CISG採択35周年記念コンファレンス
国際物品売買契約に関する国際連合条約とアジアの契約法
1980年4月11日、ウィーンで開催された外交会議において、「国際物品売買契約に関する国際連合条約(CISG)」が採択されてから、35年になります。現在全世界に83カ国の締約国を有する同条約は、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)の文書はもとより、私法の国際的統一一般においても、もっとも成功を収めた成果と見られています.
CISG採択35年を記念し、東京大学大学院法学政治学研究科、北海道大学高等法政教育研究センター、UNCITRALアジア太平洋地域センターは、アジア地域の専門家を招聘し、共同でコンコンファレンスを開催することに致しました。
本コンファレンスは3つのセッションからなります。
第1セッションは、日本におけるCISGの経験を振り返るものです。日本は約5年前CISGの締約国となりましたが(加入2008年7月1日、発効2009年8月1日)、CISGが国際売買の法と実務に与えた影響を評価するにはちょうどよい時期ではないかと思われます。当セッションでは、日本の商社及びメーカーの専門家が、CISGが国際売買実務及び日本における契約法の法的な思考枠組みに影響を与えたか、どのように与えたか議論します。
第2セッションは、視野をアジア全体に広げます。アジアにおける状況はかなり複雑です。 CISGが大変迅速に批准された国もありますし、もっと時間がかかった国もあります。さらにCISGの締約国になっていない国も少なからずあります。アジアには、異なった法系に属する国々があります。フランス法やドイツ法といった大陸法の影響を受けた国もあれば、英米法系の国やイスラム法国もあります。アジア諸国の専門家が、自らの経験に基づき、各々の法制度が、CISGによって影響を受けたか、どのような影響を受けたか議論します。
第3セッションは、政府開発援助活動における契約法改正の重要性に焦点をあて、この問題に関して直面する課題を探ります。途上国における契約法改正を伴う政府開発援助は、アジア太平洋地域で増えてきています。本セッションでは、契約法改正とその他の政府開発援助計画――経済発展、教育、法の支配や健全な実務の確立――との関係についても、検討したいと思います。さらなる援助計画の目的や、さまざまな援助組織・団体間の協力の可能性も議論されることになります。
このコンファレンスがCISGのよりよい理解へと導き、アジア地域におけるCISGのさらなる受容に貢献することを祈念しております。
2015年3月
藤 田 友 敬 (東京大学教授)
沖 野 眞 已 (東京大学教授)
曽 野 裕 夫(北海道大学教授)
ジョアオ・リベイロ(UNCITRALアジア太平洋地域センタ-)
内容は↓から
■CISG採択35周年記念コンファレンス 『国際物品売買契約に関する国際連合条約とアジアの契約法』