◇SH0592◇法のかたち-所有と不法行為 第十話-6「所有権法と不法行為法-請求権の構成」 平井 進(2016/03/11)

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法のかたち-所有と不法行為

第十話  所有権法と不法行為法-請求権の構成

法学博士 (東北大学)

平 井    進

 

6  不法行為と所有権の共通の請求権形式

 ここで、不法行為と所有権をまとめて、その請求権の要件と効果の構成を考えてみる。

 その要件は、人がもつ「実体」の正当な状態を第三者の行為(不作為を含む)が損ねるということであり、その効果は、その状態を回復し、または第三者の上記行為を停止・予防することである。その行為において第三者にどのような責任(善意・悪意、過失・無過失等の扱い)があるとするかは、規範的に定めることになる。

 このような請求権の構成について、民法第709条の形式にならうと、次のようになる。(選択する要素を〔〕内に示す。)

  a 〔故意・過失により/故意・過失の有無に関わらず〕

  b 他人の権利又は法律上保護される利益を〔侵害した/侵害する〕者は

  c 〔損害賠償/原状回復・侵害停止・侵害予防〕の責任を負う。

 このように、不法行為と所有権の内容が同じカテゴリーにあるとすると、その請求権を構成する形式も共通となる。

 ここで不法行為と所有権の請求権のあり方(その規範)として述べていることは、現行民法の規定の範囲内で運用することが可能である。

 

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