◇SH0335◇銀行員30年、弁護士20年 第33回「法科大学院通学とサラリーマンの両立は可能か」 浜中善彦(2015/06/05)

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銀行員30年、弁護士20年

第33回 法科大学院通学とサラリーマンの両立は可能か

 

弁護士 浜 中 善 彦

 

 現在の司法試験制度では、受験資格は、法科大学院卒業が原則である。働きながら司法試験受験をする場合、仕事と法科大学院通学は両立できるかを考えてみる。この場合は、法科大学院の夜間部に入学して受験資格を得るということになる。
 法科大学院のなかには、夜間コースを設けているところが数校ある。そのうちの筑波大学法科大学院の場合、場所は茗荷谷の駅に近く、都内勤務者にとっては立地的にはかなり条件はいいと思われる。講義は、毎週火曜日から金曜日までは、毎日、1コマ75分授業が2コマあり、18時20分から21時までである。土曜日は、5コマで、10時20分から17時50分までとなっている。時間に換算すると、平日は毎日2時間半、土曜日は6.25時間ということになる。
 仮に、月曜日も入れて平日5日を毎日2時間半、土曜日は6.25時間、日曜日と休日は10時間勉強するとして、平成27年4月から平成28年3月末までの日数をもとに年間の勉強時間数を単純計算すると次のとおりとなる。

平日 248日 620時間
土曜日 52日 325時間
日曜・休日 65日 650時間

   合計 365日 1,595時間

 この時間数は、私の経験からみると、ほぼ限界に近い時間数である。まず、平日、毎日18時20分に講義に出ることができるかが問題である。おそらく、出勤時間は決まっていても、退勤時間は就業規則通りにはいかないのが普通であるから、年間を通してすべての講義に出席することはまず不可能であろう。そうすると、その分は自習せざるを得ないから、その分については余計に時間が必要となる。また、私の経験では、受験勉強を始めた頃は仕事が終わった後で予備校に通うなどして勉強していたので、講義中、昼の疲れで思わず知らず居眠りをしていたことがよくあった。しかも、私の場合、予備校は毎日ではなかった。3年間、働きながら法科大学院への夜間部通学は、時間的、体力的、精神的にも相当厳しいことは覚悟する必要がある。

 

 仮に、年間1,600時間勉強するとして、3年間では4,800時間である。学部出身の予備試験合格者が2年間毎日10時間勉強したとすると、時間数にして7,300時間である。私の場合は、旧試験であったが、合格までに10年で合計約8,000~9,000時間かかっている。それらから考えると、未習者にとって、合格に必要な最低時間数は、約8,000時間程度ではないかと思われる。
 そう考えると、文字通りの未習者の場合、上記の計算では、最低でも計算上5年間は必要ということになる。学部学生のとき、司法試験を目指したが、何かの事情でサラリーマンになったという既習者や、公認会計士や法務部勤務等の場合は事情が違うから、必ずしも5年間は必要ない場合もあろう。しかし、いずれにせよ、働きながら司法試験を目指すのは、並大抵でないことは、数字の上でも明らかであろう。それで受験をあきらめるか、逆に、それなら挑戦してみようと考えるかは、本人次第であるが、難しいからこそ挑戦してみようというのも1つの選択である。そして現在、単なる法的知識だけではなく、社会的経験を持った、そういう人たちこそが求められている。

以上

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