◇SH0266◇特許庁、新しいタイプの商標の保護制度についてよくある質問を掲載 笹川豪介(2015/03/25)

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特許庁、新しいタイプの商標の保護制度についてよくある質問を掲載

岩田合同法律事務所

弁護士 笹 川 豪 介

1.新しいタイプの商標の保護制度

 商標法では、商標使用者の業務上の信用の維持を目的として、商標[1]を保護するための規定を整備している。

 平成26年に成立した商標法の改正(原則平成27年4月1日施行)では、日本の産業競争力の強化に資するため、(日本において未だ商標として認められておらず)海外において既に商標として認められている商標の一部について、(日本においても)保護の対象とすることとされている。

 今回の商標法の改正により保護の対象となる商標は以下の5つのタイプの商標で、平成27年4月1日以降、これらの商標の登録(出願)が可能となる。

商標のタイプ

説明

動き商標

文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標

ロゴアニメーション

ホログラム商標

文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標

見る角度によって変化して見える文字や図形

色彩のみからなる商標

単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標(これまでの図形等と色彩が結合したものではない商標)

看板に使用される色彩、包丁の持ち手の色彩

音商標

音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標

サウンドロゴ

位置商標

文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標

バッグの特定の位置における文字や図形など

 

 新しいタイプの商標に関しては、既に特許庁から出願の際の注意事項及び様式や、新しいタイプの商標を含む商標審査基準が公表されているが、今般、よくある質問として、新しいタイプの商標の保護制度に関するQ&Aが公表された。

2.新しいタイプの商標の保護制度に関するQ&Aの概要

 Q&Aは、一般的な質問、商標調査、出願、審査、権利範囲、国際商標登録出願、登録関連料金の7項目から構成されている。

 具体的には、たとえば以下のような事項について説明がされている。

・  新しいタイプの商標の例(上記表参照)

・  保護される商標の範囲に関する事項(「動画(音と文字・図形等の組合せ)、におい、味といったものについては改正後も保護対象とされていない」など)

・  商標法改正のメリット(「登録された新しいタイプの商標に関する権利を侵害された場合、損害賠償請求が可能となる」など)

・  新しいタイプの商標の登録申請や審査の方法

・  どういった商標が登録されているのかを調べる方法

3.新しいタイプの商標の保護制度に関するQ&Aの活用

 商標となり得る対象の創作に際しては、法的に保護される商標の基本的な考え方を自身において会得しておくことも重要である。

 そのため、今後新しいタイプの商標に関する登録や使用を考案・検討する際には、登録対象となり得る商標に該当するのか、どのような方法で商標を特定するのかといった最低限の事項について今回のQ&Aなどにより確認したうえで、商標登録に関する準備を行い、あるいは商標権の侵害の有無について検討を行うことが考えられる。

 もっとも、様々な創意工夫・試行錯誤の積み重ねにおいては、改正された商標法やQ&Aの解釈について更なる疑義が生じてくることも避けられないものと考えられ、必要に応じて、弁護士事務所や特許事務所などの専門家に照会することも積極的に検討すべきであろう。

以上



[1] 商標法上、「商標」とは、文字・図形・記号や立体的形状、これらの結合、これらと色彩との結合であって、以下の局面で使用するものをいう(商標法2条1項)とされている。

①    業として商品を生産・証明・譲渡する者がその商品について使用するもの

②    業として役務を提供・証明する者がその役務について使用するもの

(ささがわ・ごうすけ)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2004年慶應義塾大学総合政策学部卒業、大手信託銀行勤務(不動産流動化部門・不動産鑑定部門・法務部門)。2011年弁護士登録。『実務にとどく 相続の基礎と実践』(連載、金融法務事情1994号~)、『銀行窓口の法務対策4500講』(共著、金融財政事情研究会、2013年)、『Q&A 信託業務ハンドブック[第3版]』(共著、金融財政事情研究会、2008年)等著作・論文多数。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>

1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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