◇SH0887◇実学・企業法務(第3回) 齋藤憲道(2016/11/21)

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実学・企業法務(第3回)

第1章 企業の一生

同志社大学法学部

企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

3. 「商品のブランド戦略」の視点

(1) 市場に商品が初めて投入される段階(企業の設立時及び設立後を含む)

  1. ① 自社の企業ブランドの体系を作る。
    (例) 全社にハウスマーク、商品シリーズ毎にファミリーネーム、商品毎にペットネームを作る。
  2. ② 商品に自社のどのブランドを付けるかを決める。
    他社との「共同ブランド戦略(co-brand strategy)」を採用する場合もある。
    (注) 異業種企業が連携する共同ブランドは、共通の顧客層を掘り起こすのに有効である。

(2) 商品が普及し始め、市場規模が拡大する段階

  1. ① 営業・技術・知財等の部門が協力して、他社とブランドの差別化を図る。
    〔差別化する項目の例〕販売チャンネル、需要層(年代、地域、所得、嗜好)、商品特性、価格設定
  2. ② 自社の商標・意匠・商号を武器にして模倣品を排除する。可能なら特許も武器にする。
    模倣品市場が大きくなる前に、模倣品の芽を摘む。
    営業を中心に、市場で模倣品を発見する能力を高める。
     模倣品を製造・販売する業者に関する情報を弟三者から収集して、摘発に結び付けたい。 
  3. ③ 海賊版対策で武器になるのは主に自社の著作権だが、商標・商号も武器になり得る。

(3) 市場規模が最大になり、市場が成熟する段階

  1. ① 自社の商品の種類が増加するので、第2ブランドの採用を検討する。
    (例) 「高級品ブランド」と「普及品ブランド」に分けて市場に訴求する。
  2. ② 模倣品が増加する兆候があるときは、徹底的に攻撃して排除する。
    営業・技術・知財・法務部門が連携し、自社の商標権・意匠権・特許権・商号等を駆使して排除する。
    (注1) 放置すると、自社ブランドが傷つき、収益源が毀損される。
    (注2) 営業が排除活動を主導する企業は、具体的な成果を上げることが多いと言われる。
       理由:営業戦略と市場浄化活動が連動する、排除活動費を多く投入できる

(4) 市場が飽和し、売上高が停滞・減少する段階(生存競争)

  1. ① OEM[1]戦略を採用することを検討する。
    (注) OEM戦略は経営資源を自社の重点分野に集中投入する目的で用いる。なお、上記(2) (3)の時期にも、OEMを行うことがある。
  2. ② 他社に事業譲渡する際に、譲受側が、市場で著名な譲渡者のブランドの継続使用を望む[2]場合は、その可否を決める。
    使用を認める場合は、対象商品・期間・地域・使用料・ブランドの最終的な権利者等を決める。

 


[1] Original Equipment Manufactureの略。相手先ブランドの製品を製造すること、またはその製造された製品。

[2] (例1)IBMのパソコン事業をLenovoが買収した時に、Lenovoが「IBM Think Pad」ブランドを一定期間使用することに同意。(例2)三洋電機の洗濯機・冷蔵庫事業を海爾集団が買収した時に、海爾集団が「SANYO」ブランドを東南アジアで一定期間使用することに同意。

 

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