◇SH0804◇法律事務所による不当表示禁止違反 荒田龍輔(2016/09/20)

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法律事務所による不当表示禁止違反

岩田合同法律事務所

弁護士 荒 田 龍 輔

1. はじめに

 消費者庁は、本年2月16日、弁護士法人アディーレ法律事務所に対し、同法律事務所が債務整理・過払い金返還請求に係る役務を提供するにあたり、自身のHP上で、平成25年8月1日~同年9月1日までに当該役務の提供を申し込んだ場合に限り、着手金を無料若しくは値引きする等の内容のキャンペーンが適用されるかのような表示をしていたが、実際は当該期間に限らず、平成25年8月1日~平成26年11月3日の期間中、当該キャンペーンを適用していた等として[1]、かかる表示行為が、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」という。)に違反する行為(5条2号・有利誤認表示)であるとして、同法7条に基づき、本件表示と同様の表示を行わないこととする措置命令を行った。本年9月7日に国民生活センターのサイトに掲載された「弁護士法人アディーレ法律事務所「債務整理に係る事務【不当表示・広告に関するお知らせ・返金】」は、この措置命令に基づいて新聞の広告欄に掲載された内容を記載したものである。

 今回は、本件で問題となった有利誤認表示の禁止について、違反に係る調査等を含め、簡単に解説する。

 

2. 有利誤認表示の禁止の内容等

 景表法では、事業者において、自己の供給する商品又は役務の取引条件について、実際のものや競合する他の事業者のものよりも「著しく有利」であると一般消費者が誤認する表示(有利誤認表示・5条2号)を行うことを禁止する[2]

 例えば、「本日より5日間限りのみ販売」と表示したが、その後も数か月間断続的に販売していた様な場合や、実際には他社と同程度の内容量しかないのに「他社商品の2倍の内容量」であるかのように表示する場合等がある。

 有利誤認表示の禁止に違反する疑いがある場合、消費者庁は、関連資料の収集、事業者への事情聴取等の調査を実施し(景表法7条2項)、違反行為が認められた場合、当該行為を行っている事業者に対し、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないこと等を命ずる措置命令を行う(同条1項)。加えて、平成28年4月1日施行の改正法により課徴金納付命令(その金額は「対象商品・役務の売上額に3%を乗じた金額」・対象期間は最大で3年)の制度(8条)も新設されているが、本件は同法施行前に違反行為がおこなわれた事案であって対象外である(以上の手続の流れは別紙参照)。

 

3. まとめ

 本件は、上記2.で述べた有利誤認表示の具体例に類似しており、違反の内容は比較的分かり易いものであるが、近年、不当表示の禁止に違反に対しては、上述した行政による規制はもとより、社会の目もより一層厳しくなっている様子が伺われる(実際に外部から消費者庁に提供される景表法違反に係る情報は、平成26年度は6336件であり、平成27年度は9667件と年々増加している[3]。)。

 企業としては、自社の宣伝・広告等が不当表示の禁止に違反しないかについて細心の注意を払う必要があろう。

以上

 

景表法違反事件発生時の調査手順

 


[1] 同法律事務所は、同様の態様で、過払い金返還請求の着手金を無料若しくは値引きすること等の内容のキャンペーンを、平成22年10月6日~平成25年7月31日、及び平成26年11月4日~平成27年8月12日の期間において、複数回実施しており、いずれも有利誤認表示の禁止に違反するとされた。

[2] その他に禁止される行為として、①商品・サービスの品質等の内容を実際よりも優良に表示すること(優良誤認表示・景表法5条1号)、②商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められ、内閣総理大臣が指定する表示(同3号)がある。

[3] 平成27年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組(http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160617premiums_1.pdf

 

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