  4. ・ 首相が3月18日から3月31日までの14日間にわたるマレーシア全土での移動制限命令を発表(3月16日)

 

渡航情報

  1. ・ 2月末日時点で、過去14日間以内に中国3省(湖北省、江蘇省、浙江省)、韓国の大邱(テグ)広域市及び清道(チョンド)郡に滞在歴ある外国人(永住者、長期ビザ保有者等を除く)の入国を禁止。
  2. ・ 3月5日に、更にイタリア3州(ロンバルディア州,ヴェネト州,エミリア・ロマーニャ州)、日本の北海道、イラン3地域(テヘラン、コム、ギラン)に滞在歴ある外国人(永住者、長期ビザ保有者等を除く)の入国も一時的に禁止。
  3. ・ 3月18日から14日間、マレーシア国民による海外渡航の禁止及び外国人によるマレーシアへの入国禁止。

 

その他

  1. ・ 3月18~31日の期間中は学校も休校となる。

 

(はせがわ・よしかず)

東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科修了、Columbia University School of Law(LL.M.)卒業。三菱商事株式会社勤務、Allen & Gledhill LLP(シンガポール)出向を経て、2013年1月から長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。

シンガポールを拠点に、シンガポール、マレーシア、ミャンマーを含む東南アジアその他アジア地域において、進出、日常的な法務問題、M&A、ジョイント・ベンチャー、危機対応、エネルギー・インフラ案件等、日系企業が直面する法律問題を幅広くサポートしている。

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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