◇SH0534◇企業内弁護士の多様なあり方(第4回) -業務に対する積極性の態様・程度(上) 本間正浩(2016/01/27)

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企業内弁護士の多様なあり方(第4回)

業務に対する積極性の態様・程度(上)

日清食品ホールディングス

弁護士 本 間 正 浩

第2 業務に対する積極性の態様・程度(上)

 1 法律事務所の弁護士の場合、業務の端緒は、例外なく依頼者からの依頼により開始される。その際、業務の範囲についても、依頼者の指示に従う。弁護士が当該契約書にかかる取引そのものや背景事情について問題や改善点に気づいても、その指摘はするであろうが、指摘された問題について対応するか否かは依頼者の判断するところによる。

 では、企業内弁護士の場合はどうか。

 一つの極にあるのは、法務部が検討するか否か、検討するとして何を検討するかをビジネスの方で判断するものである。企業内弁護士としては基本的に「受身」の姿勢になる。

 たとえば、稟議書等といった形で文書で照会がなされ、これに対して、「所見」というような形で文書で返すような運用を取っている場合に、照会の背景事情についての質疑や議論がそれほど行われないような場合には、このような形になることが多いであろう。

 2 実際には、そこまで極端なものは少なく、多かれ少なかれ、企業内弁護士側からの能動的な関与が行われている。企業内でその一員として執務する以上、企業内弁護士は純粋な「アドバイザー」であることはできない。多かれ少なかれ「当事者」としての意識・行動が期待される。

 少なくとも照会があった場合に、その照会内容や前提事実に対して会議や電話により聞き取りを行うことはむしろ当然のことである。

 それが一歩進むと、照会を受けながら、法務事項に関する限りは、照会者の問題意識に拘束されず、そこから発見される問題に踏み込んでいく。たとえば、照会者が特定の法律問題についての質問を有していたとしても、それに拘束されないで照会された事実・取引に含まれる問題を指摘することも多い。

(以下、次号)

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