◇SH0921◇中企庁、「事業承継ガイドライン」を公表(2016/12/12)

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中企庁、「事業承継ガイドライン」を公表

――事業承継に向けた5ステップを提示、「事業承継診断」の導入促進――

 

 中小企業庁は、12月5日、「事業承継ガイドライン」を策定し公表した。

 中小企業経営者の高齢化が進み、今後5年から10年程度で、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎えようとしており、中小企業に蓄積されたノウハウ・技術を次世代に受け継ぎ、世代交代によるさらなる活性化を実現していくためには、円滑な事業承継が重要な課題とされている。中小企業の事業承継に関しては、平成18年に事業承継協議会が「事業承継ガイドライン」を策定していたが、中企庁では、近年の中小企業を取り巻く状況の変化を踏まえた事業承継のあり方を議論するため、「事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会」(座長=品川芳宣・筑波大学名誉教授)および「事業承継ガイドライン改訂小委員会」(委員長=山本昌弘・明治大学商学部教授)を開催し、検討を行ってきたものである。

 ガイドラインでは、まず「事業承継の重要性」で、経営者が60歳の頃には事業承継に向けた準備に着手する、早期・計画的な取組みが重要であるとする。そして、事業承継の類型を「親族内承継」「役員・従業員承継」「社外への引継ぎ(M&A等)」に区分して検討を進めている。

 「事業承継に向けた準備の進め方」では、以下のような「事業承継に向けた5ステップの進め方」を掲げて具体的に説明している。

  1. ステップ1:事業承継に向けた準備の必要性の認識
  2. ステップ2:経営状況・経営課題等の把握(見える化)
  3. ステップ3:事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)
  4. ステップ4-1:事業承継計画の策定(親族内・従業員承継の場合)
  5. ステップ4-2:M&A等のマッチング実施(社外への引継ぎの場合)
  6. ステップ5:事業承継の実行

 さらに、「ポスト事業承継(成長・発展)」として、事業承継を契機とした新たな取組みや事業の再編を図る場合についての検討や、「廃業を検討する場合」の留意点やサポートの仕組み等を紹介している。

 「事業承継の類型ごとの課題と対応策」では、前述の三類型ごとに検討している。

 「親族内承継における課題と対応策」については、(1)人(経営)の承継、(2)財産の承継−税負担への対応、(3)財産の承継−株式・事業用資産の分散防止、(4)債務・保証・担保の承継、(5)資金調達、を解説。非上場株式等についての相続税・贈与税や「経営者保証に関するガイドライン」への対応等を紹介している。

 「従業員承継における課題と対応策」については、(1)従業員承継における課題、(2)人(経営)の承継、(3)資金調達(MBO・EBO)、(4)株式の分散の防止、(5)債務・保証・担保の承継、を解説している。

 「社外への引継ぎ(M&A等)の手法と留意点」については、(1)社外への引継ぎ(M&A等)の代表的な手法、(2)M&Aの手続、(3)M&Aにおける企業評価、(4)情報管理の徹底、(5)社外への引継ぎに関する相談先、を解説している。

 「事業承継の円滑化に資する手法」では、種類株式(議決権制限種類株式、取得条項付種類株式、譲渡制限株式)の活用、信託の活用、生命保険の活用、持株会社の設立、について解説している。

 「個人事業主の事業承継」では、人(経営)の承継、資産の承継、知的資産の承継、について解説し、「後継者人材バンク」を活用した事例を紹介している。

 「中小企業の事業承継をサポートする仕組み」では、「中小企業を取り巻く事業承継支援体制」として、地域の将来に責任を有する都道府県のリーダーシップのもと、地域に密着した支援機関をネットワーク化し、よろず支援拠点や事業引継ぎ支援センター等とも連携する体制を国のバックアップの下で早急に整備することが強く期待される、としている。

 そして、「事業承継診断」を実施することを提唱している。事業承継診断とは、「主に金融機関の営業担当者や商工会・商工会議所等の担当者が顧客企業等を訪問する際、診断票に基づく対話を通じ、経営者に対して事業承継に向けた準備のきっかけを提供する取組」である。診断の実施に向けて、さまざまな支援機関が意識を共有して連携し支援体制を構築する必要があり、支援機関が診断結果を踏まえて経営者が次の支援ステップ(見える化、磨き上げ、事業承継計画の策定、M&A等)に進むことができるよう、最適な専門家や相談窓口、支援施策等の紹介を行うことが望ましいとしている。

 ガイドラインは最後に、「事業承継のサポート機関」として、主な士業等専門家、金融機関、商工会議所・商工会、同業種組合、認定経営革新等支援機関、公的機関(事業引継ぎ支援センター、中小企業再生支援協議会、独立行政法人中小企業基盤整備機構、よろず支援拠点、中小企業庁・経済産業局)を紹介。巻末には、「事業承継診断票(相対用)」、「事業承継診断票(自己診断用)」、「事業承継計画(様式と記入例)」を掲載している。

 

 中企庁、「事業承継ガイドライン」を策定しました(5日)
  http://www.meti.go.jp/press/2016/12/20161205002/20161205002.html

 事業承継ガイドライン
  http://www.meti.go.jp/press/2016/12/20161205002/20161205002-1.pdf

 事業承継ガイドラインについて(概要)
  http://www.meti.go.jp/press/2016/12/20161205002/20161205002-2.pdf

 

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